何の前触れもなく住宅街に現れ、次々と飼い犬を襲っていく―。
「RT」と呼ばれる1頭のヒグマが、北海道・羅臼町を恐怖に陥れている。

「2018年8月のことです。海に面した海岸町という地域で、民家の庭につながれていた飼い犬2匹がヒグマに襲われて死亡したのです。
このヒグマは食べ残した犬を地面に埋め、土饅頭にしているところを住民に見つかって逃げ出していきました。
午後2時という白昼堂々の犯行で、町には激震が走りました。

これ以来、同じ個体によって飼い犬が襲撃される事件が町内で相次ぐようになったのです」(羅臼町役場産業創生課の田澤道広主任)

翌'19年は7~8月にかけて前年と同じ海岸町、そこから約20キロ離れた峯浜町、両町の中間点である春日町で飼い犬が襲われる被害が起きた。
この頃から件のヒグマは関係者によって「RT」と呼ばれるようになり、恐れられてきた。