新型コロナウイルス対策の給付金をめぐり人口3千人の町が揺れている。山口県阿武(あぶ)町で4月、コロナ禍の影響があった住民税非課税世帯への臨時特別給付金を1世帯に誤って振り込むミスが発覚した。
その額、463世帯分相当の4630万円。思わぬ大金を手にした世帯主は「戻せない」と返還を拒んでおり、回収のめどは立っていない。町は刑事告訴などを検討しているというが、専門家からは「罪に問うことは難しい」との指摘もある。

町の担当者が世帯主と接触できたのは、問題が発覚した8日だった。
中野副町長によると、世帯主は当初、返還に応じる姿勢を見せていたがその後、電話やメールでの連絡がつきにくくなり、次に会えたのは14日。
その際、世帯主は一転して「(誤入金した)役場が悪い」との趣旨の発言をしたという。

町は返還要求を続け、世帯主の自宅の車や照明の状況などを確認しては接触の機会を探った。21日、職員が外出した世帯主に声をかけると、「お金は口座から動かし、戻せない。罪は償う」と告げられたという。
給付金を借金返済にあてていないかを尋ねると否定されたが、事実確認はできていない。

町は22日に記者会見を開催。経緯を説明し、花田憲彦町長が「痛恨の極み」と頭を下げた。町は警察にも事情を説明。今後については刑事告訴や民事訴訟も視野に対応を検討している。

ただ中野副町長によると、28日時点で世帯主とは連絡が取れなくなっている。自宅を訪問しても姿は見えず、「雲隠れしてしまったようだ」とこぼした。

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