中国の訪日観光客が戻ってこないかもしれない、これだけの深刻な理由
https://news.yahoo.co.jp/articles/42acfddb6835c7e1087b413094edbdfb1f1ba7d3

● 海外旅行商品の販売はまだ

 今回、日本政府が解禁の対象にしたのは、中国を含む98の国と地域からの団体旅行客の訪日旅行だが、前出の旅行会社の担当者によれば「中国から海外に行くアウトバウンド業務の取り扱い開始の許可が下りておらず、今も弊社では海外旅行商品の販売は行っていない」という。

 中国側のアウトバウンドとは、日本からすればインバウンドを意味するが、コロナがまん延してからは、中国の旅行会社の中にはアウトバウンドの部署を丸ごと閉鎖してしまった企業もあった。この旅行会社も、海外に送客するアウトバウンド業務は復活していない。

 今後の動向を決めるのはゼロコロナ政策次第だが、「人の移動が厳しく制限される中国のゼロコロナ政策は、この先3年から5年は続くだろう」と予測する中国の政治学者もいる。ロックダウンは将来的にも繰り返される恐れもあるというわけだ。実際、上海でも再封鎖されるマンションが出てきている。

 もっともそれ以上に懸念されるのが、中国政府が意図的に観光客を送らなくなる可能性だ。一時期、中国人観光客が大挙して押し寄せた台湾も、アメリカ寄りの蔡英文政権が発足してからは鳴かず飛ばずとなった。その時と同じパターンで、日本がアメリカ寄りの立場をより強めれば、中国人団体客を“手札”として切ってくることもあるだろう。

 東アジア情勢に深い霧が立ち込める中、コロナとともに蒸発した中国からの“客足”は、一時的に戻ってきたとしても、「いつまた途絶えるのか」というリスクと常に背中合わせの状態にある。