謎の穴が船の後方にあった模様


海上保安庁の関係者によりますと、事故当日の午後1時18分に、観光船の乗客の携帯電話から発信された118番通報の位置情報を確認した結果、通報位置と、船が沈没した地点とは、およそ200メートル離れていたということです。

この通報位置は、数十メートルの水深があり、暗礁などがある浅瀬ではないため、関係者によりますと、海上保安庁の初期の原因調査は、船が岩に接触するなどして船体が損傷したとは考えにくく、高波が船内に入り込む「打ち込み」などにより浸水が起きた可能性があるとみて進められました。

【2 高波の打ち込みも確証なし】

しかし、その後、海底に沈没した船体を調査した結果、この「打ち込み」を裏付ける確証は得られていないといいます。
船の前方の窓ガラスが割れていたことが分かり、高波が窓ガラスを突き破って海水が船内に入り込んだのであれば、船内にはガラスの破片などが残されていることになりますが、こうした状況はうかがえませんでした。

むしろ、窓ガラスは外部からの高波などでなく、内部からの圧力で破損した可能性があるということです。

【3 船体に穴、揺れる見立て】

こうした状況に加え、さらに、船体の後方には穴があいていたこともわかりました。
海上保安庁の関係者は、何らかの原因で船体に穴があき、そこから船内への浸水が起きた可能性も視野に入り始めたとしています。

窓ガラスが内部から外に向けて破損したとみられるという状況も、船内に満たされた海水の圧力が加わったとすれば整合性がとれます。

一方で、当初の見立てにあったように、暗礁での接触などが考えにくいとすれば、なぜ、船体に穴があいたのか、その原因は見えていません。