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研究会の最後に東條は、参列者の意見として以下のように述べたという。

諸君の研究の勞を多とするが、これはあくまでも机上の演習でありまして、實際の戰争といふものは、君達が考へているやうな物では無いのであります。

日露戰争で、わが大日本帝國は勝てるとは思はなかつた。然し勝つたのであります。

あの當時も列强による三國干渉で、やむにやまれず帝國は立ち上がつたのでありまして、勝てる戰争だからと思つてやつたのではなかつた。

戰といふものは、計畫通りにいかない。意外裡な事が勝利に繋がつていく。
したがつて、諸君の考へている事は机上の空論とまでは言はないとしても、あくまでも、その意外裡の要素といふものをば、考慮したものではないのであります。

なほ、この机上演習の經緯を、諸君は輕はずみに口外してはならぬといふことであります。