彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」
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(´・ω・`)「ボクはアウグスト・クビツェク」
家具職人の息子だ
( ¯灬¯ )「お疲れさん ほれ今月の給料だ」
(´・ω・`)「ありがとう」
( ˙灬˙ )「またオペラを見に行くのか?」
(´・ω・`)「う うん」
( ¯灬¯ )「そうか…まぁ余った時間で何をするかはお前の自由だ」 (´・ω・`) .。oO(毎日、機械的に作業をする毎日)
でもボクの人生、こんなのでいいのかなぁ…
楽しみと言えば貰ったお金でオペラを見に行くこと
ま、小遣い程度だから立ち見しかできないんだけどね
あの柱の下が秘密の特等席なんだ
あれ?先客がいる
┃柱┃
彡(゚)(゚)
(;´・ω・` ) .。oO(仕方ない)
こっちの壁にもたれながら見るか
今日の演劇は『魔弾の射手』だ ♬♪♪♪
(´^ω^`) .。oO(ああ〜いい。いい! )
どんな疲れも癒される
本当に…芸術からは勇気を貰えるよ
( ;´-ω-` ) .。oO(でも……)
柱が少し邪魔だなぁ
あいつがいなければもっとよく見えたのに
そういえば前もあいつに場所を取られたような…? ボクは彡(゚)(゚)←このライバルを観察した
ひときわ青白く華奢な青年は目を輝かせて舞台に夢中になっている
いつもキチっとした身なりでどこか控え目
明らかにボクよりいいとこの家の子みたいだ ブー
( ´-ω-` ) .。oO(休憩だ…もう半分か)
ずっとこの時間を楽しんでいたいのに
(´・ω・`) .。oO(んーそれにしても)
今日の公演は音楽と演出はいいんだけど……
彡(-)(-)「歌手が微妙やな」
Σ( °ω° )
(´^ω^`)「そうそう! 歌手が台無しにしてるよね」
この一言がきっかけ≠セった
(´・ω・`) (゚)(゚)ミ
一九〇四年の十一月。ボクと彼は出会った ボクは彼の飲み込みの早さに驚かされた
理解力の点では間違いなくボクより優れていた
でも、音楽のセンスではボクの方が優っているように思えた
(´^ω^`) (^)(^)ミ
ボクと彼の話題は舞台のことでいっぱいだった
彼とは恐ろしく意見があい、喜びを覚えた
彡(-)(-)(´・ω・`)
でも、彼は自分のことを何一つ話さなかった
なのでボクも自分のことはなにも話さなかった 名無しの関係が続いてしばらく
いつもは劇場でさよならしていたのに
その日は違った。ボクは彼と一緒に帰ることになった
別れ際、彼は名乗った
「アドルフ・ヒトラー」と 『学校』
その単語を聞いたアドルフは怒りを爆発させた
彡(●)(●)「学校なんてところは ナマケ者を作る場所でしかない!!」
彡(゚)(゚)「そんな話より『リエンツィ』について語ろうや」
(´・ω・`)「まぁまぁ そうせっかちにならないで」
どうやらアドルフは学校に行ってないみたいだ
(´・ω・`) .。oO(学校か…)
(´・ω・`)「ボクも学校にはいい思い出がないや…」
彡(゚)(゚)「ん どうしてや?」 アドルフはこの一言に興味をもった
だから、ボクは学校でひどい成績だったことを正直に告げた
彡(゚)(゚)「クビツェク…勉強はちゃんとしんとダメやろ」
(。゚ω゚)「えぇ!?」
自分のことは棚に上げて……
矛盾してるよアドルフ……… 彡(゚)(゚)「まだ終わらんのか 劇はもう始まっとるぞ」
アドルフは待ち合わせの時間になっても来ないボクを迎えに
仕事場までやってきていた
彼はボクの仕事を煩わしい障害かなにかだと思っているようだ
黒いステッキをグルンぐるんと振り回しながらせかし続けてくる (ꐦ^ω^)「もう少し、待って」
イラっとしながらもボクは不思議だった
どうして彼は暇なのだと
だから何気なく聞いた
(ꐦ^ω^)「アドルフは何か仕事をしてないの?」
彡()()「……」
(´・ω・`)??
彡(●)(●) 「冗談やない!」
(。゚ω゚)!! 彡(-)(-)「お前の言っとる仕事ってのはな…」
彡(゚)(゚)「パンを得るための仕事や!!」
彡(゚)(゚)「そんなもんに時間を盗られるのはあまりに愚かや」
(´•ω•)「えぇ…」
なにを言ってるんだよ……
食べるために働く
そんなの当たり前のことじゃないか…
( ´-ω-` )……
まあ、きっとアドルフは裕福な家の子なんだろう
(´・ω・`) .。oO(うーん…そうだとしても…)
何でボクみたいな家具職人の子を相手にしているんだろう? 大人しくて受け身がちなボク
相手の立場に感情移入できて順応性がある
対してアドルフは極めて短気で激しい気性
唐突に怒り狂うことがしばしばだ
(´・ω・`)ノ♬〵(゚)(゚)ミ
こんな正反対なボクらだけど芸術という共通の趣味で繋がっていた
ボクが聞き役でアドルフが話す役
舞台ならピッタリな配役だ 彡(゚)(゚)「クビツェク 迎えにきたで」
(´・ω・`; )「うーん ちょっと待って」
彡(゚)(゚)「遅い 始まってしまうぞ」
(´・ω・`)「ごめんごめん 木屑の掃除が大変でさ」
ボクたちは小道を歩いた
彡(゚)(゚)「クビツェク…ワイはいつかこの田舎町から出ていくつもりや」
(´・ω・`)「どこに行くの?」
彡(^)(^)「もちろんウィーンや!」
(´・ω・`)「羨ましいなぁ ボクも……」
(ヽ’ん`)「お? アドルフ! アドルフじゃないか!」
(´・ω・`) .。oO(誰だろう…)
ボクらと同じ十六才くらい…アドルフの元クラスメイトかな? (ヽ’ん`)「最近どうだい? 相変わらず痩せてるねぇ!」
彼はアドルフの上着を親しげに触って、語りかけていた
アドルフは基本的には他人にとても礼儀ただしい
ボクはその紳士的なアドルフを役者アドルフと呼んでいる
今回は素のアドルフと役者のアドルフ
どっちのアドルフかな?
(´・ω・`)チラッ
(。゚ω゚) .。oO(あ!ヤバい)
彼の怒りの導火線に火がついてしまっている
( ; ›ω‹ ) .。oO(くるぞ来るぞ…) 彡(•)(•)「そんなこと おまえには関係ないやろ!」
彡(●)(●)「将来の木っ端役人風情が!!」
Σ(ヽ’ん`)「ひっ ひえ」
彡(゚)(゚)「行くで!クビツェク」
(´・ω・`; )「えっ ちょっと いいの…?」
アドルフはボクの腕をつかむと黙って歩き出した
彡(゚)(゚)っ(´・ω・`) 三三3 ((ヽ’ん`))「あわわわわ」
ああ、顔が真っ赤になっちゃって…なんというか…御愁傷様… ボクのヴァイオリンの先生が亡くなった
教会には先生の家族や友人、教え子。たくさんの人が集まっていた
その中にはアドルフもいた
彡(゚)(゚)「クビツェク まぁ元気だせや」
(´;ω;`)「アドルフ…君も先生にお世話になっていたんだね…」
彡(-)(-)「ん… まぁ… そんなところや」
(´;ω;`)?
(´;ω;`) .。oO(なんだろう……)
アドルフの言葉が珍しくハッキリとしない
気になったので、聞いてみた
すると、アドルフは先生を知らなかった
なんで知らない人の葬式に出たのか理由を聞いた
彡;(゚)(゚)「お前が他の連中と一緒にいて…話していることに……」
彡;(゚)(゚)「我慢できなかったんや!」
(´・ω・`; )「そ、そう…」 (´・ω・`)「アドルフは役人が嫌いだよね」
(´-ω-`)「でも、家具職人なんかより…」
(´・ω・`)「安定している立派な職業だと思うんだけどな」
彡(゚)(゚)「役人? あんなん地位をちらつかせて威張ってるだけや」
彡(゚)(゚) 「そんな奴らよりも家具職人の方がよっぽど立派や!」
彡(゚)(゚)ノd「気にすんな」
(´・ω・`)「アドルフは将来何になりたいの?」
彡(゚)(゚)「ん?そんなもん決まっとるやろ 芸術家や おまえと一緒や」
(´•ω•`)「あ……」 ボクの将来の夢は音楽家になること
ボクは音楽が大好きだった
日夜欠かさずに楽器の練習に励んでいた
でも、両親には黙っていた。心配させたくなかった
音楽家という将来が不透明な仕事に就きたいとは口が裂けても言えなかった
ボクには自分の本心を打ち明けられる人が誰もいなかった (´-ω-`)…孤独だった
(`・ω・´) .。oO(でも、今はちがう!)
(´^ω^`)「うん そうだよね!」
(´^ω^`)「ボクも本当は音楽家になりたいんだ!」
彡(゚)(゚)「いまさら何を言っとるんや…変な奴やなぁ」 ボクは音楽家になる! アドルフは画家になる!
お互いの性格は正反対。でも芸術がボクらを結びつけた
この関係が友達と呼べるのかは分からない…
もしかしたら、アドルフにとってのボクは
彼の言いたいことをぶつけられる「ある人間」
彼にとって都合のよいだけの人間なのかもしれない…
でも、ただ一つ、これだけは言える
ボクはもう孤独ではなくなっていた
(´^ω^`)人(゚)(゚)ミ アドルフはボクの家に遊びにきていた
(´・ω・`)「まぁ汚いけどゆっくりしていってよ」
彡(^)(^)「お邪魔します。」
彡(゚)(゚)「って誰もおらんのか」
(´・ω・`)「母さんたちは写真館に行くってさ」
彡(゚)(゚)「そうなんか…。ワイは写真が嫌いや」
(´・ω・`)「でも学校で撮らされたでしょ」
彡(-)(-)「あれは苦痛やった」
彡(゚)(゚)「なんでやつらと一緒に写真を撮らなあかんねん」 彡(゚)(゚)「それに美術の授業!」
彡(•)(•)「組まされた奴の下手くそさはそら酷かった」
彡(●)(●)「あの絵はいつか絶対に燃やしたる!」
(´・ω・`; )「そんな物騒な…」
(´・ω・`)「でもアドルフは人物画を描かないよね」
(´・ω・`)「風景画を描いてるとこしか見たことがないよ」
彡(゚)(゚)「ワイはいつかウィーンへ行くんや」
彡(-)(-)「だから その前にここ…。」
彡(゚)(゚)「リンツの風景をなるべく書き留めておきたいんや」 彡(゚)(゚)「リンツは橋と街道はいいが 建物はアカン!」
彡(-)(-)「昔ウィーンに行った時に見た劇場といったら……」
彡(>)(<)「そら凄かった!」
彡(-)(-)「でもここは田舎や そうそう豪華絢爛な建物は作れん…。」
彡(゚)(゚)「けど田舎特有の自然はある!なんといってもドナウ川の眺めは最高や!」
彡(゚)(゚)「ドナウ川は、古きゲルマン伝説の戦士が戦いに赴く際に使われたんや!」
彡(^)(^)「そう ブルグントの船団や!」
アドルフの語る歴史物語は実に生き生きとしていた
彼の話術はとても洗練されていて、いつの間にかボクは聞き入っていた
そしてだんだんと……。
ボクの頭の中にはドナウ川を下る強大な船団が描かれていた
( ´-ω-` ) .。oO 彡(^)(^)「よっしゃ!これから遠足にいくで!」
(´・ω・`; )「ええ!? そんな急に…」
