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語り

村上 国二 
明治三十八年三月十日生
(八十一才)

今から六十年程前、私が二十才の頃、大正十四年秋の現在墓地での露天焼きの出来事を書いて見ます。

其の頃は人が死ぬと墓地での土葬が多く、現在のような火葬場も出来ていないし、火葬は少なかった。
当時、江花にAさんが農業をしていた。まだ三十才位の若い血気盛んな青年で、軍隊に入隊し、成績も良く上等兵となって除隊し、嫁をもらって農業を営んでいたが、或る日風邪をひいて、それがもとで肺炎を起し、突然世を去った。