36人が死亡し、32人が重軽傷を負った令和元年7月の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人罪などに問われた青葉真司被告(45)の第8回公判は20日午後も、遺族らによる被告人質問が続いた。青葉被告は被害者側の追及に対し、「京アニがしてきたことは全部不問になるのか」と反論する場面もあった。

この日は、被害者参加制度を利用して、遺族と被害者の代理人弁護士計8人が直接質問。その中で、ある代理人弁護士に「被害者のことは考えなかったのか」と問われると、青葉被告は「逆に聞くが、京アニが(自身の)作品をパクったときには何か考えたのか」と語気を強めて質問を返し、裁判官から注意を受けた。

その後、別の代理人弁護士が「逆質問」の意図を追及すると、「自分はどんな刑だろうと罰は受けなければならないが、京アニがしてきたことは全部不問になるのか」と述べた。

この弁護士に「京アニに憤りがあるのか」とも問われると、「(今も)あります」と興奮した様子で答えた。

検察側は冒頭陳述で、被告が京アニ大賞に応募した作品のアイデアを盗用されたとの妄想を募らせ、「筋違いの恨みによる復讐(ふくしゅう)」で事件に及んだと指摘。これに対し、弁護側は刑事責任能力を争う姿勢を示した上で「被告にとって事件は、(小説を落選させるよう仕組むなど)人生をもてあそんだ『闇の人物』への反撃だった」と訴えている。