露軍に全裸にされ尋問も

 国連や赤十字国際委員会による退避は、4月末に始まった。アナさんは30日午後7時ごろ、約2か月ぶりに製鉄所から地上に出て、ようやくバスに乗ることができた。

 だがその後、連れて行かれたのは、大小のテントが並ぶ「選別収容所」だった。全裸にされ、軍関係者であることを示すようなタトゥーがないか、女性兵士に調べられた。身分証も奪われ、指紋を採取された。

 続いて、露軍による尋問が待ち受けていた。アナさんが軍人の妻であることを事前に把握しており、「夫のことを話すように」と圧力をかけてきた。しかし、「離婚しようとしており、夫の居場所は知らない」とウソをつき、切り抜けた。
 避難者の中にはロシア寄りの人もおり、「製鉄所の見取り図を描くなど、露軍に協力していた」という。選別収容所では2日間足止めされ、安全な南部ザポリージャに着いたのは5月3日だった。