「2人選べ」と強要し連れ去り・母子ともに被害…ロシア占拠下の性暴力、見通せぬ全容
https://news.yahoo.co.jp/articles/1a564e5c791691a3b00dbcb54e5d96e9fb0f168b

 ウクライナの人権団体や検察当局が、ロシア軍の占拠下でのレイプ被害者らの証言を集め、露軍兵士らの訴追手続きを進めている。母親が娘の目の前で被害に遭うなど、痛ましい事例が報告されている。組織的犯行の疑いが指摘されるが、告訴をためらう被害者も多く、法の裁きには障壁が立ちはだかる。

親子で被害

「2人選べ」と強要し連れ去り・母子ともに被害…ロシア占拠下の性暴力、見通せぬ全容
キーウ近郊イルピンの破壊された住宅街(5月14日、関口寛人撮影)。ロシア軍が一時占拠したキーウ近郊の街では、性暴力の被害が報告されている
 ウクライナの人権団体「ラ・ストラダ・ウクライナ」は、露軍に約1か月間占拠されたキーウ(キエフ)近郊が解放された3月下旬以降、被害者や目撃者などからの通報を基に、実態調査を進めている。5月26日までに20件の被害が報告されている。被害者は13~58歳で、13、14、17歳の未成年の少女3人と、20歳前後の男性1人も含まれる。イルピンやブチャなどキーウ州での被害が中心だ。

 典型的なのは、集団の中から何人か連れ去る事例だ。占拠時、住民はアパートの地下室に集められ、移動を制限される場合が多かった。ブチャで報告された事例では、露軍兵士が地下室に現れ、「これからレイプする。2人選べ」と住民に言い放ち、住民が拒否すると勝手に2人の女性を連れ去った。

 しばらく後、兵士が連れ去った女性の一人を地下室に投げ入れた。女性は髪も衣服も汚れ、顔に殴られた痕があった。その後、女性は数日間、地下室で他の住民と一緒に過ごしたが、憔悴(しょうすい)し、何も言葉を発しなかったという。もう一人の女性は行方不明のままだ。
 母親が子供の目の前で被害に遭った事例も少なくとも4件報告されている。ある事例では、母親が娘の前で、その後に娘が母親の前で被害に遭った。