三島由紀夫ら1920年台生まれの人々は多感な10代を戦争勃発~終戦で過ごした。そして、その世代らしい感覚が培われ、それは、三島作品を見たら分かる通り、10年20年、生涯にわたり、その人々へ影響を与えるイデオロギーとなるのだ。そのイデオロギーは根となり、或いは三島文学に代表される芸術の花を咲かせ、或いは怖しいカタストロフィーの可能性と云う実を宿すのだ。
 僕ら2000年代生まれは100年に一度の疫病禍で10代を過ごそうとしている。果たして、どのような感覚が培われるのだろうか?今の僕達にはわからない。わかるはずがない。それは10年後20年後に世間が振り返って初めてわかることだ。(政治と同じだ。当時のドイツ人はナチスを信仰し、正義としていた)
 僕は、僕らは三島と近い境遇(歴史的ムーブメントの渦中)で10代を送っている。戦争は終わる。コロナは終わる。いつか平和で素晴らしい日常生活が戻る。一つの時代に幕が閉じ、パラダイムは消滅する。
 僕のこの若々しい、敏感で、影響を受けやすい心はこの時代の変移をどう受け取るのか?僕の僕らの思考へどう根を張り、どんな花を咲かせるのだろうか?
 そんな花に水を注げる為だけに生きていくのも悪くない。