(´・ω・`)「今日は劇場へ行かないの?」
彡(゚)(゚)「予定変更や!さっさと行くで」
( ´-ω-` )「もう お弁当を作るから少し待ってて」
彡(゚)(゚)「そんなもんいらん パンと牛乳があればええ」
彡(゚)(゚)「ほら、行くで!」
(。゚ω゚)「ちょっと、待ってよ!」
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3 ボクとアドルフはろくな準備もせず家を出た
そして、小高い丘を登り始めてからしばらく
(‘@ω@`)「ア アドルフ 少しキツくない…?」
彡(゚)(@)「そ そんなんじゃ屈強なゲンマンになれんで…」
彡(゚)(゚)「お 丘が見えてきた! あそこからの眺めが最高なんや!」
┗(゚)(@)ミ┓┗(‘@ω@`)┓三3 ポツ…ポツ…
( ´-ω-` )「あーあ降ってきたよ…」
彡;(゚)(゚)「ここまで来たら引き返せん!」
彡(゚)(゚)「それに山の天気は変わりやすい すぐ晴れるわ」
┗(゚)(゚)ミ┓三三3 ┗(‘・ω・`; )┓三3
アドルフはボクの前をひたすらに歩いていく
あんなガリッポッチな体のどこにそんな体力があるのか不思議に思う…
彡()()「ゲホッゲホッ」
それに肺も弱いみたいだし… ザァー
(´・ω・`; )「ああ…本格的に降ってきた…」
川(゚)(゚)「うーん 自慢の前髪がびしょ濡れや」
(´・ω・`)「アドルフは前髪をいつも垂らしてるよね」
(´・ω・`)「せっかくの大きい目が隠れて勿体ないよ」
川(゚)(゚)「せやろか」
アドルフの顔は鼻筋が通っていて、すっきりした顔立ち
額は広く、いくぶん突き出ていて、鼻と口はわりと平凡
でも、なんといってもアドルフの特徴はその目≠ノあった (‘@ω@`)「ヒイ、ヒイ…」
川(゚)(@)「ハッ…ハア……」
(´・ω・`)「あ…」
川(゚)(゚)「や、やっと……」
(´^ω^`)『頂上だ!』川(^)(^)
雨はいつの間にか止み、町の反対側まで一望できた Σ彡(゚)(゚)「お! あれはリヒテンハーク城やん!」
彡(>)(<)「スケッチしたろ!」
(´・ω・`)「よくそんなに体力あるね…」
(´・ω・`)「体は僕より貧弱なのに…」
彡(゚)(゚)「毎日歩いとるからな ウォーキングは得意や」
Σ(゚)(゚)ミ「お、見ろやクビツェク ゲオルゲン村も見えるぞ」
(´・ω・`)「本当だね…」
彡(-)(-)「あそこは農民戦争の舞台になった場所なんや…」
彡(>)(<)「今度はあそこに行ってみるで」
(´・ω・`; )「えー…今更なにも残ってないでしょ」
彡(゚)(゚)「行ってみんとわからんやろ」 アドルフは異常なまでの真剣さを持っていた
たとえそれがどんな事でも、単なる遊びであっても
彼は関心のある問題
それも何千とある問題にまじめに取り組んでいた ボクの家の前
( ;´-ω-` )「やっと家に着いた…もうクタクタだよ」
(∗ 'ω' ∗)「クビツェクどうしたの?びしょ濡れじゃない」
(´・ω・`)「あ お母さん 写真館から帰ったんだね」
(∗ 'ω' ∗)「あら そちらのかたは?」
彡(•)(•)「私はアドルフ・ヒトラーと申します」
彡(•)(•)「いつもクビツェクさんとは楽しく過ごさせて頂いています」
(∗ 'ω' ∗)「これはご丁寧に」
(´・ω・`) .。oO(役者モードのアドルフ……)
よくぞまあ、ここまで見事に演じ分けができるよ 彡(^)(^)「いや〜 お若く綺麗ですなぁ!」
彡(^)(^)「写真館の方もきっとよいお仕事をなされたに違いない!」
Σ(∗ 'ω' ∗)「あらお上手!」
生真面目な男
それがアドルフと短い時間で関わった人間が持つ彼の印象だ 彡(-)(-)「それでは私はこの辺で失礼します」
彡(゚)(゚)/「ほな、またな クビツェク」
(´・ω・`)ノ"「うん またね」
(∗ 'ω' ∗)「彼がいつも話してくれるアドルフ君?」
(´・ω・`)「うん そうだよ」
(∗ 'ω' ∗)「すごい目をしている子ね!」
母の言葉には、称賛よりも驚嘆がこもっていた (´・ω・`) .。oO(アドルフはたしかに雄弁である)
でも、アドルフの口から発せられる百の言葉はあまりに壮大で
すべて、虚構か妄想のたぐいにすぎなかった
それでも、彼の言葉に説得力があったのは……
アドルフのその目が本気であると訴えていたからだと思う ボクとアドルフは川遊びに来ていた
泳ぎには二人とも自信があった
なのに心配だからとボクのお母さんまで付いてきていた
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・` )┓三三3 (∗ 'ω' ∗) 三3 お母さんは一人、突き出た岩の上に立ち、ボクたちを見守っていた
ドポン!
(´・ω・`) .。oO(ん?なんの音だろう…)
アドルフが飛び込んだのかな?
Σ(・ω・`;≡;´・ω・)「あれ!お母さんがいない…」
(。゚ω゚)「あ!溺れてる!!」
\(´'д``)/
(›ω‹`;≡;´›ω‹)「どうしよう!?どうしよう!?」
( ; ›ω‹ ) .。oO(は、早く助けなくちゃ…)
(´;ω;`)「わーん、どうしよう……」
ボクはパニックになってしまい、体が上手く動かせなかった ザパンッ
(。゚ω゚)「あ、アドルフ!!」
\(´'д``)/ (゚)(゚)ミ三三3
アドルフはなんの迷いもなく、すっ飛んでいった
\(´'д``)/〵(゚)(゚)ミ三三3
そして無事、母は助かった (´'ω'`)「ありがとうアドルフ君」
(`'ω'´)「あなたは命の恩人よ!」
(´;ω;`)「ほんとうにありがとう アドルフ」
彡(゚)(゚)「当たり前のことをしただけや!礼なんていらんわ」
彡(-)(-)「ですが母君…」
彡(゚)(゚)「気をつけるに越したことはありませんよ」 アドルフのお父さん
アロイス・ヒトラーは既に他界していた
以前、その事についてそれとなく聞いてみたことがある
( ´-ω-` )「お父さんはボクを家具職人にしたいと思っているんだよ」
(´・ω・`)「どう思う?」
彡(゚)(゚)「父親は子を縛りつけたがるもんや」
彡(-)(-)「ワイの親父もワイを役人にさせようと必死やった」
(´・ω・`)「へえ」
彡(゚)(゚)「まったく こっちはいい迷惑や」 彡(゚)(゚)は語った
「あいつの仕事のせいで幼い頃は」
「オーストリア中を引っ越して回る羽目になったんや」
「まあ、 一時期バイエルンにいれたことだけは感謝しとるけどな」
「税関だかなんだか知らんが ワイらに高圧的にかかってきて」
「学校にいた時は成績やらなんやらでよく殴られたもんやで」
彡(^)(^)「死んでせいせいしたわ!」
(;´・ω・` )「そ、そうなんだ…」
(´・ω・`)「ねぇ、今度アドルフの家に行っていい?」
彡(゚)(゚)「ん? 別に構へんで」 (´・ω・`)「お邪魔します」
彡(゚)(゚)「母さん こいつは同志のクビツェクや」
(*^◯^*)「あら アドルフがお友達を連れてくるなんて珍しい」
彡;(゚)(゚)「う、うるさいわ」
(´・ω・`)「こんにちは」
(。゚ω゚) .。oO(おお…)
この目の大きさ…眼光…アドルフとそっくりだ!
(´・ω・`) .。oO(でも、内面は父親似…)
おっと、これはアドルフに言えない… ( ¯•ω•¯ )ジトー
アドルフのお母さん。クララ・ヒトラー(*^◯^*)
聞いていた通り素朴そうな印象だ
綺麗だけど、どことない悲しみの表情が見てとれた
(・ω・`≡´・ω・)キョロキョロ
アドルフの家はアパートの四階、質素な内装
歩くたびに床がギシギシとしなった
(´・ω・`) .。oO(あまり裕福そうには見えないな) 彡(゚)(゚)「部屋に案内するわ 」ギシギシ
(´・ω・`)「あ、この写真って……」
手入れの行き届いたカイゼル髭に少し怒ったような顔つき
そして、いかにもな役人顔
( ・෴・)y-゚゚゚
十中八九、写真に映っているのはアドルフのお父さんだろう
彡(-)(-)「今日はチビがいないからええわ」
彡(゚)(゚)「一度興奮し始めたらうるさいからな」
(´・ω・`) .。oO(チビ?)
(´・ω・`)「ああ 確か九歳になった妹さんだよね」 (´・ω・`)「アドルフの兄弟って妹さんだけ?」
彡(-)(-)「うーん 姉がおるけど あれを姉とは……」
アドルフにはアンゲラという腹違いの姉がいた
彡(-)(-)「姉も姉なんやが」
彡(゚)(゚)「その旦那のラウバルって奴がまたエラくムカつく野郎で」
彡(•)(•)「酒、煙草、博打をやるクズなうえに」
彡(●)(●)「役人なんや!」
(´・ω・`) .。oO(アドルフとの相性は最悪だね)
彡(•)(•)「更にムカつくことに」
彡(•)(•)「 あいつは役人になれと口煩く言ってくるんや!」
彡(●)(●)「ホンマ腹立つで!」
( ´-ω-` ) .。oO(アドルフが激怒している姿が目に浮かぶよ) キャ♪キャ♬
彡;(゚)(゚)「チビが帰ってきよった!」
彡(゚)(゚)「 裏口から逃げるぞクビツェク!」ギシギシ
Σ(´・ω・`; )「待ってよ」ギシギシ ( ;´-ω-` )「あーあ」
( ¯•ω•¯ )「オペラが始まるまでアドルフの家で時間を潰す予定だったのに…」
彡(-)(-)「すまん ラント通りでも歩こうや」
( ´-ω-` )「そうしようか……」
Σ(´•ω•`)「ん?あれは……」
前方から長身でスラリとしたブロンド髪の娘が母親と歩いてきた
J(„❛⌄❛„)(๑ ’ᵕ’๑) (゚)(゚)ミ(・ω・`)
(。゚ω゚) .。oO(すごい綺麗な人…)
でも見ない顔だな、引っ越してきたのかな? ここまで役人嫌いやとやきうよりケンモメンの方が似合ってるかもしれん (´・ω・`)「ねえ アドルフ。あの娘かわいいね」
シーン……
(´・ω・`)「あれ?反応がない」
(´・ω・`)チラッ
Σ(。゚ω゚)「え?」
J(„❛⌄❛„) (๑ ’ᵕ’๑) (⦿)(⦿)ミ( °ω° )
ど、瞳孔が開いてる!只でさえ大きい目が更に大きくなってる!! 彡(⦿)(⦿)(´・ω・) ε= J(„❛⌄❛„) (๑ ’ᵕ’๑)
母娘が去っていってもアドルフは動かなかった
彡(⦿)(⦿) (・ω・`)「ねぇ アドルフ 彼女はもう行ったよ…」
彡(⦿)(⦿)⊂(・ω・`)「元に戻ってよ…」
彡(⦿)(⦿)「クビツェク これは恋か?」
(´・ω・`)「だろうね」
彡(⦿)(⦿)……
(;´・ω・` )「ねえ、聞いてる?」
彡(⦿)(⦿)……
(;´・ω・` )「ねえ!」 彡(゚)(゚)「調べるで!」
(´•ω•`)「え?」
彡(⦿)(⦿)「名前!住所!職業!家族構成!なにから何まで全部調べたる!!」
Σ(;´•ω•)「えぇ…」
アドルフ。それじゃあまるでストーカーだよ
( ;´-ω-` ) .。oO(でも…こうなったらもう……)
どうしようもないや… あれから三日
なぜかボクがブロンドの彼女について調べることになっていた
┃ω・`)チラリッ… J(„❛⌄❛„) (⁻◎ω◎⁻)「彼女の名前はステファニー」
(⁻◎ω◎⁻)「住所はウアファール地区三番地三十四号」
(⁻◎ω◎⁻)「母は未亡人」
(⁻◎ω◎⁻)「ウィーンでは法律を学んでいたようだ」
彡(-)(-)「ほう…で…」
彡;(゚)(゚)「恋人関係は…?」
(;´・ω・` )「それが…青年士官と…」
彡()()「はあああああ〜!〜!〜!」
彡(●)(●)「あんな見栄っ張りで空っぽ頭の軍人どもと…」
彡;(゚)(゚)「クソ…糞……ああ〜!!」
彡(゚)(@)「あ…あ…」
(;´・ω・` )っd「ま まぁ こんなこともあるって…残念だけど…」 彡(⦿)(⦿)「いや! 諦めん!」
(。゚ω゚)!!
アドルフは一人さっさと走り出した
┗(゚)(゚)ミ┓三三3 (‘・ω・`; ) 彡(゚)(゚)「なにしとるんやクビツェク! ラント通りに行くで!」
(;´・ω・` )「昨日も一昨日も行って会えなかったじゃないか…」
彡(゚)(゚)「いいや!今日こそは会える!」
彡(⦿)(⦿)「会えさえすれば。この目力で彼女を振り向かせたる」
( ´-ω-` ) .。oO(ボクはそういう意味で君の目を誉めたんじゃないんだけど…)
(。゚ω゚)「あ!!」
か、彼女だ! まさかこのタイミングで…! お前がユダヤを根絶やしにしなかったせいでガザが地獄やぞ 彡;(゚)(゚)「よっしゃ!行くで!」
彡(⦿)(⦿)ジー
J(„❛⌄❛„)……
J(„❛ꇴ❛„) ニコッ
彡(⦿)(⦿)「やった…気づいてくれた…!」
彡(^)(^)「やっぱり彼女もワイのことを…!」
( ;´-ω-` )「う〜ん たまたま目が合ったから…」
(;´・ω・` )「愛想よくしただけだと思うんだけど…」
彡(-)(-)「いいや そんなはずはない。 直感でわかる…」
彡(゚)(゚)「ワイと彼女は相思相愛なはずや!」
彡;(゚)(゚)「でクビツェク!次は?次はどうしたらいい!?」 (´・ω・`; )「普通なら食事に誘ったり…」
(´・ω・`; )「ご両親に挨拶するんじゃない?」
彡;(゚)(゚)「いやいやいや それはちょっと早いやろ」
彡(>)(<)「やっぱもう少し ひっそりと愛を育んでから…」
(´・ω・`)「もう好きにしなよ…」 それからアドルフは、彼なりの愛を表現するべく努力した
時には愛の詩を書き
また時には将来について真剣に悩んでいた
これには驚いた
アドルフの将来について
いったいどれだけ周りの大人が口を酸っぱくしたことか
( ・෴・)y-゚゚゚(*^◯^*)『学校』 彡(゚)(゚) 『仕事』(´0`(´0`(´0`
でも、どの言葉もアドルフには届かなかった
( ・෴・)y-゚゚゚(*^◯^*) 彡(-)(-)「……」 (´0`(´0`(´0`
なのに、一言も話していない彼女の声には耳を傾けたのだ
(„❛⌄❛„)「……」 彡(^)(^)「ワイは将来……!」
(´・ω・`) .。oO(恋の力ってすごいな…) (⁻◎ω◎⁻)「ボクの調べによるとね。 彼女はダンスが好きらしいよ」
彡;(゚)(゚)「ダ、ダンス…!?」
(´・ω・`)「これを気にやってみたら?」
(`・ω・´)「 上流階級の人間にとってダンスは必修科目だよ」
彡;(゚)(゚)「いやや!ダンスなんて無意味で無価値で…とにかく駄目や!」
彡;(゚)(゚)「想像してみいや!音楽のないダンスを!」
彡(゚)(゚)「あいつらは気が狂ってるってわかるやろ! 」
パンを得るための仕事
といいアドルフの着眼点、発想、言葉のチョイスには驚かされる
音楽のないダンスは気が狂っている
なんてボクにはとうてい思いつけない (`-ω-´) 彡(-)(-).。oO(No Dance! Fuck You Dance!! Go to Dance In Hell!!!)
と、ボクが感心しているそばで
アドルフはダンスをやらなくてすむ理由をずっと考えている
アイディアマンの彼でもこの問題には手を焼いていた
(≖ω≖。)ニヤリ彡(-)(-)
アドルフ、いつもさんざんボクをからかってきたよね
だから今回はボクの番だ (´・ω・`)「そんなこといっても仕方ないよ…」
(´・ω・`)「なによりステファニー本人がダンスを好きなんだよ」
(`・ω・´)「やるしかないよ ほらこうやって彼女を誘うのさ」
‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/›› ‹‹\( ´ω`)/››~♪「シャルウィーダァアンスってね」 彡(゚)(゚)……
( ; ›ω‹ )ドキドキ!
彡(●)(●)「あああ〜!駄目や駄目や!断じて駄目や!!」
(。゚ω゚)!!
彡(゚)(゚)「彼女は周囲に付き合わされて無理やり踊らされてるだけや!」
彡(-)(-)「彼女は洗脳されとるんや…」
彡(•)(•)「許さんぞ 脳なしの士官どもめ…!」
彡(●)(●)「彼女と結婚したらダンスなんてやらんですむようにしたる!」
(;´・ω・` ) .。oO(やばっ、少しやりすぎたかな)
アドルフは壊れたレディオのように
彡(●)(●)「ダンスはダメや。ダンスはダメや」と呟いている
(´^ω^`) .。oO(まあでも、一晩たてばおちつくよね) 次の日
( ;´-ω-` ) .。oO(ダメだった…)
それからもアドルフの頭の中は
ヾ( ˙꒳ ˙ヽ)ダンス♩(ง ›ω‹ )วダンス♪⸜( ˙꒳ ˙ )⸝ダンス♫だった
家でもずっとそうらしく、クララおばさんも心配して相談してきた
(*^◯^*;)「アドルフが毎晩ピアノでワルツを弾きながらドタバタと五月蝿くて!」
(*^◯^*)「クビチェク君 なんとかならない」
(´・ω・`)「しばらくほっときましょう」 二週間後
彡(-)(-)「クビツェク ワイは決めたで」
(´・ω・`)「長かったね やっと諦める気になったんだ」
彡(•)(•)「そんな訳ないやろ」
彡(-)(-)「ワイは…ワイは…」
彡(⦿)(⦿)「彼女と駆け落ちするで…!」
(。゚ω゚)「え!誘拐!?」 アドルフは極めて詳細に誘拐計画…愛の逃避行計画を練っていた
なんと!ボクの役割も決まっていた
ボクがステファニーの母と話して気を引いている隙に……
彼がステファニーを強奪するというのだ
はた迷惑にもほどがある…
でも、アドルフの計画には明らかな穴があった (;´・ω・` )「ねえ アドルフ…」
彡(゚)(゚)「なんや!」
( ;´-ω-` )「その後 君たち二人はどこで暮らすんだい?」
彡()()「う……」
彡(-)(-)
アドルフが黙った
(´・ω・`) .。oO(あれ?)
もしかして初めてアドルフを論破したかも それからもアドルフはステファニーへ熱い視線を送っていた
だが、その日は彼女の機嫌が悪かったようだ
J(„❛へ❛„) 彡(⦿)(⦿)(・ω・`)
ステファニーは明らか煙たそうにそっぽを向いた 彡(◦)(◦)!?
アドルフは絶望の淵へと追いやられた
彡;(゚)(゚)「もう耐えられへん! 終わりにするで!」
彡;(゚)(゚)「橋からドナウ川に飛び込んだる」
彡(●)(●)「勿論、ステファニーも一緒に死ななアカン!」
(;´・ω・` )「えぇ…」
それから三週間。アドルフの頭にはその計画しかなかった
非力なボクは恐る恐る彼を見守るしかできなかった 一九〇六年六月
ボクとアドルフは教会の前で
花馬車行列という催しを見ていた
⚘┌┘✞└┐⚘ 彡(-)(-)(・ω・`) (´・ω・`)「アドルフが言ってた通り…」
(`・ω・´)「自然も芸術の一つだね」
(´・ω・`)「花と音楽がよくマッチしてる」
彡(-)(-)「せやな…」
アドルフはあの日から傷心したままだ
(´・ω・`)「花の投げ入れが始まったよ!」
彡(-)(-)「せやな…」
(。゚ω゚)「あっ、見てアドルフ! ステファニーだよ!」
彡(゚)(゚)「ファ!?」
(´・ω・`)「ステファニーが花馬車に乗っているよ」
彡(⦿)(⦿)「ほ、ホンマや!!」 ステファニーは赤いヒナゲシ、白いマーガレットに囲まれて
最高に魅力的だった
アドルフはじっとステファニーを見つめている
すると、彼女は無邪気に微笑み
花を一本。アドルフに贈った
⚘┌┘✞└┐⚘ J(„❛ꇴ❛„)っ ✿(⦿)(⦿)ミ(・ω・`)
そのときのアドルフの顔はとても幸せそうだった (´・ω・`).。oO(よかったね、アドルフ)
一事はどうなるかと思ったけど
何も起きなくて本当にホッとしたよ
祭り後
彡(-)(-)「やっぱり……やっぱりそうやったんや」
彡(⦿)(⦿)「彼女はワイのことが好きなんや!」
( ;´-ω-` )「はぁ〜」 アドルフは社会規範を何よりも嫌っていた
でも、好きな人
ステファニーと接する際には誰よりも社会のルールを厳守した
彡(-)(-)「結局 ワイは未だに自己紹介すらできておらん…」
アドルフはルールを守ることにより……
一つの事実から自らを守っていたのかもしれない
彡(゚)(゚)「ワイの片思い…なんやろか…」
アドルフの熱意が彼女に伝わることはなかった 彡(;)(;)「ワイの努力は無駄やったんやろか…」
彡(;)(;)「ワイが考えた二人で暮らす家も…理想も…」
(´・ω・`)……
(´・ω・` )っd「女の人は逃げても芸術は逃げないよ」
(`・ω・´)「芸術はいつだってボクらの手の中さ」
彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「…せやな」
彡(^)(^)「いいこと言うやんけ クビチェク」 (´^ω^`)「それでね、あそこであの音を入れる意味ってのは……」
彡(゚)(゚)「はー前から思ってたが……」
彡(-)(-)「クビツェクの音楽に関する博識はスゴイもんや」
彡(゚)(゚)「クビツェクのくせに…」
(;´・ω・` )「なにそれ。褒めてるの?バカにしてるの?」
彡(゚)(゚)「クビツェク先生に聞きたいんやが」
彡(゚)(゚)「ソプラノ、アルト、テノール、バスの違いってなんや?」
( ;´-ω-` )「絶対にバカにしてるでしょ……まあいいけど…」
(´・ω・`)「ソプラノって言うのはね……」
彡(゚)(゚)「じゃあ、アレは?」
(´・ω・`)「それは、そうこうああいった理論で……」
それからボクはアドルフの質問攻めにあった 彡(゚)(゚)「なるほどな、なんとなく分かってきたわ」
彡(゚)(゚)「ということはアレはアレでソレってことやな」
(;´・ω・` )「うん、まあその認識で合ってると思うよ」
彡(-)(-)「ふーん」
彡(゚)(゚)「なら、ソレのソレのソレはアレやな」
(;´・ω・` )「えっと……そうだけど」
(´・ω・`)「もう、そこまで理解したの?」
彡(゚)(゚)「なんとなくな」
( ˘ω˘ ; ) .。oO(ぐっ、悔しい)
こんなにもあっさり理解されたらボクの立場が……
ここは何か難しい問題でも出して
ぎゃふんと言わせてやる (;´・ω・` )「じゃあ問題だけど……」
(´・ω・`)「n≧3のときXn+Yn=Znを満たす自然数X, Y, Zは?」
彡(-)(-)「うーん」
彡(゚)(゚)「解なしやな!」
( ;´-ω-` )「ぎゃふん……」
彡(^)(^)「これでワイも音楽マスターや」 (ꐦ^ω^).。oO(ムッ、このまま調子に乗らせるわけには…)
(ꐦ^ω^)「全然、理論ができていても実際に弾けないと意味ないよ」
彡(^)(^)「ワイは天才やから、そんなも余裕や」
( ¯•ω•¯ )つ「じゃあ、ここにヴィオラがあるから弾いてみなよ」
彡(゚)(゚)ノ「こんなもん、こうや!」
彡(-)(-)ノ ビャバヤビィー
(´^ω^`)「なんだいその音www」
(´・ω・`)ノ「こうやるんだよ」
( ´-ω-` )ノ レー♬
(´^ω^`)「ね、頭で分かっていても実際には弾けないんだよ」 彡(•)(•)「ぐっ、もう一回や」
彡(-)(-)ノ びゅけびゃみゅ
(´^ω^`)「はっはっは、逆によくそんな音が出せるね」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(`・ω・´)「アドルフ、いいかい。楽器を弾くために必要なコトは」
(`・ω・´)「一つ、感覚や直感に頼らない体系的な勉強」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(`・ω・´)「一つ、絶え間ない練習」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(`・ω・´)「この勤勉と忍耐が必要不可欠なんだ」
(`・ω・´)「たしかにアドルフは優れた理解力、創造力を持っているけど」
(`・ω・´)「それでなんとかなるほど音楽は甘くないよ!」 彡(-)(-)「そんなはずない……」
彡(•)(•)「そんな体系的な勉強や練習をしなくても出来るようになるはずや!」
彡(●)(●)「ワイが証明したる!」
それからアドルフはピアノ教室に通うようになった
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「狂ったように指の訓練させられとるわ!」
(´・ω・`)「指の訓練とは上手いこと言うね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」 数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「練習曲ばかり弾かされる狂った音楽体操をさせられとるわ!」
(´・ω・`)「狂った音楽体操とはこれまた言い得て妙だね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」
数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡(゚)(゚)「辞めたわ」
(´・ω・`)「辞めたなんて本当に上手いこと言う……」
(。゚ω゚)「え!辞めたの」
彡(-)(-)「もうええわ……」
彡(゚)(゚)「それにクビツェクが弾けるんやさかい」
彡(゚)(゚)「ワイが弾けんくてもええやろ」
(;´・ω・` )「う、うん」 彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「今日の演劇はひどかった…」
( ´-ω-` )「たしかに…」
僕たちは劇場で『ローエングリン』の上演を見てきた
リンツの劇場は昔ながらの古い建物だ
だから、あらゆるものが欠けていた
機械設備、衣装、小道具、楽器…
でも田舎の劇場だから仕方のないことだ
( ;´-ω-` )「でもまさか、背景画が音を立てて落ちてくるなんて…」
(´・ω・`)「ワーグナーの描く壮大な世界感が台無しだよ」
彡(•)(•)「ワイはあの男性合唱団が許せん!」
彡(●)(●)「偉そうにイギリスじみた髭を生やしおって!!」 ( ´-ω-` )「やっぱり…」
(;´・ω・` )「ちゃんとしたモノを見たいなら都会に行かないとね…」
彡(-)(-)「まあ、それが田舎の劇のええとこやな…」
(´•ω•`)「え?どういうことだい?」
彡(゚)(゚)「後で感動する余韻が残されとるやろ」
彡(-)(-)「きっとワイらがウィーンでちゃんとした劇を見たら…」
彡(゚)(゚)「今回の劇がアクセントになってさらに感動するはずや!」
(´・ω・`)「たしかに…でも、アドルフはさすがだね」
彡(゚)(゚)「ん?なにがや?」
(´・ω・`)「後で感動する余韻が残ってるって…」
(´^ω^`)「とてもステキな表現だと思うよ」
彡(^)(^)「せやろ!!」 彡(-)(-)「ふむふむ」
(´・ω・`)「なに読んでるの?」
彡(゚)(゚)「ワーグナーの伝記や」
(´・ω・`)「あれ?前もそれ読んでたよね」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの手紙や」
(´・ω・`)「ん?その前は?」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの日記や」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ボクもワーグナーの大ファンだけど…」
(´-ω-`)「アドルフには負けるよ」 彡(^)(^)「ワイはワーグナーのことなら何でも知りたいんや!」
彡(-)(-)「ワーグナーはワイと一緒なんや…」
彡(゚)(゚)「彼はその生涯において周囲の無理解と戦ったんや…」
彡(-)(-)「ワイと一緒や…」
(´・ω・`)……
(´・ω・`) .。oO(大げさじゃないかな?) ワーグナーは七十歳まで生きたけど
それだけ生きたんだから
良い時、悪い時もあっただろうし
成功も失敗も多くを経験したんだろうけど……
( ´-ω-` ) .。oO(アドルフはまだ十七じゃないか……)
それに創作したものなんて数枚のスケッチや水彩画くらい
父親の死と、退学を経験しているけど……
ワーグナーの迫害され、追放された波乱に満ちた生涯にはほど遠い
それなのに、まるでワーグナーの人生を自分が歩んできたように語る アドルフは鼻息荒く語った
「お前はそれについて全く理解しておらん!」
「それについてお前とは話にならん!」
「政治に関してはクビツェク お前はマヌケや!」
「全く 母さんといいお前といい 政治に無関心過ぎるで!」
(;´・ω・` ) .。oO(政治の話になるといつもこうだ……)
適当に賛同してみせても、いつも怒る
アドルフは勘がいいから、うわっつらだけ同意してもすぐ見破ってくる ボクは音楽があれば政治のことなんてどうでもよかった
でも、アドルフはそのことが気に入らないようだ
彡(-)(-)「全く 政治に興味がないなんてしんじられんなぁ」
彡(゚)(゚)「情熱が足らんのか?」
彡(>)(<)「だったらワイが政治というものを教えたる! 」
彡(^)(^)「よし そうと決まれば国会議事堂に行くで!」
(;´・ω・` )「ええ〜 ボクは帰ってピアノの練習したいんだけど…」
彡(゚)(゚)「このままお前を野放しにしてたら、将来どうなるかわからん!」
彡(゚)(゚)/「ええからついてこいや!」
(´・ω・`)……
アドルフに将来がどうのこうのなんて言われたくないけど
( ´-ω-` ) .。oO(仕方ない、ついて行くか)
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3 数分後
(´^ω^`)「でさ、ヴィオラの先生が言ってたんだけど」
(´^ω^)「音楽の時代はイタリアに移り変わってるらしいよ」
彡(゚)(゚)「イタリアぁ〜? イタリアはないで」
(´・ω・`)「アドルフはドイツ以外の国に興味がないよね 」
彡(^)(^)「ワイは死ぬまでドイツ人やからな!」
彡(>)(<)「 芸術的才能もドイツの為に使うで」
(´・ω・`)「へー ボクは楽器が弾ければどこだっていいや」
(´・ω・`)「ってピアノの先生に言ったら」
(´・ω・`)「まるでユダヤ人みたいだなって言われたけど」
(´・ω・`)「正直 ユダヤ人って言われても」
(´・ω・`)「ボクはあんまりピンとこないんだよね」
(´・ω・`)「アドルフはユダヤ人についてどう思う?」
彡(゚)(゚)「ワイも別になんとも思わんで」
(´・ω・`)「え そうなんだ」 意外だった
ユダヤ人が嫌われていることはなんとなく肌で感じていた
だからアドルフも何かしらの考えを持っているんだろうなと思っていた
彡(-)(-)「そういえば学校の教師がユダヤ人についてあれこれ言っとったなぁ」
彡(゚)(゚)「ワイは寝てたんやけど」
彡(•)(•)「まあ不満があるとすればユダヤ人の建てる礼拝堂やな」
彡(゚)(゚)「あれはないわ」
(´・ω・`)「へぇー」
彡(゚)(゚)/「おっ 国会やん! チェコ人は消えろや!帝国万歳!!」
(。゚ω゚)「ちょ…急になにを言い出すの」
ユダヤ人に関心が薄かっただけで
アドルフは熱烈なドイツ民族主義者だった 彡(゚)(゚)「ちょうど議会の最中みたいやな」
彡(゚)(゚)「ええ機会やし、見学していくで」
(;´・ω・` )「えーやだよ、絶対につまらないもん」
彡(゚)(゚)「見学が二名や。案内を頼むわ」
( ;´-ω-` )「聞いてないし……」
門が開き、案内人に誘導され、見学席に座った (´・ω・`)「お偉いさんが話をする所だけあって…すごい立派」
(´・ω・`)「議論の場だけでなく、オペラや演劇の場にもすればいいのに」
彡(゚)(゚)「よし、じゃあ説明していくで」
彡(゚)(゚)「あの高いところに座っとる奴がおるやろ?」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつが議長で鈴を鳴らすだけのお飾りや」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「その下に堂々と座っとる連中がおるやろ」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつらは大臣で座っとるだけが仕事や」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「誰も座っとらん長椅子があるやろ」
(´・ω・`)「うん、あるね」
彡(゚)(゚)「そこは議員の席なんやけど……」
彡(゚)(゚)「そいつらはお喋りが仕事で、今はロビーで駄弁っとる」 (´・ω・`)「ふーん……。帰っていい?」
彡(•)(•)「いいわけないやろ!」
(´・ω・`)「だって誰も仕事してないじゃないか……」
(´・ω・`)「そんなの見て何になるの?」
彡(゚)(゚)「仕事をちゃんとしとるのもおるで」
彡(゚)(゚)「あそこで机に身をかがめとるのがおるやろ?」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつらは議会での発言をメモする速記者や」
彡(゚)(゚)「唯一、ちゃんと働いとる人たちや」
彡(゚)(゚)「まあ、彼らの仕事はまったくの無意味やと断言できるがな」
(;´・ω・` )「なんだよそれ……」
彡(゚)(゚)「でも、ここの連中の中ではまじめな分だけ好感が持てるわ」
彡(゚)(゚)「ほれ、議員の連中が群れをなして入って来たから……」
彡(゚)(゚)「そろそろ本格的な論議が始まるで」 (´・ω・`) .。oO(とたんに騒がしくなった……)
でも、こんなの議論じゃない……罵り合いだ……
演説をしている一人に対して大勢の議員が怒声を浴びせている
議長が鈴を鳴らして注意してるけど
議員たちは机をバンバンと叩き、口笛まで吹いて対抗している
(´・ω・`) .。oO(子どもの喧嘩でさえ……、ここまでひどくはない) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています