感染拡大防止策のカギとされてきたワクチン接種について、気になるデータが明らかになった。
「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の事務局が作成した資料で、ワクチン接種歴別の新規陽性者数のデータだ。

 それによると、年代によっては、2回接種したほうが未接種よりも新規感染率が高いという。一体どういうことなのか?

 このワクチンの逆転現象をどう理解すべきかは難しいところだ。アドバイザリーボードの資料にも、「結果の解釈には留意が必要」との注意書きが付されている。

 なぜ逆転現象が起きているのか、いくつかの要因を考える必要がある。まず、2回目の接種は昨年秋ごろまでに終えている人が多い。
その後、3回目の接種を受けていない人は、2回目接種から半年以上が経過して体内の抗体が減少しており、感染予防効果が薄れていることが考えられる。

 さらに、第6波で問題とされたのがウイルスの変異だ。第6波では、オミクロン株が蔓延し、その後BA.2系統への置き換わりなど、さらに変異が続いている。
その結果、ワクチンの感染予防効果が低下してしまっている可能性がある。

 一方で、ワクチン接種を受けた人の意識はどうか。「自分はワクチンを2回打っており、感染防止対策は万全」という過信があり、
未接種の人に比べて接種後の感染防止対策を緩めてしまったままかもしれない。

 特に、60代、70代の人は、8割以上の人が3回目接種済みとなっている。まだ3回目を打っていなくても、
周囲の3回目接種済みの同世代の人々と行動を共にするうちに、同じような過信を持つようになっているかもしれない。
ただし、その根拠はなく、あくまで筆者の推測に過ぎない。

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/70676