わたしは短く考えてから、聴衆である主権者・国民のみなさんに第一報を知らせたうえで、「安倍さんはきっと戻ってくると信じます」、そう話ししているとき、あの背格好の気配がまずわたしのすぐ背後に現れました。

 わたしは聴衆のみなさんへ発している言葉とは裏腹に、胸の裡(うち)では『あっ、これは、もう駄目じゃないか。別れを告げに来られた』と無言の大声で叫びました。悲痛苦の思いが噴き出ました。
 すると次の瞬間、気配はわたしの右横に回り、その朝に機内で見た笑顔そのままに微笑んで、凄まじい速さで斜め上に飛び去って行かれました。

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