「世代ナンバーワン左腕」と呼ばれた元巨人の投手は、なぜ万引を繰り返したのか フリマサイトで“月収”100万円、元球児の取調刑事は「何やってるんですか」と嘆いた

 裁判で明らかになったのは大胆な手口だ。ゴルフ帰りなどに立ち寄った店で入退店を数回繰り返し、その都度、人目を盗んで大きなバッグに酒を詰め込む。レンタカーで自宅に持ち帰り、フリーマーケットサイトで売りさばいた。きっかけは、もらい物の酒やゴルフ用品を売って思わぬ金を得たことだったという。「やめられなかった」と話した。

 防犯カメラの映像で万引の瞬間を目撃した検察官は「とにかく動きが素早い」と驚き、被害を特定できたのは一部だと語った。被告人質問では、捜査のため自宅を訪ねた警察官が、ベランダを飛び越えて全力疾走で逃げる元投手に全く追いつけなかったことも明らかに。検察官は「人並み以上の身体能力を、どうしてもっと良いことに使えなかったのか」と嘆いた。

 公判中、逮捕後の様子を振り返った元投手が感情的になった場面があった。弁護人からこう質問された時だ。

 弁護人「取り調べをした警察官からなんと言われましたか」

 元投手「『何やってるんですか』と言われました」

 弁護人からさらに「(警察官は)野球を見ていた人じゃないんですか」と質問されると「同じ、野球をしていた人です」と話し、涙で声を詰まらせた。
 ▽超高校級

 夏の甲子園ベスト4の実績を持つ強豪、秋田経法大付高(現ノースアジア大明桜高)出身。左腕から150キロ近い速球を投げ、在学中から話題を呼んだ。高校3年時の1994年秋に開かれたアジア大会では、高校生で史上初の日本代表入りを果たし、金メダル。大会前の親善試合では、当時「世界最強」と称されたキューバ代表を相手に、1回を投げて二つの三球三振を奪う。「超高校級」「10年に1人の逸材」と、称賛の声が相次いだ。


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