特に5回から3番手で登板した高橋は先頭のベッツに内野安打を許すも、続く米国の主将、3度MVPにも輝いたトラウトを直球で追い込み、フルカウントからワンバウンドのフォークで空振り三振に斬って取ると、続く22年のナ・リーグMVPのゴールドシュミットにはフォークを意識させた上で、最後は156キロのストレートで見逃し三振に抑えるなどメジャー屈指の強打者に対し、完璧なピッチングで封じ込めた。

 このピッチングに対しては米投球分析家で「ピッチングニンジャ」として知られるロブ・フリードマン氏も自身のツイッターで動画を公開した上で、落差の大きいフォークに対し「何とも邪悪なスプリット!」と表現、「彼がMLBでプレーするまでどれくらいかかる?」「誰かが彼と契約する必要がある」など、次に”海を渡る選手”として高く評価した。

 大会最年少の20歳で参加した高橋を始め、今大会では先発した佐々木朗希、山本由伸以外にも日本が誇る投手陣が躍動。3試合に登板し、無失点に抑えた伊藤、同じく4試合に登板し無失点に抑えた大勢、決勝戦で今永の後を継いだ戸郷などの力も認められている。栗山英樹監督も「若いピッチャーたちがこれだけすごいアメリカのバッター相手に一生懸命投げたことが大きかった」と認める、正にチーム一丸となっての勝利。
 
 メジャースカウトにとっては「ショーケース」といわれるWBCの大舞台で大きな存在感を示した日の丸投手陣は、「宝の山」として今後も注目を集めそうだ。