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エウレカ!
紀元前200年
かの有名な数学者アルキメデスは王冠に含まれる金の量を計測する手法に気づいたときそう叫んだ
21世紀
ここでも数学者が新たな発見をした.
「このような賞をもらえて非常に光栄です」
「しかしこの発見はまだ序章にすぎません!私はこの数式から高次元空間の認識を可能にさせます!」
世界中の人は興奮に沸き立った
それから博士は一人研究室にこもり
鍵をかけ助手の私でさえ立ち入ることを許さなかった
博士が部屋から出てくることはまれで
たまに出てきたと思うとぶつぶつと何かを言いながら食事だけとり部屋に戻っていった 「エウレカ!」
数か月たったころであろうか
博士の部屋からそれが聞こえてきた
「博士...?」
私は扉の前で呼びかけた
しばらくしても返事がないので扉を静かに開けた
冷気が頬を撫で 金木犀(キンモクセイ)の香りがかすかにかおる
部屋は薄暗く卓上の白熱電球からは放射状にオレンジ色の光が広がっている
「博士」
もう一度暗い部屋に呼びかけた
返事はなかった
回転いすが回りながらキィキィと寂しげに音を立てていた
それ以降博士を見かけた人はいなかった
3か月が経過し
警察による博士の捜索は打ち切られた 私は博士の部屋をそのまま引き継ぐ形となった
警察が入ったその部屋はほとんどのものが持ち出されがらんとしていた
私は博士が研究成果を大切にしまっていた保管庫を鍵で開けた
この鍵は私と博士しか知らない
保管庫の中にはしわくちゃになったメモ用紙が1枚入っていた
そこには明らかに博士の文字でこう書きなぐられていた
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ああ,世界とはこんなに単純なものだったのか
問題は気づくか気づかないかだ
視界の端にうつる自身の鼻に気づくように
高次元世界はいつも隣にあったんだ
その数式とは
【解読不明な文字】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー >>4
お前馬鹿なのか
創作者が未完成のもん人に見せんなよ 私はその数式をしばらく眺めてた
数式の理解はできたが気づくとは何のことだろう
メモを握りしめ虚空を見つめたまま博士の言葉に考えを巡らせる
『 問題は気づくか気づかないかだ』
「あっ...」
冷気が頬を撫でる
「エウレカ...」
金木犀の香りがする ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています