彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
(´・ω・`)「ボク、もう帰るね」
彡(゚)(゚)「なに言っとるんや、今が一番、大切なところやぞ」
(´・ω・`)「でも、ボクには彼らが何を言っているのか……」
(´・ω・`)「さっぱり分からないんだ」
彡(゚)(゚)「議会の内容なんかどうでもいい」
彡(゚)(゚)「知ろうとするだけ無駄や」
(;´・ω・` )「えぇ…。だったら何のためにここにいるんだい?」
彡(゚)(゚)「政治の技を見るためや」
(´・ω・`)「政治の技?」
彡(゚)(゚)「あの演説家がしとる議会妨害がそれや」
(´・ω・`)「え?議会を妨害しているのは周りの議員たちだろ?」
彡(゚)(゚)「ちゃう、あの演説は時間いっぱい喋り通して……」
彡(゚)(゚)「他の議員に発言の機会を与えないことが目的なんや」
彡(゚)(゚)「だから周りの議員は怒って騒いどるんや」
(´・ω・`)「そんなことしてどうなるんだい?」
彡(゚)(゚)「時間切れで反論させなくする」
彡(゚)(゚)「これが政治の技や」 (;´・ω・` ) .。oO(いったいアドルフは何を言っているんだろう……)
そんな姑息な手段になにを学ぶことがあるのか
ボクには無意味な時間の浪費としか思えない
(;´・ω・` ) .。oO(でも……ボクが間違っているのかな?)
なにせボクは政治のことがさっぱりだし……
その後も、アドルフは全神経を集中させ
理解不能な演説をじっと見つめていた やきう民のAAに何か解説させたり偉人にさせたりする奴ってほとんどつまらんよな
こういう奴らがゆっくり解説とか好んで見てるんだろうな (´・ω・`)「おばさん アドルフはなんで政治に興味を?」
クララおばさんは語った
「血かしらね。 亡くなったお父さんも政治談義が好きだったから」
「いつも居酒屋で熱く政治を語って、煙たがられてたみたいだけど」
「アドルフに直接言ってる所は見たことがないから」
「なんだかんだ言っても親子なのねあの二人は」
「でも、最近の若い子はみんな自分をドイツ人だと思いたいみたいよ」
(*^◯^*)「クビツェク君はどうなの?」
( ´-ω-` )「うーん」
(´・ω・`)「分からないです」 (ꐦ`•ω•´)「うるさいな!」
彡(゚)(゚)「うるさいってなんやねん!!」
彡(•)(•)「ワイは正しいことを言ってるだけや!」
(`‐ω‐´)「なんだよ…」
(ꐦ`•ω•´)「アドルフは口ばっかでろくに仕事もしてないくせに!」
彡()()「はあああん!それを言ったらお終いや!!」
彡(●)(●)「もう勝手にせえや!」
(`‐ω‐´)「ああ、そうさせてもらうね!」
ボクたちは完全に決別した (´-ω-`) .。oO(なにがきっかけだっただろう…)
音楽性の違いだったかな?
うまく思い出せない、でも……
(ꐦ`•ω•´)「アドルフのバーカ!」 ボクはトランペット奏者としてコンサートに出演予定だった
それまでの数日間、緊張の連続だった
( ¯灬¯ )「よし、今日の仕事はここまでだ」
( ;´-ω-` )「ふう…」
(´・ω・`)「ちょっと外でトランペット吹いてくる」
(∗ 'ω' ∗)「また一人?アドルフ君はどうしたの?」
(`‐ω‐´)「……知らないよ あんな奴!」
バタン!!
懸命に音を鳴らした
ちっともおもしろくない… (ꐦ`•ω•´) .。oO(これもあれもアドルフのせいだ!)
なんでコンサートの前にこんなイライラしないといけないんだ!
アドルフはいつだってそうだった、いつもボクをバカにして
いつだって…いつだって…… (´^ω^)(アドルフ聞いて!ボク コンサートに出るんだよ)
(´^ω^`)(あの聖エリザベートだよ!)
彡(゚)(゚)(ファッ!)
彡(^)(^)(やったやんけクビツェク!) …いつだって
(;´・ω・` )(アドルフ…うまくやれるかな 不安だよ…)
彡(•)(•)(なに言っとんのや!不安なら練習や)
彡(^)(^)(ワイがとことん付き合ったる!!) …
ブオン
( ;´-ω-` )(いつもここで間違えちゃうんだ…)
彡(゚)(゚)(そこはもうちょっとこうしたらいいんちゃうか?)
(´・ω・`)(こう?)パー♪
(´^ω^`)(やったできたよ!)
彡(-)(-)(ワイの指導の賜物やな)
( ;´-ω-` )……
彡(゚)(゚)(どうしたんや?)
(;´・ω・` )(こんなんで本番 大丈夫かな…)
彡(●)(●)(大丈夫や!絶対にうまくいく!)
彡(^)(^)(ワイが保証したる!!) コンサート当日
:(´ºωº`):
胸が高鳴る
コンサート会場は満員
オーケストラで子どもはボクだけ……
トランペットは間違えるとすごく目立つ… ブー
:(´ºωº`):
幕が上がった
指揮者がおじぎをして挨拶している
(。゚ω゚) .。oO(あっ、お母さん!)
お母さんは客席で不安そうにボクを見ている
( ;´-ω-` ) .。oO(…そんな顔しないでよ)
ボクまで不安になっちゃう… (´・ω・`).。oO(あれ?)
お母さんの隣にいる、大きい目をしたのは…
(。゚ω゚) .。oO(え、なんでいるの!?)
そこにはアドルフがいた
彡(^)(^)
彼はボクを励ますように微笑んでいた
(´・ω・`)
驚きのせいか、励ましのせいか
不安は吹き飛んでいた
ありがとう ・・・
( ˙-˙ ) .。oO(すべてが上出来に終わった)
( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡
大きな拍手が巻き起こった!
お母さんは立ち上がって、目に大きな涙を浮かべている
その横でアドルフは…
その大きな目を真っ直ぐボクに向け拍手を送っていた
(∗ ;ω; ∗)彡(゚)(゚)ノノパチパチ その日の夜
ボクとアドルフは人気のない静かな森に出かけた
( ´-ω-` )「アドルフ…ごめ」
彡(-)(-)「なんも言わんでええ…」
彡(^)(^)「ワイはすばらしい音楽が聴けて満足や!」
(´・ω・`)……
彡(-)(-)「でもな、これだけは言っとく」
彡(•)(•)「クビツェク お前は音楽家の最高峰、指揮者になれ!」
(。゚ω゚)!! 彡(゚)(゚)「お前には才能がある」
彡(゚)(゚)「その才能を埋もれさせたらアカン!」
彡(゚)(゚)「クビツェク お前は…」
彡(^)(^)「音楽の中でこそ輝く存在や!」
(。゚ω゚)……
この時、アドルフの途方もない言葉に
ボクはなにも答えられなかった… リンツ市街
彡(゚)(゚)「お!新しい家が出来とるぞ」
(´・ω・`)「ほんとうだね」
彡(>)(<)「さっそくスケッチしたろ!」
(´・ω・`)「また、始まった……」
アドルフは常に紙と鉛筆を持ち歩いていた
そして気に入った風景や建物があると、すぐスケッチした (´・ω・`) .。oO(それにしても上手だな)
ボクもたまに仕事でスケッチすることがあるけど
アドルフのようにスラスラとは描けない
それに早いだけでなく、大胆な筆遣いで書き出される線はとても魅力的だ
(´・ω・`)ジー
入り乱れた線のもつれ合いの中から建物が出来上がっていく
見ていて、とてもおもしろい 彡(゚)(゚)「よし、完成や!」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ねえ、アドルフ?」
彡(゚)(゚)「なんや」
(´・ω・`)「色は塗らないの?」
(´・ω・`)「いつもスケッチだけで、ちゃんと仕上げないよね」
彡(-)(-)「うーん、色まで塗りだすと時間がかかるしな…」
彡(゚)(゚)「なんやったらワイの部屋に来るか?」
彡(゚)(゚)「完成品ならいくらでもあるで」
(´・ω・`)「え!いいの?」
彡(゚)(゚)「かまへんで」
彡(゚)(゚)ノ「ほな、行こか」 アドルフの家
彡(゚)(゚)「ここがワイの部屋や」
(´・ω・`)「そういえば、アドルフの部屋に入るのは初めてだ」
彡(゚)(゚)「前はチビに邪魔されたしな」
ガチャ
(´・ω・`).。oO(へえーここがアドルフの…汚いな)
部屋中が紙だらけだ……
彡(゚)(゚)「たしか……完成品はここに…」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ、これや」
(´・ω・`)「ありがとう」 ( ¯•ω•¯ ) .。oO(んー……)
正直……微妙だな……
水彩画なのに絵の具を塗りたくっているだけ
即興的な雰囲気や薄く柔らかい水のにじみをまったく表現できていない
感想としては不器用で没個性……稚拙の一言に尽きる 彡(゚)(゚)「気に入ったのがあれば、好きなだけ持って行っていいで」
(;´・ω・` )「う、うん。ありがとう」
Σ(´•ω•)「ん?」
(´・ω・`)「アドルフ……あれって…」
彡(゚)(゚)「ただの製図板やろ」
(´・ω・`)「いや……この書きかけのこれは……建物の設計図?」
彡(゚)(゚)「せや、ワイが設計した新しい劇場や」
(´・ω・`)「へーすごい……」 ものすごい緻密に細部まで描かれている
ボクはこれでも家具職人の端くれだ
設計に関しては生まれ持っての才能は関係ない
技術や知識をどれだけ努力して身につけるかにかかっている
きっとアドルフはここまで出来るようになるまで
相当な苦労をしたんだろう (`-ω-´)「いやーアドルフ。これはすごいよ」
(´・ω・`)「いったい誰に教わったんだい?」
彡(゚)(゚)「独学やが」
(´・ω・`)「え?」
彡(゚)(゚)「建築関連の本を読んで、あとは適当に思い付きで書いてるで」
(。゚ω゚) .。oO(えええ!!)
ちょっと待ってよ
さっきのボクの発言、返してよ!
設計に才能は関係ない、努力の賜物だって……
カッコつけたばかりなのに! 彡(゚)(゚)「なんやクビツェクも建築に興味があるんか」
彡(^)(^)「ならこれからは、建物の話でも盛り上がれるな!」
(;´・ω・` )「いや……ボク、建物に全然…詳しくないし……」
彡(^)(^)「謙遜せんでええ。それに、いくらでもワイが教えたる」
彡(゚)(゚)「せや、いい機会やし……これプレゼントするわ」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ」
(;´・ω・` )つ「あ、ありがとう」
(´・ω・`)「これは邸宅の設計図……」 (´・ω・`) .。oO(ん?)
なんか見覚えというか……聞き覚えがあるような気が……
なんだったかな……
……
そうだ!
(´・ω・`)「ねえ、これってステファニーと一緒に住むために設計した……」
彡(゚)(゚)「ちっ、覚えとったか」
(´・ω・`)「こんなの貰っても困るんだけど…」
彡;(゚)(゚)「ワイも捨てるつもりでいたんやが……」
彡(-)(-)「どうしても思い入れがあってな……」
彡;(゚)(゚)「処分できんのや!」
彡(゚)(゚)「頼む、受け取ってくれ」
(´・ω・`)「えぇ…」
彡(-)(-)「この通りや」
(´・ω・`)「もう……しょうがないな」 ┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフはよくリンツの市街を歩き回った
|苗| ( º言º) 「まるで犬小屋やな」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` ;)
そしてアドルフは目につく建物を必ず批評した
「ここの街並みは一掃して道にすべきや」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` ;)
アドルフが何より熱狂していたのは都市計画についてだった 彡(゚)(゚)「はーなっとらん、なっとらん」
彡(゚)(゚)「誰や、こんなアホな街を作ったアンポンタンは!」
彡(゚)(゚)「役所は古びたゴシック様式でなく、もっと近代的にすべきや!」
彡(゚)(゚)「博物館にはフリーズ装飾を施さんとアカン!」
彡(-)(-)「嘆かわしい……何で誰も文句のひとつも言わんのや…」
( ;´-ω-` )「誰だって街並みに不満もあれば、要望も持ってるよ……」
彡(゚)(゚)「ん?だったらなんで変えんのや?」
( ;´-ω-` )「そんなの決まってるじゃないか…」
(;´・ω・` )「莫大なお金がかかるからだよ」
(;´・ω・` )「アドルフの話にはついていけないよ……」
( ;´-ω-` )「そんな実現不可能なこと考えてどうするんだよ……」
彡(゚)(゚)…… 彡(-)(-)「はー何を言うかと思えば……」
彡(●)(●)「そんなんやから何も変わらんのや!!」
(。゚ω゚)!!
彡(゚)(゚)「クビツェク お前は建物がどうやって建てられるか知っとるか?」
(;´・ω・` )「えっと……まず土台を作ってから骨組みを組んで……」
彡(-)(-)「ちゃう……そんな現場レベルの話とちゃうねん……」
彡(゚)(゚)「ええか。建築はまず計画があって、それに権威が付いて動く……」
彡(゚)(゚)「そして資金が加わって実現するんや」
彡(゚)(゚)「だから、計画がないことには何も始まらん」
彡(゚)(゚)「ワイはそのための計画を日々考えとるんや」
(;´・ω・` )「でも…そんなことを考えても無駄なだけだよ」 (;`・ω・´)「ボクたちは子供だよ……」
( ;´-ω-` )「仮に将来、ボクたちが成功したとしても……」
(;`・ω・´)「ボクは人気オーケストラの指揮者!」
(;`・ω・´)「アドルフは売れっ子の画家、デザイナー!」
(;´・ω・` )「ボクたちが大人になって、目指す職業につけたとしても……」
( ;´-ω-` )「一つの都市を根底から作り直すなんてムリだよ」
彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「そんな話ならワイは聞きたくない」
彡(゚)(゚)「ええわ、一旦この話は終いや……」 アドルフの家
(*^◯^*)「アドルフ、手紙が来てるわよ」
(*^◯^*)ノ「あとコレ、クビツェク君と食べなさい」
彡(゚)(゚)ノ「サンキュー マッマ!」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
(´・ω・`)「なんの手紙だい?」
彡(゚)(゚)「建築協会からの手紙みたいやな」
彡(゚)(゚)「こないだ会員になったんや」
(´・ω・`)「へーそんなのに加入したんだ」
彡(-)(-)「クビツェク まるで他人事やが……」
彡(゚)(゚)「お前にも関係があるんやぞ」
(´・ω・`)「え?どういうこと?」 彡(^)(^)「この協会はリンツの劇場を新しくするために結成されたんや」
彡(^)(^)「お前もさんざんあの劇場には文句いっとったやろ?」
(。゚ω゚)「本当!!」
(´^ω^`)「あの古い劇場が新しくなるなら、とても嬉しいよ!」
彡(^)(^)「しかも……や」
彡(^)(^)「ちゃんとコンテストを開いて、その中から採用されるんや!」
(`・ω・´)「あ!もしかしてアドルフも……」
彡(^)(^)「せや!もちろん応募したで!」
彡(^)(^)「きっとコレはワイの力作が当選した通知や!」
アドルフは手紙の封を切った 彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
(;´・ω・` ) .。oO(あっ……この反応は…)
彡(●)(●)「落選やと!ふざけんなや!!」
( ;´-ω-` ) .。oO(やっぱりね…)
まあ、仕方ないよね
当選した案はきっと大人が考えたものだろうし……
アドルフの力作もさすがに敵わなかったんだ (´・ω・` )「アドルフ、残念だったね……」
(`・ω・´)「でも、プロの手によるすごい作品が選ばれたんだよ」
(´ᴖωᴖ`)「これできっと、リンツの劇場はよくなるよ」
彡(●)(●) 「たしかに…」
彡(-)(-)「ワイも設計に関してはまだまだ素人や」
彡(゚)(゚)「一流の手によってリンツの劇場がよくなるなら……」
彡(-)(-)「それで納得せなアカンな……」
( ;´-ω-` )ふぅ……
彡(゚)(゚)「それで、どんな案が当選したんや……」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
(;´・ω・` ) .。oO(え?) 彡(●)(●)「なんじゃこのふざけた案は!!」
(;´・ω・` )「え?……ボクにも見せて貰っていい?」
彡(●)(●)ノ「……」
(;´・ω・` )ふむふむ……
( ;´-ω-` )「えぇ…」
『リンツ劇場の建築案は費用の観点から現実的であると判断し
バウエル氏の現在のリンツ劇場を修繕した案を採用いたします。』
彡(●)(●)「この期に及んで修繕やと!!」
彡(●)(●)「古いがらくたを取り繕う姿が目に浮かぶわ!!!」
彡(●)(●)「それに……この協会の名前!」
彡(●)(●)「ムダに偉そうに長くしよってからに!!」
バシッ!
アドルフが叩きつけた封筒には
『劇場建設協会建築設計実行委員会』とあった…… アドルフの部屋の前
コンコン!
「だれや?」
(´・ω・`)「ボクだよ、遊びにきたよ」
「おおクビツェクか、入ってええで」
ガチャ
(´・ω・`)「お邪魔します…あっ勉強してた?」
彡(゚)(゚)「べつにかまへん。博物館の設計図を描いとるんや」
(´・ω・`)「へー。ん?博物館?コレが?お城でしょ」
彡(゚)(゚)「コレはな。外観は城にして中を博物館にしようと思っとるんや」
(´・ω・`)「へーオシャレだね」 彡(゚)(゚)「外観だけとちゃうぞ。ちゃんと中身も考えとる」
彡(゚)(゚)「覚えとるか?前に一緒に博物館へ遊びに行ったやろ」
(´・ω・`)「ああ、国の歴史をレリーフで表現してた」
(´・ω・`)「しかも大理石で」
彡(^)(^)「せやせや」
彡(゚)(゚)「あれがリンツの街にもあったらええやろ?」
(´・ω・`)「たしかに、飽きずに何度も見に行けるよ」
(´・ω・`)「こっちの設計図は大聖堂?」
彡(^)(^)「せやせや」
(´・ω・`)「あれ?でも大聖堂は今、建築中だよね?」
彡(゚)(゚)「あんなゴシック様式の大聖堂はアカンわ」
彡(゚)(゚)「だからワイがもっとちゃんとしたのを考えとるんや」 彡(-)(-)「ホンマ、あんなもん建てとるから……」
彡(゚)(゚)「いつまで経ってもリンツはウィーンに追いつけんのや」
(;´・ω・` )「いやいや……」
( ;´-ω-` )「田舎町のリンツが大都会のウィーンに追いつけるわけないじゃん」
彡(-)(-)「はーお前までそんなこと言うんか……」
彡(゚)(゚)「そんなんやから、あんなしょうもない大聖堂で満足するんや……」
(´・ω・`)「十分に立派じゃないか」
彡(-)(-)「あんな小さいもんのどこが立派なんや……」
彡(゚)(゚)「ウィーンの大聖堂は何メートルあるか知っとるか?」
(;´・ω・` )「100メートルぐらい?」
彡(゚)(゚)「一番高いところで138や」
彡(゚)(゚)「ワイらも意地を見せてそれぐらいのモン作らんとアカンやろ」 (;´・ω・` )「無茶だよ……」
彡(-)(-)「……まあええわ」
彡(゚)(゚)「今回の建築のために石工ギルドが新しく創設されたみたいやし……」
彡(゚)(゚)「ワイがこの街を作り変えるときには……」
彡(-)(-)「優秀な職人が育っとるやろ」
(;´・ω・` )「そんなまた誇大妄想をして……」 ボクたちはヴィルトヴェルク城に遊びにきていた
(´・ω・`)「所々、壊れてるけど……」
(´ᴖωᴖ`)「やっぱりお城は男のロマンだよね」
彡(゚)(゚)「なんや?お前でも一国一城の主に憧れるんか?」
(`・ω・´)「そりゃボクも男だからね」
(´ᴖωᴖ`)「お姫様と一緒にこんな城で過ごしたいよ」
彡(゚)(゚)「ほう……それはええ案や」
(;´・ω・` )「え?もしかしてステファニーとここに住もうとか?」
彡(゚)(゚)「いや……J(„❛⌄❛„)と住むなら……」
彡(-)(-)「もっとこじんまりした家でライン川が見えるとこやな」
彡(^)(^)「大きい家より小さな部屋で愛を育みたいやろ」 (´・ω・`)「君の趣向はどうでもいいんだけど……」
(´・ω・`)「なら、なにがいい案なの?」
彡(゚)(゚)「この城に住むってアイディアや」
彡(-)(-)「うーん、この城を復元して……そうやな……」
彡(゚)(゚)「ホテルにするなんてどうや?」
彡(-)(-)「いや……ありきたりでつまらんわ……」
(´・ω・`) .。oO(一人の世界に入っちゃった……) 彡(゚)(゚)「せや……人を集めるために遊技場にしたらどうや?」
彡(-)(-)「アトラクションを周辺に用意して……」
彡(-)(-)「パレードをしたら盛り上がるかもしれん……」
彡(゚)(゚)「せやせや……オリジナルキャラクターを作ってもええな」
彡(-)(-)「どんなキャラがええか……」
(´・ω・`) .。oO(つまんないなー)
あ!ネズミだ
〜( ̄C・>チュウ 彡(-)(-)「チュウ……ネズミのキャラか……」
彡(゚)(゚)「ええかもしれんな」
彡(-)(-)「耳を大きく特徴的にして……」
彡(゚)(゚)「ハハッとか言わせとけば流行るとちゃうんか?」
( ;´-ω-` ) .。oO(そんな適当なキャラ…流行るわけないじゃん)
彡(-)(-)「けど、遊ぶだけってのはあまりに軟弱や……」
彡(-)(-)「それにせっかく復元するなら歴史の要素を入れな勿体ない」
彡(-)(-)……
彡(゚)(゚)「せや、職人学校をここに作ったらどうやろ」
彡(゚)(゚)「それも中世の恰好させて住まわせたらどうや」
彡(゚)(゚)「客も呼べるし、文化も保存できる……」
彡(゚)(゚)「入場料を徴収して、職人の給料に回せば生計も営める」
彡(^)(^)「一石三鳥やんけ!!」
彡(^)(^)「客はこの数世紀の時が止まった島へ観光にくるんや!!!」 彡(-)(-)「けど、人に見られるんやから職人の質の担保が必要や……」
彡(-)(-)「職人を目指す奴なんて気性が荒いのばかりやからな……」
(´・ω・`) .。oO(すごい偏見…いったいボクをなんだと思ってるんだろ)
(´・ω・`)「あのさ、ならマイスター試験を導入したら?」
彡(゚)(゚)「マイスター試験ってなんや?」
(´・ω・`)「あのね職人の技量を見定める試験でね……」
(´・ω・`)「高い技術力を持っているか評価するの」
彡(゚)(゚)「ほう、そんなもんが実際にやられとるんか……」
(´ᴖωᴖ`)「ボクも受けることになると思うんだ」
彡(-)(-)「なるほど、なるほど……すると他に必要なもんは…」
( ;´-ω-` )「って聞いてないし……」 アドルフの都市改造計画には他にも
リヒテンベルクの山に鉄道を通し、ホテルを建てる案や
ウィーンのステファン大聖堂を眺めることができる鉄骨製の展望台
ドナウ川に掛かるアーチ状の橋
天に向けて愛剣ノーテゥングを振り上げる英雄ジークフリート像
彡(-)(-).。oO
と大きいモノから小さいものまで上げればキリがないほどあった
ボクはこんな大胆で遠大な計画はただの空想ゲームでしかないと思っていた
「これからは地下鉄の時代や」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・`) (´・ω・`) .。oO(でもアドルフの考えを聞いているうちに……)
ボクは彼の妄想に魅了されていた
彼の考えのおもしろいところは
一つのアイディアを理解すると他のアイディアも連鎖的に理解できたことだ
彼の一つのアイディアは別のアイディアに繋がっていて
またそのアイディアは次のアイディアを生み出していた
アドルフのアイディアの集合体はとても規則的で体系的
まるで建築のかたちをとった作曲のようだった
♪♪♬ \(゚)(゚)ミ(´-ω-`) 彡(゚)(゚)「なんや 今日は劇場やっとらんやんけ」
( ´-ω-` )「そっか残念…じゃ帰ろうか」
彡(-)(-)「しゃあないな…」
彡(゚)(゚)「ん!?」
(;´・ω・` )「今度はなんだよもう…」
彡(>)(<)「宝くじやん! 買ったろ!」
彡;(゚)(゚)「あら…金がない…」
彡(゚)(゚)「クビツェク!お前も半分出せや!」
(;´・ω・` )「ええ〜! 只でさえ小遣い少ないのに…」 彡(^)(^)「当たった金でワイらが民族記念館を改修するで! 」
彡(>)(<)「クゥ〜! 夢が広がってきたで!」
彡(゚)(゚)「邸宅も作るで! 二階にワイのアトリエを作って」
彡(゚)(゚)/「地下にはクビツェクの音楽室や!」
(`・ω・´)「あっ…」
(´^ω^`)「いいねぇそれ」
彡(^)(^)「せやろ そうとなればさっさと買いにいくで!」
彡(゚)(゚)「おばちゃん、一枚貰うで!」
彡(-)(-)「ど れ に し よ うかな…神様のい う と お り」
彡(゚)(゚)ノ「よし!これや!!」 ボクとアドルフは大いに夢をふくらませた
愛、熱狂、大胆なアイデア
若いボクらには何でもあった
彡(-)(-)(´-ω-`)
ただこれまではお金がなかった
彡(^)(^)(´^ω^`)
でも欠けていたピースが埋まろうとしている今
ボクたちの前に障害はもう何もない 彡(゚)(゚)「新築を建てる案はええが費用がかかり過ぎるで」
(´・ω・`; )「みすぼらしい服で豪邸に住むことになるね」
( ;´-ω-` )「かっこわるい…」
彡(゚)(゚)「せや! 中古物件を買って改造するのはどや!?」
(´^ω^)「それ名案だね!」
彡(^)(^)「よっしゃ 場所決めに行くで!」
(´^ω^`)「行こう行こう!」 (;´・ω・` )「うーんこの辺りは周りが家ばかりだね」
彡(゚)(゚)「次や次!」
(´•ω•)「ここいいんじゃない? 程よく町を見渡せるよ!」
彡(•)(•)「……」
(´・ω・`; ) .。oO(あっ……)
近所に学校があった…
( ;´-ω-` )「ここは学校の通学路があるから芸術活動に支障が生じるね」
彡(-)(-)「せやな」 ┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフは街を走りまわった
そして遂に見つけた
ウアファールキルヘン通り二番にあった家の三階
ドナウ川に近く、緑の優雅な丘陵を見渡せる最高の立地
ボクたちはひっそり忍び込み、引っ越しの計画を立てた 彡(^)(^)「ここにワイの作図机を置くで!」
(´^ω^`)「じゃあボクはこっちにピアノを置くよ」
彡(゚)(゚)「カーテンとその飾りは任せるで!」
(´ᴖωᴖ`)「ふふふ 伊達に家具職人見習いをやってないからね」
(*>ω<*)ゞ「任せてよ!」
ボクはもう夢中になって試案した
(`・ω・´)「できた どうだいアドルフ」
彡(゚)(゚)「おお、ええな! 堅実で妥当や!」
彡(^)(^)「よっ 大将!」 (´・ω・`)「ボク宝くじが当たったら家の手伝いをやめるよ!」
彡(゚)(゚)/「止めてまえ止めてまえ」
(´ᴖωᴖ`)「たまには旅行にも行こうね」
彡(-)(-)「せやな」
彡(^)(^)「ウィーンへ行こうや! 劇場に行ったり講義を聴いたりするで!」
彡(゚)(゚)「でも生活スタイルは今と同じや!」
彡(゚)(゚)/「上品かつ堅実にいくで!」
彡(^)(^)(´ᴖωᴖ`)
宝くじ。それも一等に当選するとボクたちは確信していた ( ¯灬¯ )「クビツェク、椅子の脚をとっておくれ」
(`・ω・´)っ「はい父さん」
ガラガラ
( ¯灬¯ )「ん、だれだ? 納品日は明後日の筈だが…」
彡(゚)(@)「クゥー! ク、ク、クビツェクーーー!!!」
(。゚ω゚)「ア、アドルフ!!?」
アドルフの手にはくじが握られていた 彡()()「ンゴォォォォォォォォ!!!!」
彡(●)(●)「人間の騙されやすさにつけ込む国家主導の投機!」
(´・ω・`) .。oO(ああ…そうか)
( ´-ω-` )駄目だったんだね…
彡()()「善良な市民を食い物にする公然の詐欺!!!」
彡(•)(•)「たかだか十や二十の民族の寄せ集めの糞国家が〜〜!!〜〜!!」
彡(●)(●)「ハプスブルク家の婚姻政策から生まれた怪物!!」
名言製造機のアドルフの口はこれでもかと稼働していた
実際には、二人の哀れな若者がなけなしの金を騙しとられた
ただそれだけの話
彡;(゚)(゚) ( ;´-ω-` ) でもアドルフは自分に非があるとは思いもしていないようだ
一等を得るのは当然の権利であると思っていた
彡;(゚)(゚)「オーストリアなんて信じたワイが馬鹿やった…」
彡;(゚)(゚)「ふぅ…ふう…」
彡(゚)(゚)「くそが、気分直しに橋のスケッチにでもいくでクビツェク!」
(´・ω・`)「うん、付き合うよ」
( ¯灬¯; )「なんだこいつ…」 ボクたちはドナウ川に向かった
ドナウ川を流れる水の上には、何か自由で前に進みたくなる雰囲気があった
まるで自分がそうでありたいと願うように
自らの国を嫌うこの若き民族主義者は熱心に橋をスケッチしていた
(´・ω・`) 彡(゚)(゚)/
( ;´-ω-` ) .。oO(って宝くじを外したくらいで大げさだよね) 一九〇六年の五月から六月にかけて
アドルフはウィーンに滞在していた
( ¯灬¯ )「おーいクビツェク、ヒトラー君から絵葉書が届いているぞ」
(´ᴖωᴖ`)「え、ほんと!?」
『絵葉書を送る。ずっと便りを出さなかったことはすまないと思っている。
僕はとても元気で、今はあちこちを見て回っている。
明日はトリスタンを見に行き、明後日はさまよえるオランダ人という具合だ。』
(`・ω・´) .。oO(ふむふむ…)
(´^ω^`)いろんな劇を見れて楽しそうだなぁ 『全てがとても素晴らしいのだが、僕はもうリンツが恋しい。
今日は市立劇場に行く。尊敬するご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(`・ω・´) .。oO(むむ…)
きっとこの『リンツ』っていうのはそのままの意味じゃない!
アドルフは慣れ親しんではいるけど、田舎のリンツに限界を感じていたはずだ
それに『恋しい』という……この表現…
(`・ω・´) .。oO(わかった!)
きっとこの『リンツ』は『ステファニーJ(„❛ꇴ❛„)』のことだ!
( ;´-ω-` ) .。oO(全くもう…)
気恥ずかしいからって……
こんな回りくどい表現をして 『建物の内部に感動はしない。
建物の外面の力強い威厳が芸術の記念碑的厳粛さを建物に及ぼすのであり、内部ではその威厳よりも感嘆を覚える。
力強い音の波が室内をうねり、風のざわめきが波打つ音のすごい洪水に消え失せるときにこそ、崇高さを感じ、内装を飾る金やビロードのことはわすれてしまう。
尊敬するご両親に宜しく。アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(´・ω・`) .。oO(ふむふむ)
いろいろとぎこちなくて過剰な表現が目立つけど
君がとてもステキな体験をしたことはなんとなく分かったよ(´ᴖωᴖ`) リンツ駅
ボクはアドルフを迎えにきていた
(´ᴖωᴖ`)「おかえり、アドルフ」
彡(^)(^)「おおクビツェク! 」
彡(>)(<)「ウィーンはホンマによかったでぇー!」
彡(゚)(゚)「流石ステファニーを生んだ町や!」
彡(゚)(゚)「あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
彡(-)(-)「クビツェク…ワイは決心したで…」
彡(゚)(゚)「ワイはウィーンへ行く」 アドルフの家
彡(゚)(゚)「母さん! ワイはウィーンへ行くで!」
彡(^)(^)「ウィーンで芸術を学ぶんや!」
(*^◯^*)「駄目よ!」
彡;(゚)(゚)「なんでや!」
彡;(゚)(゚)「費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
(*^◯^*)「そういう勝手なところがお父さんそっくり!」
(*^◯^*)「それにもう、知り合いのパン屋さんに仕事の斡旋を頼みました!」
彡;(゚)(゚)「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
(*^◯^*)「言ったら反対するでしょ!」
彡(•)(•)「当たり前や!」
彡(•)(•)「それも、よりにもよってパン屋やと!」
彡;(゚)(゚)「パンを売ってパンを得るなんて…」
彡;(゚)(゚)「本末転倒もいいとこやろ!!」
(*^◯^*;)「なにを訳のわからないことを…?」 (*^◯^*)「アドルフ!」
(*^◯^*)「あなたは二年前に学校を止めてから、ずっとブラブラして!」
彡;(゚)(゚)「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで!」
彡;(゚)(゚)「ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
(*^◯^*)「この際だから、はっきり言うわ!」
(*^◯^*)「芸術家なんて不安定で軽率なものお母さんは認めないわ!」
彡(◦)(◦)「!?」
( ;´-ω-` ) .。oO(…外にいても聞こえる)
もしかしたらと思って様子を見に来たけど
案の定、修羅場になってるよ…… 彡(•)(•)「何を言っとんじゃ!」
彡(•)(•)「ワイはちゃんと大学にいって勉強するんや!」
彡(゚)(゚)「学校やぞ学校!!」
彡(゚)(゚)「どや!? 学生なら世間体も悪くないやろ!」
(*^◯^*;)「で、でもクビツェク君みたいに音楽ならともかく絵なんて…」
(*^◯^*;)「それに、ラウバルさんだって反対だって言ってたわよ」
(*^◯^*;)「芸術家を目指すなんて気狂いの沙汰だって!」
(;´・ω・` ) .。oO(あ、おばさんダメだよ…)
アドルフにそれは禁句だよ 彡(•)(•)「あんな小役人風情に芸術の何がわかるんや!!」
彡(•)(•)「そうか、あいつに何か吹き込まれたんやな!」
彡(●)(●)「許せへん!いっぱつ かましに行ったるわ!!」
(*^◯^*;)「や、やめて!アドルフ!!」
:(´ºωº`): .。oO(アワワワワ)
ボ、ボクの出る幕は無さそうだ…
今日のところは帰ろう… (;´・ω・` )「このマットレス、ずいぶん注文が込んでるね…!
(;`・ω・´)「ぐぐ…」
( ¯灬¯; )「ああ…今日いっぱいはかかるな…」
ガラガラ
彡(゚)(゚)「クビツェク……」
(;´・ω・` )「あ、アドルフ…ごめん、今は少し忙しくて…」
彡(-)(-)「ワイは明日、出発する……」
彡(゚)(゚)「一緒に駅まで来てくれや」
(。゚ω゚)「明日!?随分急だね」 彡(゚)(゚)「そんじゃ、仕事頑張ってな…」
彡(-)(-)「おじさんも、無理をなさらずに頑張って下さい」
( ¯灬¯ )「ありがとう、アドルフ君」
彡(-)(-)「ほな…また…」 夜
( ;´-ω-` )「やっと終わった…!」
(`・ω・´)「アドルフの家に行ってみよう…」
┗(・ω・´)┓三三3
(;´・ω・` )「ごめんください」
(*^◯^*;)「あ クビツェク君!アドルフが帰ってこなくて!」
(;´・ω・` )「ああ、きっと森にいるんだと…」
( ;´-ω-` )「それで…あの…」
(*^◯^*)「アドルフからはもう聞いているの?」
(;´・ω・` )「えっ、あ、はい…」 :( *^◯^*;):
クララおばさんは戸惑っていた
いつもはこんなことないのに
今日は必死になって詰め寄ってきた
:(*^◯^*;):は語った
「アドルフは高校も卒業していないのよ」
「それなのに、ウィーン行ってどうするつもりなの?」
「画家になるの?絵なんて一円にもならないのに?」
「いったいどうやって生活をしていくつもりなの!?」
「援助なんてできないわ!」
「私にはアドルフだけじゃなく、パウラもいるのに!」
(;´・ω・` )「妹さん、体が弱いんでしたね」
:(*^◯^*;):「そうよ、でもアドルフはそんなことまったくお構い無し…」
(*^◯^*;)「まるで世界に自分一人しかいないかのように我が道を進んで!」 (* ◯ *)「うぐ…」
突然、クララおばさんは胸を押さえしゃがんだ
(。゚ω゚)「お、おばさん!?」
(*^◯^*;)「最近はもう…体の調子が悪くて…!」
(;´・ω・` )っdd「し、しっかり…!」
(*^◯^*;)「クビツェク君…お願い」
(*^◯^*;)「私の体はそう遠くない日に駄目になる気がするの…」
(*-◯-*;)「アドルフは孤独なの…」
(*^◯^*)「だからこれからも一緒にいてあげて…!」
(;´・ω・` ).。oO(おばさん…) 翌日 アドルフの住むアパートの前
階段の上からクララおばさんと女の子のすすり泣く声が聞こえた
そしてトントントンと軽快な足音と共にアドルフが降りてきた
(´・ω・`) .。oO(あ…目に涙がにじんでる…)
でも、指摘なんてしない…
何も言わずアドルフのトランクに手を差し出した
ずしッ
(。゚ω゚) .。oO(重っ!)
いったいなにが入っているんだろう? 彡(-)(-)「母さんはもう一切反対しない」
彡(゚)(゚)「ワイは行くで」
(´・ω・`)「あれ、おばさんは?」
彡;(゚)(゚)「親が子を見送るなんて恥ずいやろ!」
(´-ω-`)「そっか…」 リンツ駅
彡(-)(-)「あいつ…あの糞親父だってウィーンに行った」
彡(゚)(゚)「そして成功して母さんとも結婚できたんや!」
彡(-)(-)「ワイだって きっとできる…!」
彡(-)(-)「…」
(´・ω・`)……
大都市ウィーンは数えきれないほどの可能性に秘められていた
成功して頂点に上がる可能性も……
失敗して奈落に落ちる可能性も……
優しくもあり、残酷でもあるウィーン
すべてを受け入れ、すべてを拒むウィーン
ウィーンはやって来る者にすべてを賭けることを要求する
内気で臆病なボクは憧れることしかできない
それが大都市ウィーンなんだ 彡(゚)(゚)「クビツェク! お前もこいや!」
(。゚ω゚)!!
(´ᴖωᴖ`;)「ははっ、またまた…」
彡(゚)(゚)「クビツェク! これは冗談やない!」
彡(゚)(゚)「本気や!お前このままやと一生そのままやぞ!」
(´•ω•) .。oO(うっ……!) 彡(•)(•)「ワイは知っとる!」
彡(-)(-)「お前が日々、努力していることを…」
彡(-)(-)「どんなに疲れていても夜遅くまで勉強しとることを…」
彡(゚)(゚)「後はお前が勇気をだすだけや!」
(´・ω・`) .。oO(アドルフ…)
彡(゚)(゚)「せやから、来い!クビツェク!」
ポー ドアが閉まります
彡(-)(-)「ほな……待ってるで…」
プシャー 発車します
(´・ω・`)
( ´-ω-` )……
(`・ω・´)!!! ( ¯灬¯ )「おかえりクビツェク… そうか、ヒトラー君は行ったか」
(;`・ω・´)「父さん…ボク…」
( ¯灬¯ )「みなまで言うな お前の頑張りはヒトラー君から聞いている」
(´・ω・`)「え…」
( ¯灬¯ )「お前のやりたいこともな」
(´•ω•`).。oO(アドルフ…あんなこと言って)
父さんを説得してくれていたんだ…! ( ¯灬¯ )「家を避けていたお前が親友を見送った後すぐここに来た…!」
( ¯灬¯ )「それだけでもう私は理解した」
(;`・ω・´)「父さん…! じゃあ…!」
( ¯灬¯ )「ああ…ただし、あと一年の修行を終えてだ」
v( ¯灬¯ )「勿論、音大の受験勉強と平行でな」
(´;ω;`)「うん…うん…やるよ…勿論やるよ…!」 『アドルフへ
君のおかげで、父さんの許可が貰えたよ
宝くじの夢は叶わなかったけど
同居して二人、ウィーンで学生生活を送る夢は果たせそうだね。
あと一年で、君に追い付くよ。
それまで、抜け駆けして有名になったりしてちゃ駄目だからね!
それじゃあ体に気をつけて。
アウグスト・クビツェク(´・ω・`)』 一九〇七年十月
アドルフがウィーンへ行って数週間がたった
ボクは仕事と音楽の勉強で忙しい日々を送っていた
( ´-ω-` )……
なのにボクの心は暗く落ち込んでいた…
アドルフがそばにいないことがこんなに辛いなんて…… ┗(›ω‹`;)┓三三3
走っていた
クララおばさんとアドルフのことを話したかった
そうすれば少しは気がまぎれると思った
┗(›ω‹`;)┓三三3 Σ(„❛⌄❛„)し
途中、ステファニーとすれ違った
彼女はボクが一人でいることに驚いているようだった ガチャ
(´・ω・`)「おじゃまします」
(*^◯^*)「あらクビツェク君!」
(´^ω^`)「おばさん 元気そうでなによりです」
(*^◯^*)「ありがとう」
(*-◯-*;)「ところで……」
(*^◯^*;)「アドルフは上手くやっているのかしら?」
(*-◯-*;)「なにもお便りがなくて…」
(。゚ω゚)「おばさんのところにもですか!」
( ;´-ω-` )「実はボクのところにも来ていなくて…」
(*^◯^*;)「大丈夫かしら…なにか事故にでもあってたりしたら…!」
(´・ω・`)…… (ꐦ`•ω•´) .。oO(なにやってんだよアドルフ!!)
( ;´-ω-` )皆を心配させて……
(´ᴖωᴖ`;)「だ 大丈夫ですよ きっと!」
(`・ω・´)「きっと…そう勉強に忙しいんですよ!」
(`・ω・´)「それに新しい環境に馴染むのに時間がかかってるんですよ!」
(´ᴖωᴖ`)「だってあのアドルフですもん」
(*^◯^*)「そ そうよね…あのアドルフですもんね フフフ」 その後、アドルフから手紙が届いた
『僕はウィーン第六区のシュテゥンパー通り二十九番の三階十七号室
ツァクライス婦人のもとに下宿している。
尊敬するご両親によろしく。アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
( ´-ω-` ) .。oO(…この最低限しか書かない頑な沈黙)
これまでアドルフが沈黙するのは
彼のプライドが邪魔しているときだった…
無事みたいだけど、やっぱりなにかあったんだ…… ( ¯灬¯; )「こ、これは…」
(。゚ω゚)「はえ〜」
注文書にはベットが五十床とあった
新築された婦人科病棟で使うみたいだ
こうして数週間、ボクは仕事漬けの日々が続いた (´・ω・`)「おばさん、暫く顔を見せられなくてすいません」
(* ◯ *)「だ、だれ…誰なの……?」
(。゚ω゚)「お、おばさん!?」
数週間ぶりに見たクララおばさんの顔はやつれ、弱りきっていた
(*-◯-*;)「あ、ごめんなさい……いらっしゃい…クビツェク君」
(*^◯^*)つ「ほら見て…アドルフから手紙が来てね……」
(*^◯^*)「アドルフのウィーンの大学生活はとても充実…」
(* ◯ *)「ゴホッゴホ」 (´・ω・`; )「無理しないで!おばさん…」
(`・ω・´;)「返事を書くのが大変ならボクが代わりに書きますよ!」
(*-◯-*;)「…それは駄目」
(*-◯-*;)「私の体調を知ったら、きっとアドルフは帰ってくるわ…」
(*^◯^*)「やさしい子だから……」
(*-◯-*;)「それに…勉強しているアドルフの邪魔をしたくないの…」
(´・ω・`; )「おばさん……」 (´・ω・`; ) .。oO(一体どうすれば…)
小さな妹さんは毎日学校
アドルフの義理の姉さんは妊娠中で……余裕はない
その夫のラウバルさんは…
アドルフのウィーン行きの件で不機嫌らしいし…
( ;´-ω-` ) .。oO(どうしたらいいんだろう…?)
やっぱりアドルフに知らせたほうがいいんじゃないのかな…
でも…おばさんはダメだって言ってる (*-◯-*;)「悩ませちゃってごめんなさい…」
(*^◯^*;)「お医者様に相談するから大丈夫よ…」
(*^◯^*)「クビツェク君…また遊びにいらっしゃいね」
(´・ω・`; )「は、はい」
クララおばさんの言葉に押され、うしろめたい気持ちで帰路についた
ボクになにかできることはないのかな… ( ;´-ω-` )「ってことなんだよ…どうにかならないかな?」
(∗ 'ω' ∗)「大変ね…私も時間があるときは様子を見に行くわ!」
( ¯灬¯ )「ダメだ!」
( ¯灬¯ )「頼まれてもないのに援助をするのは無作法にあたる」
(´・ω・`)「…」
(´•ω•).。oO(困っている人を助けることの何が悪いんだよ!)
(ꐦ`•ω•´)この頑固親父!! 数日後
(;´・ω・` )「よし、次はマットレスに詰め物をして…」
ガチャ
彡(゚)(゚)「……」
(。゚ω゚)「アドルフ、帰っ」
彡;(゚)(゚)「医者は不治の病や言うとった……」
アドルフの顔は透き通りそうなほど青白く、目はくもり、声はカスカスだった 彡;(゚)(゚)「不治の病てなんや?」
彡;(゚)(゚)「不治なわけないやろ、母さんはまだ四十七やぞ!」
彡;(゚)(゚)「医者に治す能力がないだけやんけ!」
彡;(゚)(゚)「医者はどうしていいかわからなくなると……」
彡;(゚)(゚)「不治の病なんて言い出すんや!!」
彡;(゚)(゚)「考えてもみろや!」
彡;(゚)(゚)「化学がもっと発達していたら母さんの病は治ったはずや…」
彡;(゚)(゚)「治る病なんや!!」
彡(●)(●)「それを不治やとぬかしよってあのやぶ医者が!!」 (゚)(゚);ミ
アドルフはつらそうに熱心に語っていた
でもそれはボクにではなかった。医者にでもなかった
青白く興奮して激しく動揺している少年と対面していたのは……
ψ(ヽ’ん`)ψ (゚)(゚);ミ
死神だった (´・ω・`)「ボクに何かできることはある?」
彡(-)(-)「……」
彡(゚)(゚)「母さんの面倒を見るために、ワイは暫くリンツにいる」
(´・ω・`)「君に家事なんてできるの?」
彡(゚)(゚)「必要になれば、人間は何でもできるもんや」
彡(-)(-)「ほな……」
アドルフは一人、去っていった (´・ω・`) .。oO(アドルフはああ言ってたけど)
家事を単調で退屈な作業だって見下していたのに
本当にできてるのかな…?
( ;´-ω-` )「無理だろうなぁ きっと三日坊主…」 アドルフの家
(´・ω・`)「お邪魔します」
(;´・ω・` )「あれ、誰もいない」
(・ω・`;≡;´・ω・)
「クビツェク、ここや!」
(´・ω・`)?
彡(゚)(゚)「クビツェク、下や」
(。゚ω゚)!!!
(;´・ω・` )「ア、アドルフ…床にひざ立ててなにしてるの…?」
彡(゚)(゚)「なに言っとんのや? 掃除に決まっとるやろ 見てわからんか」
(。゚ω゚) .。oO(嘘…あの、あのアドルフがエプロン着けて床を磨いてる) (*^◯^*)「ふふふ、クビツェク君が驚くのも無理ないわ」
\(*^◯^*)/「でもご覧の通り、アドルフは何でもできるのよ!」
彡(゚)(゚)「まったく、人をなんやと思っとるんや…」
アドルフは別人のようになっていた 彡(゚)(゚)「今日はなに食べたいんや?」
(*^◯^*)「あり合わせでいいわよ…」
彡(-)(-)「いいわけないやろ…」
彡(゚)(゚)「今日はシチューにするわ」
(*^◯^*)「この前も食べたじゃない…」
彡(゚)(゚)「ええやん。シチュー好きなんやろ?」
(*^◯^*;)「そうだけど…」
彡(^)(^)「なら決まりや」
彡(゚)(゚)「クビツェク お前も食ってけや」
(;´・ω・` )「あ、ありがとう…」
あらゆるしがらみから解放されたようだった 彡(゚)(゚)ノ「ほれ 出来たで!」
(*^◯^*)「ん〜おいしい」
( ¯•ω•¯ ) .。oO(そんな……)
今まで料理してこなかったアドルフの料理がおいしいなんて…
パクッ
(。゚ω゚)!!!
(´^ω^`)「おいしい!」
アドルフがそばにいることをクララおばさんは何より喜んでいた (◎―◎)「うん 症状はよくなっているね!」
(*^◯^*)「ありがとうございます先生」
(◎―◎)「親孝行な息子さんが帰ってきてくれたからかな」
(*-◯-*;)「ええ、もっと前からこれだったらよかったのに」
彡;(゚)(゚)「うるさいわ!」
アドルフは心から愛情を込めてクララおばさんを介護していた (*-◯-*;)「よっこいっ…」
(* ◯ *)「あ痛たた」
彡(゚)(゚)っ「無理すんなや ホレッ」
アドルフはスッとクララおばさんの腰に手をすえる
(´・ω・`)……
アドルフは献身的に母クララに尽くしていた 本人は絶対に認めないけど……
アドルフは父親アロイス・ヒトラー似だ
頑固で意固地なところなんてそっくりだ
でも、彼の奥底……本当の内面は母親クララに似て
優しさを持っていた
そして気づけばもう十二月も末
(´・ω・`)「あ、雪…もうそろそろクリスマスだ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています