「私が目指しているのは当然、排外主義なんです」と喧伝する団体も…日本の団地で起きている中国人に対する偏見のリアル
https://news.yahoo.co.jp/articles/cd0860642752a6e1e516576829b4c225daf4fa76

「警告」のように見えるイタズラの張り紙
 だが、問題はこうした言説がネットに流布されることで、けっして少なくはない同調者を生んでしまうことにある。

「人種間というよりは、世代間のギャップなんですよ」

 私が最初に芝園団地に足を運んだのはこの男性たちが「実態調査」をおこなった直後だった。

 一方、団地内を歩いていると、掲示板に次のように記された張り紙があった。

警告 不良支那人・第三国人 偽装入居者(不法)

強制送還される前に退去せよ

 太字の黒マジックで殴り書きされたような張り紙の文字からは、憎悪と差別の“勢い”が見て取れた。いかにも団地の管理事務所が貼り出した「警告」のように見えるが、実際は何者かによるイタズラである。

誤解に基づいた中国人に対する偏見
 そのころ、団地自治会はURに対して「これ以上、中国人の入居者を増やさないでほしい」とも要望している。

 摩擦は間違いなく存在した。

 だが、日本人住民のなかでも「メディアや右翼が騒ぐほどの問題はない」といい切る人も少なくなかった。

 別の70代住民は次のように話した。

「この団地には広い中庭があるので、昔から近隣の悪ガキたちのたまり場になっているんです。そうした者たちのイタズラを、中国人の仕業だと喧伝する住民がいるんです。少し前のことですが、夏祭りの前夜に、盆踊りの舞台に飾られた提灯が壊されるという事件が起きました。目撃者もいたことで、“犯人”は団地の外に住む日本人の中学生グループだということはわかったのですが、それでも、中国人がやったに違いないというウワサが、あっという間に広がりました」

世代間のギャップによる問題
「本当の問題は、日本人も中国人も、互いの存在に無関心であることではないのか」

 当時、私にそう告げたのは団地内に店を構える日本人の商店主だった。

「人種間というよりは、世代間のギャップなんですよ。高齢者ばかりの日本人と、働き盛りの中国人では、どうしたって交流の機会が少なくなる。接触がなければ相互理解だって進まない」