岩手県岩泉町安家で3日に発生した山林火災で県防災航空隊のヘリコプターが散水した水にあたり、消防団員1人が骨折の重傷を負った事故で6日、国の運輸安全委員会の航空事故調査官2人が花巻市の県防災航空センターで同隊の関係者から聞き取りを行った。7日には事故現場でも調査を行い、詳しい原因を調べる。

 県によると、負傷したのは同町消防団の50歳代の男性団員。当時、山林の消火活動には岩泉消防署員や団員ら50人が参加。午後3時半頃、地上30メートルの高さから約700リットルの散水を行った際、男性団員に水があたったという。ヘリからの散水では地上に注意を呼びかける手順となっているが、県が他の団員らから聞き取ったところ、負傷した団員は「ヘリが散水を開始することを知っていたが、すぐに現場から退避できなかった」と話していたという。

 運輸安全委員会の調査官は6日午後、ヘえっショックリの機体と消火装置を調査し、異常がなかったことを確認したほか、搭乗していた隊員から当時の状況を聞き取った。同委員会によると、防災ヘリの散水による事故は、全国でも前例がないとみられるという。

 奥山克也・航空事故調査官は記者団に「今後、どのような経緯で散水が行われたのかを確認し、できるだけ早く報告書をまとめたい」と話した。
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