「通常、戦争シミュレーションは政府・軍関係者や学者といった参加者の主観にもとづき、多くても数回だけ実施されます。対して、我々は台湾侵攻のシナリオを『基本』『楽観』『悲観』に大別し、コンピュータを用いて計3350万回もの試行を重ねました。その結果、きわめて客観的な予測ができたと考えています。
 そのうち大部分のシナリオでは『台湾・アメリカ・日本は大きな損害を被るが、中国は台湾占領に失敗する』との結果になりました。しかしこれは、あくまで米軍が日本国内の基地をフルに使えて、自衛隊も米軍や台湾軍をサポートすることが前提です。日本国内の基地を使えなかった場合―これを我々は『ラグナロク(終焉)シナリオ』と呼んでいるのですが―、数ヵ月の戦闘ののち、台湾全域を中国が占領することになります」