彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」改
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(´^ω^`)「それでね、あそこであの音を入れる意味ってのは……」
彡(゚)(゚)「はー前から思ってたが……」
彡(-)(-)「クビツェクの音楽に関する博識はスゴイもんや」
彡(゚)(゚)「クビツェクのくせに…」
(;´・ω・` )「なにそれ。褒めてるの?バカにしてるの?」
彡(゚)(゚)「クビツェク先生に聞きたいんやが」
彡(゚)(゚)「ソプラノ、アルト、テノール、バスの違いってなんや?」
( ;´-ω-` )「絶対にバカにしてるでしょ……まあいいけど…」
(´・ω・`)「ソプラノって言うのはね……」
彡(゚)(゚)「じゃあ、アレは?」
(´・ω・`)「それは、そうこうああいった理論で……」
それからボクはアドルフの質問攻めにあった 彡(゚)(゚)「なるほどな、なんとなく分かってきたわ」
彡(゚)(゚)「ということはアレはアレでソレってことやな」
(;´・ω・` )「うん、まあその認識で合ってると思うよ」
彡(-)(-)「ふーん」
彡(゚)(゚)「なら、ソレのソレのソレはアレやな」
(;´・ω・` )「えっと……そうだけど」
(´・ω・`)「もう、そこまで理解したの?」
彡(゚)(゚)「なんとなくな」
( ˘ω˘ ; ) .。oO(ぐっ、悔しい)
こんなにもあっさり理解されたらボクの立場が……
ここは何か難しい問題でも出して
ぎゃふんと言わせてやる (;´・ω・` )「じゃあ問題だけど……」
(´・ω・`)「n≧3のときXn+Yn=Znを満たす自然数X, Y, Zは?」
彡(-)(-)「うーん」
彡(゚)(゚)「解なしやな!」
( ;´-ω-` )「ぎゃふん……」
彡(^)(^)「これでワイも音楽マスターや」
(ꐦ^ω^).。oO(ムッ、このまま調子に乗らせるわけには…)
(ꐦ^ω^)「全然、理論ができていても実際に弾けないと意味ないよ」 彡(^)(^)「ワイは天才やから、そんなも余裕や」
( ¯•ω•¯ )つ「じゃあ、ここにヴィオラがあるから弾いてみなよ」
彡(゚)(゚)ノ「こんなもん、こうや!」
彡(-)(-)ノ ビャバヤビィー
(´^ω^`)「なんだいその音www」
(´・ω・`)ノ「こうやるんだよ」
( ´-ω-` )ノ レー♬
(´^ω^`)「ね、頭で分かっていても実際には弾けないんだよ」
彡(•)(•)「ぐっ、もう一回や」
彡(-)(-)ノ びゅけびゃみゅ
(´^ω^`)「はっはっは、逆によくそんな音が出せるね」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」 (`・ω・´)「アドルフ、いいかい。楽器を弾くために必要なコトは」
(`・ω・´)「一つ、感覚や直感に頼らない体系的な勉強」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(`・ω・´)「一つ、絶え間ない練習」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」
(`・ω・´)「この勤勉と忍耐が必要不可欠なんだ」
(`・ω・´)「たしかにアドルフは優れた理解力、創造力を持っているけど」
(`・ω・´)「それでなんとかなるほど音楽は甘くないよ!」
彡(-)(-)「そんなはずない……」
彡(•)(•)「そんな体系的な勉強や練習をしなくても出来るようになるはずや!」
彡(●)(●)「ワイが証明したる!」
それからアドルフはピアノ教室に通うようになった (´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「狂ったように指の訓練させられとるわ!」
(´・ω・`)「指の訓練とは上手いこと言うね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」
数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「練習曲ばかり弾かされる狂った音楽体操をさせられとるわ!」
(´・ω・`)「狂った音楽体操とはこれまた言い得て妙だね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」
数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡(゚)(゚)「辞めたわ」
(´・ω・`)「辞めたなんて本当に上手いこと言う……」
(。゚ω゚)「え!辞めたの」
彡(-)(-)「もうええわ……」
彡(゚)(゚)「それにクビツェクが弾けるんやさかい」
彡(゚)(゚)「ワイが弾けんくてもええやろ」
(;´・ω・` )「う、うん」 彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「今日の演劇はひどかった…」
( ´-ω-` )「たしかに…」
僕たちは劇場で『ローエングリン』の上演を見てきた
リンツの劇場は昔ながらの古い建物だ
だから、あらゆるものが欠けていた
機械設備、衣装、小道具、楽器…
でも田舎の劇場だから仕方のないことだ ( ;´-ω-` )「でもまさか、背景画が音を立てて落ちてくるなんて…」
(´・ω・`)「ワーグナーの描く壮大な世界感が台無しだよ」
彡(•)(•)「ワイはあの男性合唱団が許せん!」
彡(●)(●)「偉そうにイギリスじみた髭を生やしおって!!」
( ´-ω-` )「やっぱり…」
(;´・ω・` )「ちゃんとしたモノを見たいなら都会に行かないとね…」
彡(-)(-)「まあ、それが田舎の劇のええとこやな…」
(´•ω•`)「え?どういうことだい?」
彡(゚)(゚)「後で感動する余韻が残されとるやろ」
彡(-)(-)「きっとワイらがウィーンでちゃんとした劇を見たら…」
彡(゚)(゚)「今回の劇がアクセントになってさらに感動するはずや!」
(´・ω・`)「たしかに…でも、アドルフはさすがだね」
彡(゚)(゚)「ん?なにがや?」
(´・ω・`)「後で感動する余韻が残ってるって…」
(´^ω^`)「とてもステキな表現だと思うよ」
彡(^)(^)「せやろ!!」 彡(-)(-)「ふむふむ」
(´・ω・`)「なに読んでるの?」
彡(゚)(゚)「ワーグナーの伝記や」
(´・ω・`)「あれ?前もそれ読んでたよね」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの手紙や」
(´・ω・`)「ん?その前は?」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの日記や」
(´・ω・`)…… (´・ω・`)「ボクもワーグナーの大ファンだけど…」
(´-ω-`)「アドルフには負けるよ」
彡(^)(^)「ワイはワーグナーのことなら何でも知りたいんや!」
彡(-)(-)「ワーグナーはワイと一緒なんや…」
彡(゚)(゚)「彼はその生涯において周囲の無理解と戦ったんや…」
彡(-)(-)「ワイと一緒や…」
(´・ω・`)……
(´・ω・`) .。oO(大げさじゃないかな?) ワーグナーは七十歳まで生きたけど
それだけ生きたんだから
良い時、悪い時もあっただろうし
成功も失敗も多くを経験したんだろうけど……
( ´-ω-` ) .。oO(アドルフはまだ十七じゃないか……)
それに創作したものなんて数枚のスケッチや水彩画くらい
父親の死と、退学を経験しているけど……
ワーグナーの迫害され、追放された波乱に満ちた生涯にはほど遠い
それなのに、まるでワーグナーの人生を自分が歩んできたように語る アドルフは鼻息荒く語った
「お前はそれについて全く理解しておらん!」
「それについてお前とは話にならん!」
「政治に関してはクビツェク お前はマヌケや!」
「全く 母さんといいお前といい 政治に無関心過ぎるで!」 (;´・ω・` ) .。oO(政治の話になるといつもこうだ……)
適当に賛同してみせても、いつも怒る
アドルフは勘がいいから、うわっつらだけ同意してもすぐ見破ってくる
ボクは音楽があれば政治のことなんてどうでもよかった
でも、アドルフはそのことが気に入らないようだ 彡(-)(-)「全く 政治に興味がないなんてしんじられんなぁ」
彡(゚)(゚)「情熱が足らんのか?」
彡(>)(<)「だったらワイが政治というものを教えたる! 」
彡(^)(^)「よし そうと決まれば国会議事堂に行くで!」
(;´・ω・` )「ええ〜 ボクは帰ってピアノの練習したいんだけど…」
彡(゚)(゚)「このままお前を野放しにしてたら、将来どうなるかわからん!」
彡(゚)(゚)/「ええからついてこいや!」
(´・ω・`)……
アドルフに将来がどうのこうのなんて言われたくないけど
( ´-ω-` ) .。oO(仕方ない、ついて行くか)
┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3 数分後
(´^ω^`)「でさ、ヴィオラの先生が言ってたんだけど」
(´^ω^)「音楽の時代はイタリアに移り変わってるらしいよ」
彡(゚)(゚)「イタリアぁ〜? イタリアはないで」
(´・ω・`)「アドルフはドイツ以外の国に興味がないよね 」
彡(^)(^)「ワイは死ぬまでドイツ人やからな!」
彡(>)(<)「 芸術的才能もドイツの為に使うで」
(´・ω・`)「へー ボクは楽器が弾ければどこだっていいや」
(´・ω・`)「ってピアノの先生に言ったら」
(´・ω・`)「まるでユダヤ人みたいだなって言われたけど」
(´・ω・`)「正直 ユダヤ人って言われても」
(´・ω・`)「ボクはあんまりピンとこないんだよね」
(´・ω・`)「アドルフはユダヤ人についてどう思う?」
彡(゚)(゚)「ワイも別になんとも思わんで」
(´・ω・`)「え そうなんだ」 意外だった
ユダヤ人が嫌われていることはなんとなく肌で感じていた
だからアドルフも何かしらの考えを持っているんだろうなと思っていた
彡(-)(-)「そういえば学校の教師がユダヤ人についてあれこれ言っとったなぁ」
彡(゚)(゚)「ワイは寝てたんやけど」
彡(•)(•)「まあ不満があるとすればユダヤ人の建てる礼拝堂やな」
彡(゚)(゚)「あれはないわ」
(´・ω・`)「へぇー」
彡(゚)(゚)/「おっ 国会やん! チェコ人は消えろや!帝国万歳!!」
(。゚ω゚)「ちょ…急になにを言い出すの」
ユダヤ人に関心が薄かっただけで
アドルフは熱烈なドイツ民族主義者だった 彡(゚)(゚)「ちょうど議会の最中みたいやな」
彡(゚)(゚)「ええ機会やし、見学していくで」
(;´・ω・` )「えーやだよ、絶対につまらないもん」
彡(゚)(゚)「見学が二名や。案内を頼むわ」
( ;´-ω-` )「聞いてないし……」
門が開き、案内人に誘導され、見学席に座った
(´・ω・`)「お偉いさんが話をする所だけあって…すごい立派」
(´・ω・`)「議論の場だけでなく、オペラや演劇の場にもすればいいのに」 彡(゚)(゚)「よし、じゃあ説明していくで」
彡(゚)(゚)「あの高いところに座っとる奴がおるやろ?」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつが議長で鈴を鳴らすだけのお飾りや」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「その下に堂々と座っとる連中がおるやろ」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつらは大臣で座っとるだけが仕事や」
(´・ω・`)「へー」
彡(゚)(゚)「誰も座っとらん長椅子があるやろ」
(´・ω・`)「うん、あるね」
彡(゚)(゚)「そこは議員の席なんやけど……」
彡(゚)(゚)「そいつらはお喋りが仕事で、今はロビーで駄弁っとる」 (´・ω・`)「ふーん……。帰っていい?」
彡(•)(•)「いいわけないやろ!」
(´・ω・`)「だって誰も仕事してないじゃないか……」
(´・ω・`)「そんなの見て何になるの?」
彡(゚)(゚)「仕事をちゃんとしとるのもおるで」
彡(゚)(゚)「あそこで机に身をかがめとるのがおるやろ?」
(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつらは議会での発言をメモする速記者や」
彡(゚)(゚)「唯一、ちゃんと働いとる人たちや」
彡(゚)(゚)「まあ、彼らの仕事はまったくの無意味やと断言できるがな」
(;´・ω・` )「なんだよそれ……」
彡(゚)(゚)「でも、ここの連中の中ではまじめな分だけ好感が持てるわ」
彡(゚)(゚)「ほれ、議員の連中が群れをなして入って来たから……」
彡(゚)(゚)「そろそろ本格的な論議が始まるで」 (´・ω・`) .。oO(とたんに騒がしくなった……)
でも、こんなの議論じゃない……罵り合いだ……
演説をしている一人に対して大勢の議員が怒声を浴びせている
議長が鈴を鳴らして注意してるけど
議員たちは机をバンバンと叩き、口笛まで吹いて対抗している
(´・ω・`) .。oO(子どもの喧嘩でさえ……、ここまでひどくはない)
(´・ω・`)「ボク、もう帰るね」
彡(゚)(゚)「なに言っとるんや、今が一番、大切なところやぞ」
(´・ω・`)「でも、ボクには彼らが何を言っているのか……」
(´・ω・`)「さっぱり分からないんだ」
彡(゚)(゚)「議会の内容なんかどうでもいい」
彡(゚)(゚)「知ろうとするだけ無駄や」
(;´・ω・` )「えぇ…。だったら何のためにここにいるんだい?」
彡(゚)(゚)「政治の技を見るためや」
(´・ω・`)「政治の技?」
彡(゚)(゚)「あの演説家がしとる議会妨害がそれや」 (´・ω・`)「え?議会を妨害しているのは周りの議員たちだろ?」
彡(゚)(゚)「ちゃう、あの演説は時間いっぱい喋り通して……」
彡(゚)(゚)「他の議員に発言の機会を与えないことが目的なんや」
彡(゚)(゚)「だから周りの議員は怒って騒いどるんや」
(´・ω・`)「そんなことしてどうなるんだい?」
彡(゚)(゚)「時間切れで反論させなくする」
彡(゚)(゚)「これが政治の技や」
(;´・ω・` ) .。oO(いったいアドルフは何を言っているんだろう……)
そんな姑息な手段になにを学ぶことがあるのか
ボクには無意味な時間の浪費としか思えない
(;´・ω・` ) .。oO(でも……ボクが間違っているのかな?)
なにせボクは政治のことがさっぱりだし……
その後も、アドルフは全神経を集中させ
理解不能な演説をじっと見つめていた (´・ω・`)「おばさん アドルフはなんで政治に興味を?」
クララおばさんは語った
「血かしらね。 亡くなったお父さんも政治談義が好きだったから」
「いつも居酒屋で熱く政治を語って、煙たがられてたみたいだけど」
「アドルフに直接言ってる所は見たことがないから」
「なんだかんだ言っても親子なのねあの二人は」
「でも、最近の若い子はみんな自分をドイツ人だと思いたいみたいよ」
(*^◯^*)「クビツェク君はどうなの?」
( ´-ω-` )「うーん」
(´・ω・`)「分からないです」 (ꐦ`•ω•´)「うるさいな!」
彡(゚)(゚)「うるさいってなんやねん!!」
彡(•)(•)「ワイは正しいことを言ってるだけや!」
(`‐ω‐´)「なんだよ…」
(ꐦ`•ω•´)「アドルフは口ばっかでろくに仕事もしてないくせに!」
彡()()「はあああん!それを言ったらお終いや!!」
彡(●)(●)「もう勝手にせえや!」
(`‐ω‐´)「ああ、そうさせてもらうね!」
ボクたちは完全に決別した
(´-ω-`) .。oO(なにがきっかけだっただろう…)
音楽性の違いだったかな?
うまく思い出せない、でも……
(ꐦ`•ω•´)「アドルフのバーカ!」 ボクはトランペット奏者としてコンサートに出演予定だった
それまでの数日間、緊張の連続だった
( ¯灬¯ )「よし、今日の仕事はここまでだ」
( ;´-ω-` )「ふう…」
(´・ω・`)「ちょっと外でトランペット吹いてくる」
(∗ 'ω' ∗)「また一人?アドルフ君はどうしたの?」
(`‐ω‐´)「……知らないよ あんな奴!」
バタン!! 懸命に音を鳴らした
ちっともおもしろくない…
(ꐦ`•ω•´) .。oO(これもあれもアドルフのせいだ!)
なんでコンサートの前にこんなイライラしないといけないんだ!
アドルフはいつだってそうだった、いつもボクをバカにして いつだって…いつだって……
(´^ω^)(アドルフ聞いて!ボク コンサートに出るんだよ)
(´^ω^`)(あの聖エリザベートだよ!)
彡(゚)(゚)(ファッ!)
彡(^)(^)(やったやんけクビツェク!) …いつだって
(;´・ω・` )(アドルフ…うまくやれるかな 不安だよ…)
彡(•)(•)(なに言っとんのや!不安なら練習や)
彡(^)(^)(ワイがとことん付き合ったる!!) …
ブオン
( ;´-ω-` )(いつもここで間違えちゃうんだ…)
彡(゚)(゚)(そこはもうちょっとこうしたらいいんちゃうか?)
(´・ω・`)(こう?)パー♪
(´^ω^`)(やったできたよ!)
彡(-)(-)(ワイの指導の賜物やな)
( ;´-ω-` )……
彡(゚)(゚)(どうしたんや?)
(;´・ω・` )(こんなんで本番 大丈夫かな…)
彡(●)(●)(大丈夫や!絶対にうまくいく!)
彡(^)(^)(ワイが保証したる!!) コンサート当日
:(´ºωº`):
胸が高鳴る
コンサート会場は満員
オーケストラで子どもはボクだけ……
トランペットは間違えるとすごく目立つ… ブー
:(´ºωº`):
幕が上がった
指揮者がおじぎをして挨拶している
(。゚ω゚) .。oO(あっ、お母さん!)
お母さんは客席で不安そうにボクを見ている
( ;´-ω-` ) .。oO(…そんな顔しないでよ)
ボクまで不安になっちゃう… (´・ω・`).。oO(あれ?)
お母さんの隣にいる、大きい目をしたのは…
(。゚ω゚) .。oO(え、なんでいるの!?)
そこにはアドルフがいた
彡(^)(^)
彼はボクを励ますように微笑んでいた
(´・ω・`)
驚きのせいか、励ましのせいか
不安は吹き飛んでいた ・・・
( ˙-˙ ) .。oO(すべてが上出来に終わった)
( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡
大きな拍手が巻き起こった!
お母さんは立ち上がって、目に大きな涙を浮かべている
その横でアドルフは…
その大きな目を真っ直ぐボクに向け拍手を送っていた
(∗ ;ω; ∗)彡(゚)(゚)ノノパチパチ その日の夜
ボクとアドルフは人気のない静かな森に出かけた
( ´-ω-` )「アドルフ…ごめ」
彡(-)(-)「なんも言わんでええ…」
彡(^)(^)「ワイはすばらしい音楽が聴けて満足や!」
(´・ω・`)……
彡(-)(-)「でもな、これだけは言っとく」
彡(•)(•)「クビツェク お前は音楽家の最高峰、指揮者になれ!」
(。゚ω゚)!!
彡(゚)(゚)「お前には才能がある」
彡(゚)(゚)「その才能を埋もれさせたらアカン!」
彡(゚)(゚)「クビツェク お前は…」
彡(^)(^)「音楽の中でこそ輝く存在や!」
(。゚ω゚)……
この時、アドルフの途方もない言葉に
ボクはなにも答えられなかった… リンツ市街
彡(゚)(゚)「お!新しい家が出来とるぞ」
(´・ω・`)「ほんとうだね」
彡(>)(<)「さっそくスケッチしたろ!」
(´・ω・`)「また、始まった……」
アドルフは常に紙と鉛筆を持ち歩いていた
そして気に入った風景や建物があると、すぐスケッチした
(´・ω・`) .。oO(それにしても上手だな)
ボクもたまに仕事でスケッチすることがあるけど
アドルフのようにスラスラとは描けない
それに早いだけでなく、大胆な筆遣いで書き出される線はとても魅力的だ (´・ω・`)ジー
入り乱れた線のもつれ合いの中から建物が出来上がっていく
見ていて、とてもおもしろい
彡(゚)(゚)「よし、完成や!」
(´・ω・`)……
(´・ω・`)「ねえ、アドルフ?」
彡(゚)(゚)「なんや」
(´・ω・`)「色は塗らないの?」
(´・ω・`)「いつもスケッチだけで、ちゃんと仕上げないよね」
彡(-)(-)「うーん、色まで塗りだすと時間がかかるしな…」
彡(゚)(゚)「なんやったらワイの部屋に来るか?」
彡(゚)(゚)「完成品ならいくらでもあるで」
(´・ω・`)「え!いいの?」
彡(゚)(゚)「かまへんで」
彡(゚)(゚)ノ「ほな、行こか」 アドルフの家
彡(゚)(゚)「ここがワイの部屋や」
(´・ω・`)「そういえば、アドルフの部屋に入るのは初めてだ」
彡(゚)(゚)「前はチビに邪魔されたしな」
ガチャ
(´・ω・`).。oO(へえーここがアドルフの…汚いな)
部屋中が紙だらけだ……
彡(゚)(゚)「たしか……完成品はここに…」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ、これや」
(´・ω・`)「ありがとう」 ( ¯•ω•¯ ) .。oO(んー……)
正直……微妙だな……
水彩画なのに絵の具を塗りたくっているだけ
即興的な雰囲気や薄く柔らかい水のにじみをまったく表現できていない
感想としては不器用で没個性……稚拙の一言に尽きる 彡(゚)(゚)「気に入ったのがあれば、好きなだけ持って行っていいで」
(;´・ω・` )「う、うん。ありがとう」
Σ(´•ω•)「ん?」
(´・ω・`)「アドルフ……あれって…」
彡(゚)(゚)「ただの製図板やろ」
(´・ω・`)「いや……この書きかけのこれは……建物の設計図?」
彡(゚)(゚)「せや、ワイが設計した新しい劇場や」
(´・ω・`)「へーすごい……」
ものすごい緻密に細部まで描かれている ボクはこれでも家具職人の端くれだ
設計に関しては生まれ持っての才能は関係ない
技術や知識をどれだけ努力して身につけるかにかかっている
きっとアドルフはここまで出来るようになるまで
相当な苦労をしたんだろう
(`-ω-´)「いやーアドルフ。これはすごいよ」
(´・ω・`)「いったい誰に教わったんだい?」
彡(゚)(゚)「独学やが」
(´・ω・`)「え?」
彡(゚)(゚)「建築関連の本を読んで、あとは適当に思い付きで書いてるで」
(。゚ω゚) .。oO(えええ!!)
ちょっと待ってよ
さっきのボクの発言、返してよ!
設計に才能は関係ない、努力の賜物だって……
カッコつけたばかりなのに! 彡(゚)(゚)「なんやクビツェクも建築に興味があるんか」
彡(^)(^)「ならこれからは、建物の話でも盛り上がれるな!」
(;´・ω・` )「いや……ボク、建物に全然…詳しくないし……」
彡(^)(^)「謙遜せんでええ。それに、いくらでもワイが教えたる」
彡(゚)(゚)「せや、いい機会やし……これプレゼントするわ」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ」
(;´・ω・` )つ「あ、ありがとう」
(´・ω・`)「これは邸宅の設計図……」
(´・ω・`) .。oO(ん?)
なんか見覚えというか……聞き覚えがあるような気が……
なんだったかな……
……
そうだ! (´・ω・`)「ねえ、これってステファニーと一緒に住むために設計した……」
彡(゚)(゚)「ちっ、覚えとったか」
(´・ω・`)「こんなの貰っても困るんだけど…」
彡;(゚)(゚)「ワイも捨てるつもりでいたんやが……」
彡(-)(-)「どうしても思い入れがあってな……」
彡;(゚)(゚)「処分できんのや!」
彡(゚)(゚)「頼む、受け取ってくれ」
(´・ω・`)「えぇ…」
彡(-)(-)「この通りや」
(´・ω・`)「もう……しょうがないな」 ┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフはよくリンツの市街を歩き回った
|苗| ( º言º) 「まるで犬小屋やな」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` ;)
そしてアドルフは目につく建物を必ず批評した
「ここの街並みは一掃して道にすべきや」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・` ;)
アドルフが何より熱狂していたのは都市計画についてだった 彡(゚)(゚)「はーなっとらん、なっとらん」
彡(゚)(゚)「誰や、こんなアホな街を作ったアンポンタンは!」
彡(゚)(゚)「役所は古びたゴシック様式でなく、もっと近代的にすべきや!」
彡(゚)(゚)「博物館にはフリーズ装飾を施さんとアカン!」
彡(-)(-)「嘆かわしい……何で誰も文句のひとつも言わんのや…」
( ;´-ω-` )「誰だって街並みに不満もあれば、要望も持ってるよ……」
彡(゚)(゚)「ん?だったらなんで変えんのや?」
( ;´-ω-` )「そんなの決まってるじゃないか…」
(;´・ω・` )「莫大なお金がかかるからだよ」
(;´・ω・` )「アドルフの話にはついていけないよ……」
( ;´-ω-` )「そんな実現不可能なこと考えてどうするんだよ……」
彡(゚)(゚)…… 彡(-)(-)「はー何を言うかと思えば……」
彡(●)(●)「そんなんやから何も変わらんのや!!」
(。゚ω゚)!!
彡(゚)(゚)「クビツェク お前は建物がどうやって建てられるか知っとるか?」
(;´・ω・` )「えっと……まず土台を作ってから骨組みを組んで……」
彡(-)(-)「ちゃう……そんな現場レベルの話とちゃうねん……」
彡(゚)(゚)「ええか。建築はまず計画があって、それに権威が付いて動く……」
彡(゚)(゚)「そして資金が加わって実現するんや」
彡(゚)(゚)「だから、計画がないことには何も始まらん」
彡(゚)(゚)「ワイはそのための計画を日々考えとるんや」
(;´・ω・` )「でも…そんなことを考えても無駄なだけだよ」
(;`・ω・´)「ボクたちは子供だよ……」
( ;´-ω-` )「仮に将来、ボクたちが成功したとしても……」
(;`・ω・´)「ボクは人気オーケストラの指揮者!」
(;`・ω・´)「アドルフは売れっ子の画家、デザイナー!」
(;´・ω・` )「ボクたちが大人になって、目指す職業につけたとしても……」
( ;´-ω-` )「一つの都市を根底から作り直すなんてムリだよ」
彡(゚)(゚)……
彡(-)(-)「そんな話ならワイは聞きたくない」
彡(゚)(゚)「ええわ、一旦この話は終いや……」 アドルフの家
(*^◯^*)「アドルフ、手紙が来てるわよ」
(*^◯^*)ノ「あとコレ、クビツェク君と食べなさい」
彡(゚)(゚)ノ「サンキュー マッマ!」
(´・ω・`)「ありがとうございます」
(´・ω・`)「なんの手紙だい?」
彡(゚)(゚)「建築協会からの手紙みたいやな」
彡(゚)(゚)「こないだ会員になったんや」
(´・ω・`)「へーそんなのに加入したんだ」
彡(-)(-)「クビツェク まるで他人事やが……」
彡(゚)(゚)「お前にも関係があるんやぞ」
(´・ω・`)「え?どういうこと?」 彡(^)(^)「この協会はリンツの劇場を新しくするために結成されたんや」
彡(^)(^)「お前もさんざんあの劇場には文句いっとったやろ?」
(。゚ω゚)「本当!!」
(´^ω^`)「あの古い劇場が新しくなるなら、とても嬉しいよ!」
彡(^)(^)「しかも……や」
彡(^)(^)「ちゃんとコンテストを開いて、その中から採用されるんや!」
(`・ω・´)「あ!もしかしてアドルフも……」
彡(^)(^)「せや!もちろん応募したで!」
彡(^)(^)「きっとコレはワイの力作が当選した通知や!」
アドルフは手紙の封を切った 彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
(;´・ω・` ) .。oO(あっ……この反応は…)
彡(●)(●)「落選やと!ふざけんなや!!」
( ;´-ω-` ) .。oO(やっぱりね…)
まあ、仕方ないよね
当選した案はきっと大人が考えたものだろうし……
アドルフの力作もさすがに敵わなかったんだ
(´・ω・` )「アドルフ、残念だったね……」
(`・ω・´)「でも、プロの手によるすごい作品が選ばれたんだよ」
(´ᴖωᴖ`)「これできっと、リンツの劇場はよくなるよ」
彡(●)(●) 「たしかに…」
彡(-)(-)「ワイも設計に関してはまだまだ素人や」
彡(゚)(゚)「一流の手によってリンツの劇場がよくなるなら……」
彡(-)(-)「それで納得せなアカンな……」
( ;´-ω-` )ふぅ…… 彡(゚)(゚)「それで、どんな案が当選したんや……」
彡(゚)(゚)「ふむふむ……」
彡(•)(•)「はぁ?」
(;´・ω・` ) .。oO(え?)
彡(●)(●)「なんじゃこのふざけた案は!!」
(;´・ω・` )「え?……ボクにも見せて貰っていい?」
彡(●)(●)ノ「……」
(;´・ω・` )ふむふむ……
( ;´-ω-` )「えぇ…」
『リンツ劇場の建築案は費用の観点から現実的であると判断し
バウエル氏の現在のリンツ劇場を修繕した案を採用いたします。』
彡(●)(●)「この期に及んで修繕やと!!」
彡(●)(●)「古いがらくたを取り繕う姿が目に浮かぶわ!!!」
彡(●)(●)「それに……この協会の名前!」
彡(●)(●)「ムダに偉そうに長くしよってからに!!」
バシッ!
アドルフが叩きつけた封筒には
『劇場建設協会建築設計実行委員会』とあった…… アドルフの部屋の前
コンコン!
「だれや?」
(´・ω・`)「ボクだよ、遊びにきたよ」
「おおクビツェクか、入ってええで」
ガチャ
(´・ω・`)「お邪魔します…あっ勉強してた?」
彡(゚)(゚)「べつにかまへん。博物館の設計図を描いとるんや」
(´・ω・`)「へー。ん?博物館?コレが?お城でしょ」
彡(゚)(゚)「コレはな。外観は城にして中を博物館にしようと思っとるんや」
(´・ω・`)「へーオシャレだね」 彡(゚)(゚)「外観だけとちゃうぞ。ちゃんと中身も考えとる」
彡(゚)(゚)「覚えとるか?前に一緒に博物館へ遊びに行ったやろ」
(´・ω・`)「ああ、国の歴史をレリーフで表現してた」
(´・ω・`)「しかも大理石で」
彡(^)(^)「せやせや」
彡(゚)(゚)「あれがリンツの街にもあったらええやろ?」
(´・ω・`)「たしかに、飽きずに何度も見に行けるよ」
(´・ω・`)「こっちの設計図は大聖堂?」
彡(^)(^)「せやせや」
(´・ω・`)「あれ?でも大聖堂は今、建築中だよね?」
彡(゚)(゚)「あんなゴシック様式の大聖堂はアカンわ」
彡(゚)(゚)「だからワイがもっとちゃんとしたのを考えとるんや」 彡(-)(-)「ホンマ、あんなもん建てとるから……」
彡(゚)(゚)「いつまで経ってもリンツはウィーンに追いつけんのや」
(;´・ω・` )「いやいや……」
( ;´-ω-` )「田舎町のリンツが大都会のウィーンに追いつけるわけないじゃん」
彡(-)(-)「はーお前までそんなこと言うんか……」
彡(゚)(゚)「そんなんやから、あんなしょうもない大聖堂で満足するんや……」
(´・ω・`)「十分に立派じゃないか」
彡(-)(-)「あんな小さいもんのどこが立派なんや……」
彡(゚)(゚)「ウィーンの大聖堂は何メートルあるか知っとるか?」
(;´・ω・` )「100メートルぐらい?」
彡(゚)(゚)「一番高いところで138や」
彡(゚)(゚)「ワイらも意地を見せてそれぐらいのモン作らんとアカンやろ」
(;´・ω・` )「無茶だよ……」
彡(-)(-)「……まあええわ」
彡(゚)(゚)「今回の建築のために石工ギルドが新しく創設されたみたいやし……」
彡(゚)(゚)「ワイがこの街を作り変えるときには……」
彡(-)(-)「優秀な職人が育っとるやろ」
(;´・ω・` )「そんなまた誇大妄想をして……」 ボクたちはヴィルトヴェルク城に遊びにきていた
(´・ω・`)「所々、壊れてるけど……」
(´ᴖωᴖ`)「やっぱりお城は男のロマンだよね」
彡(゚)(゚)「なんや?お前でも一国一城の主に憧れるんか?」
(`・ω・´)「そりゃボクも男だからね」
(´ᴖωᴖ`)「お姫様と一緒にこんな城で過ごしたいよ」
彡(゚)(゚)「ほう……それはええ案や」
(;´・ω・` )「え?もしかしてステファニーとここに住もうとか?」
彡(゚)(゚)「いや……J(„❛⌄❛„)と住むなら……」
彡(-)(-)「もっとこじんまりした家でライン川が見えるとこやな」
彡(^)(^)「大きい家より小さな部屋で愛を育みたいやろ」
(´・ω・`)「君の趣向はどうでもいいんだけど……」
(´・ω・`)「なら、なにがいい案なの?」 彡(゚)(゚)「この城に住むってアイディアや」
彡(-)(-)「うーん、この城を復元して……そうやな……」
彡(゚)(゚)「ホテルにするなんてどうや?」
彡(-)(-)「いや……ありきたりでつまらんわ……」
(´・ω・`) .。oO(一人の世界に入っちゃった……)
彡(゚)(゚)「せや……人を集めるために遊技場にしたらどうや?」
彡(-)(-)「アトラクションを周辺に用意して……」
彡(-)(-)「パレードをしたら盛り上がるかもしれん……」
彡(゚)(゚)「せやせや……オリジナルキャラクターを作ってもええな」
彡(-)(-)「どんなキャラがええか……」
(´・ω・`) .。oO(つまんないなー)
あ!ネズミだ
〜( ̄C・>チュウ 彡(-)(-)「チュウ……ネズミのキャラか……」
彡(゚)(゚)「ええかもしれんな」
彡(-)(-)「耳を大きく特徴的にして……」
彡(゚)(゚)「ハハッとか言わせとけば流行るとちゃうんか?」
( ;´-ω-` ) .。oO(そんな適当なキャラ…流行るわけないじゃん)
彡(-)(-)「けど、遊ぶだけってのはあまりに軟弱や……」
彡(-)(-)「それにせっかく復元するなら歴史の要素を入れな勿体ない」
彡(-)(-)…… 彡(゚)(゚)「せや、職人学校をここに作ったらどうやろ」
彡(゚)(゚)「それも中世の恰好させて住まわせたらどうや」
彡(゚)(゚)「客も呼べるし、文化も保存できる……」
彡(゚)(゚)「入場料を徴収して、職人の給料に回せば生計も営める」
彡(^)(^)「一石三鳥やんけ!!」
彡(^)(^)「客はこの数世紀の時が止まった島へ観光にくるんや!!!」
彡(-)(-)「けど、人に見られるんやから職人の質の担保が必要や……」
彡(-)(-)「職人を目指す奴なんて気性が荒いのばかりやからな……」
(´・ω・`) .。oO(すごい偏見…いったいボクをなんだと思ってるんだろ)
(´・ω・`)「あのさ、ならマイスター試験を導入したら?」
彡(゚)(゚)「マイスター試験ってなんや?」
(´・ω・`)「あのね職人の技量を見定める試験でね……」
(´・ω・`)「高い技術力を持っているか評価するの」
彡(゚)(゚)「ほう、そんなもんが実際にやられとるんか……」
(´ᴖωᴖ`)「ボクも受けることになると思うんだ」
彡(-)(-)「なるほど、なるほど……すると他に必要なもんは…」
( ;´-ω-` )「って聞いてないし……」 アドルフの都市改造計画には他にも
リヒテンベルクの山に鉄道を通し、ホテルを建てる案や
ウィーンのステファン大聖堂を眺めることができる鉄骨製の展望台
ドナウ川に掛かるアーチ状の橋
天に向けて愛剣ノーテゥングを振り上げる英雄ジークフリート像
彡(-)(-).。oO
と大きいモノから小さいものまで上げればキリがないほどあった
ボクはこんな大胆で遠大な計画はただの空想ゲームでしかないと思っていた
「これからは地下鉄の時代や」\(゚)(゚)ミ(‘・ω・`) 彡(゚)(゚)「なんや 今日は劇場やっとらんやんけ」
( ´-ω-` )「そっか残念…じゃ帰ろうか」
彡(-)(-)「しゃあないな…」
彡(゚)(゚)「ん!?」
(;´・ω・` )「今度はなんだよもう…」
彡(>)(<)「宝くじやん! 買ったろ!」
彡;(゚)(゚)「あら…金がない…」
彡(゚)(゚)「クビツェク!お前も半分出せや!」
(;´・ω・` )「ええ〜! 只でさえ小遣い少ないのに…」
彡(^)(^)「当たった金でワイらが民族記念館を改修するで! 」
彡(>)(<)「クゥ〜! 夢が広がってきたで!」 彡(゚)(゚)「邸宅も作るで! 二階にワイのアトリエを作って」
彡(゚)(゚)/「地下にはクビツェクの音楽室や!」
(`・ω・´)「あっ…」
(´^ω^`)「いいねぇそれ」
彡(^)(^)「せやろ そうとなればさっさと買いにいくで!」
彡(゚)(゚)「おばちゃん、一枚貰うで!」
彡(-)(-)「ど れ に し よ うかな…神様のい う と お り」
彡(゚)(゚)ノ「よし!これや!!」
ボクとアドルフは大いに夢をふくらませた
愛、熱狂、大胆なアイデア
若いボクらには何でもあった
彡(-)(-)(´-ω-`)
ただこれまではお金がなかった
彡(^)(^)(´^ω^`)
でも欠けていたピースが埋まろうとしている今
ボクたちの前に障害はもう何もない 彡(゚)(゚)「新築を建てる案はええが費用がかかり過ぎるで」
(´・ω・`; )「みすぼらしい服で豪邸に住むことになるね」
( ;´-ω-` )「かっこわるい…」
彡(゚)(゚)「せや! 中古物件を買って改造するのはどや!?」
(´^ω^)「それ名案だね!」
彡(^)(^)「よっしゃ 場所決めに行くで!」
(´^ω^`)「行こう行こう!」
(;´・ω・` )「うーんこの辺りは周りが家ばかりだね」
彡(゚)(゚)「次や次!」
(´•ω•)「ここいいんじゃない? 程よく町を見渡せるよ!」
彡(•)(•)「……」
(´・ω・`; ) .。oO(あっ……)
近所に学校があった…
( ;´-ω-` )「ここは学校の通学路があるから芸術活動に支障が生じるね」
彡(-)(-)「せやな」 ┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`)┓三三3
ボクとアドルフは街を走りまわった
そして遂に見つけた
ウアファールキルヘン通り二番にあった家の三階
ドナウ川に近く、緑の優雅な丘陵を見渡せる最高の立地
ボクたちはひっそり忍び込み、引っ越しの計画を立てた 彡(^)(^)「ここにワイの作図机を置くで!」
(´^ω^`)「じゃあボクはこっちにピアノを置くよ」
彡(゚)(゚)「カーテンとその飾りは任せるで!」
(´ᴖωᴖ`)「ふふふ 伊達に家具職人見習いをやってないからね」
(*>ω<*)ゞ「任せてよ!」
ボクはもう夢中になって試案した
(`・ω・´)「できた どうだいアドルフ」
彡(゚)(゚)「おお、ええな! 堅実で妥当や!」
彡(^)(^)「よっ 大将!」
(´・ω・`)「ボク宝くじが当たったら家の手伝いをやめるよ!」
彡(゚)(゚)/「止めてまえ止めてまえ」
(´ᴖωᴖ`)「たまには旅行にも行こうね」
彡(-)(-)「せやな」
彡(^)(^)「ウィーンへ行こうや! 劇場に行ったり講義を聴いたりするで!」
彡(゚)(゚)「でも生活スタイルは今と同じや!」
彡(゚)(゚)/「上品かつ堅実にいくで!」
彡(^)(^)(´ᴖωᴖ`)
宝くじ。それも一等に当選するとボクたちは確信していた ( ¯灬¯ )「クビツェク、椅子の脚をとっておくれ」
(`・ω・´)っ「はい父さん」
ガラガラ
( ¯灬¯ )「ん、だれだ? 納品日は明後日の筈だが…」
彡(゚)(@)「クゥー! ク、ク、クビツェクーーー!!!」
(。゚ω゚)「ア、アドルフ!!?」
アドルフの手にはくじが握られていた
彡()()「ンゴォォォォォォォォ!!!!」
彡(●)(●)「人間の騙されやすさにつけ込む国家主導の投機!」
(´・ω・`) .。oO(ああ…そうか)
( ´-ω-` )駄目だったんだね… 彡()()「善良な市民を食い物にする公然の詐欺!!!」
彡(•)(•)「たかだか十や二十の民族の寄せ集めの糞国家が〜〜!!〜〜!!」
彡(●)(●)「ハプスブルク家の婚姻政策から生まれた怪物!!」
名言製造機のアドルフの口はこれでもかと稼働していた
実際には、二人の哀れな若者がなけなしの金を騙しとられた
ただそれだけの話
彡;(゚)(゚) ( ;´-ω-` )
でもアドルフは自分に非があるとは思いもしていないようだ
一等を得るのは当然の権利であると思っていた 彡;(゚)(゚)「オーストリアなんて信じたワイが馬鹿やった…」
彡;(゚)(゚)「ふぅ…ふう…」
彡(゚)(゚)「くそが、気分直しに橋のスケッチにでもいくでクビツェク!」
(´・ω・`)「うん、付き合うよ」
( ¯灬¯; )「なんだこいつ…」
ボクたちはドナウ川に向かった
ドナウ川を流れる水の上には、何か自由で前に進みたくなる雰囲気があった
まるで自分がそうでありたいと願うように
自らの国を嫌うこの若き民族主義者は熱心に橋をスケッチしていた
(´・ω・`) 彡(゚)(゚)/
( ;´-ω-` ) .。oO(って宝くじを外したくらいで大げさだよね) 一九〇六年の五月から六月にかけて
アドルフはウィーンに滞在していた
( ¯灬¯ )「おーいクビツェク、ヒトラー君から絵葉書が届いているぞ」
(´ᴖωᴖ`)「え、ほんと!?」
『絵葉書を送る。ずっと便りを出さなかったことはすまないと思っている。
僕はとても元気で、今はあちこちを見て回っている。
明日はトリスタンを見に行き、明後日はさまよえるオランダ人という具合だ。』
(`・ω・´) .。oO(ふむふむ…)
(´^ω^`)いろんな劇を見れて楽しそうだなぁ 『全てがとても素晴らしいのだが、僕はもうリンツが恋しい。
今日は市立劇場に行く。尊敬するご両親によろしく。
アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(`・ω・´) .。oO(むむ…)
きっとこの『リンツ』っていうのはそのままの意味じゃない!
アドルフは慣れ親しんではいるけど、田舎のリンツに限界を感じていたはずだ
それに『恋しい』という……この表現…
(`・ω・´) .。oO(わかった!)
きっとこの『リンツ』は『ステファニーJ(„❛ꇴ❛„)』のことだ!
( ;´-ω-` ) .。oO(全くもう…)
気恥ずかしいからって……
こんな回りくどい表現をして 『建物の内部に感動はしない。
建物の外面の力強い威厳が芸術の記念碑的厳粛さを建物に及ぼすのであり、内部ではその威厳よりも感嘆を覚える。
力強い音の波が室内をうねり、風のざわめきが波打つ音のすごい洪水に消え失せるときにこそ、崇高さを感じ、内装を飾る金やビロードのことはわすれてしまう。
尊敬するご両親に宜しく。アドルフ・ヒトラー彡(゚)(゚)』
(´・ω・`) .。oO(ふむふむ)
いろいろとぎこちなくて過剰な表現が目立つけど
君がとてもステキな体験をしたことはなんとなく分かったよ(´ᴖωᴖ`) リンツ駅
ボクはアドルフを迎えにきていた
(´ᴖωᴖ`)「おかえり、アドルフ」
彡(^)(^)「おおクビツェク! 」
彡(>)(<)「ウィーンはホンマによかったでぇー!」
彡(゚)(゚)「流石ステファニーを生んだ町や!」
彡(゚)(゚)「あそこの建築を見て音楽を聞けばワイも都会人や!」
彡(-)(-)「クビツェク…ワイは決心したで…」
彡(゚)(゚)「ワイはウィーンへ行く」 アドルフの家
彡(゚)(゚)「母さん! ワイはウィーンへ行くで!」
彡(^)(^)「ウィーンで芸術を学ぶんや!」
(*^◯^*)「駄目よ!」
彡;(゚)(゚)「なんでや!」
彡;(゚)(゚)「費用はワイが親父から相続した分を使うんやからええやろ!」
(*^◯^*)「そういう勝手なところがお父さんそっくり!」
(*^◯^*)「それにもう、知り合いのパン屋さんに仕事の斡旋を頼みました!」
彡;(゚)(゚)「ファ!?聞いてへんでそんなこと!」
(*^◯^*)「言ったら反対するでしょ!」
彡(•)(•)「当たり前や!」
彡(•)(•)「それも、よりにもよってパン屋やと!」
彡;(゚)(゚)「パンを売ってパンを得るなんて…」
彡;(゚)(゚)「本末転倒もいいとこやろ!!」
(*^◯^*;)「なにを訳のわからないことを…?」 (*^◯^*)「アドルフ!」
(*^◯^*)「あなたは二年前に学校を止めてから、ずっとブラブラして!」
彡;(゚)(゚)「ぶっ、ブラブラぁ!? それは聞き捨てならんで!」
彡;(゚)(゚)「ワイはいつも芸術家になるため努力しとったんや!」
(*^◯^*)「この際だから、はっきり言うわ!」
(*^◯^*)「芸術家なんて不安定で軽率なものお母さんは認めないわ!」
彡(◦)(◦)「!?」
( ;´-ω-` ) .。oO(…外にいても聞こえる)
もしかしたらと思って様子を見に来たけど
案の定、修羅場になってるよ…… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています