安倍晋三・元首相(67)が奈良市で銃撃されて死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41)が事件直前、岡山市内から、安倍氏の殺害を示唆する手紙を中国地方に住む男性に送っていたことがわかった。母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」への強い恨みをつづり、安倍氏について「本来の敵ではない」としている。奈良県警も手紙の存在を把握しており、同連合への恨みが安倍氏に向かった経緯の解明を進める。


 岡山市では事件前日の7日夜、安倍氏が参加した演説会が開かれた。山上容疑者は会場を訪れたが、襲撃を断念していた。消印の時刻から、会場に向かう途中に 投函とうかん した可能性がある。


 手紙はA4判1枚で、手書きではなく印字したもの。差出人名は記されていないが、山上容疑者と母親らが献金の返金に関して同連合と交わした合意書のコピーが同封され、そこに山上容疑者の氏名と当時の住所も書かれていた。

 男性は同連合の活動を批判するブログを運営している。手紙では、ブログの読者だと明かした上で「私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります」と自身の生い立ちがつづられている。

 安倍氏については「苦々しくは思っていましたが、本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません」と主張し、「安倍(元首相)の死がもたらす政治的意味、結果、 最早もはや それを考える余裕は私にはありません」との記述があった。

 山上容疑者は県警の調べに対し、安倍氏を狙った理由について「(同連合と)つながりがあると思った」と供述している。県警は、山上容疑者が、元首相を殺害することで同連合への批判を集めようとした可能性があるとみている。



https://www.yomiuri.co.jp/national/20220717-OYT1T50010/