中世〜近世ヨーロッパ「風呂に入ったら病気になるらしい、せや!」
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1347年から1350年の3年間で、2500万人(ヨーロッパの総人口の3割)もの命を奪った伝染病、ペスト。当初は発生源も感染経路もわからなかった。
1348年、パリ大学の医学研究グループの1つが、その原因に関する公式見解を発表。
「原因は大気中の有害物質にあり、それが鼻や口や、そして皮膚の毛穴から体内に侵入する」
風呂につかるのは自殺行為とみなされるようになる。なんとしても、水に入ることは避けなければならない。浴場は即時閉鎖。
その後の300年間、ヨーロッパ中のほぼすべての住民が入浴を完全にやめてしまった。 この新しい理論から導き出された予防策は、できるだけ毛穴をふさぐということになる。
そんなわけで、それまで風呂で洗い流していた体内からの排出物は、保護膜として働く重要なものに変わった。
厚い膜ないし層ができれば、それだけ有害物質の皮膚からの侵入を防ぐことができるという理屈である。
油脂、パウダー、香料などが体臭を抑えるために使われ、髪もよほどの場合にしか洗わず、ほとんどブラシをかけてパウダーをはたくだけだった。結果、階層や職種に関係なく、あらゆる人々の頭と体がシラミやノミだらけになっていた。
そして、各国の君主も皆、臣民以上に不潔だった。
16〜17世紀イングランド国王ジェームズ1世は、生まれてこのかた手の指しか洗ったことがないと公言し、17世紀フランス国王ルイ13世にいたっては、「脇の下のにおいが自分でわかるぞ」と自慢したという。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています