韓国政府は28日、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出直後に「原発周辺の海の色が黄色く見えるようになった」との写真がSNS(ネット交流サービス)で拡散したことについて「フェイクニュースだ」と発表した。東京電力に事実関係を問い合わせて回答を得た結果とし、今後も虚偽情報を確認した場合は国民に知らせていくという。

朴購然(パク・クヨン)国務調整室第1次長は「黄色く見えたのは潮の流れが強いからで、福島の海ではよく見る現象だ。放出とは関係ない」と明言。問題の写真の撮影時刻も24日午後1時5分ごろで、処理水が海に到達した午後1時13分より前だったとしている。

韓国政府は海洋放出を容認しているが、国内産水産物の消費落ち込みも想定される。このため尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と韓悳洙(ハン・ドクス)首相は28日、昼食で一緒に水産物を食べて安全性をアピール。大統領府の食堂でも同日、昼食メニューでヒラメやクロソイの刺し身の盛り合わせや焼きサバなどを提供し、「普段の1・5倍の人数が利用した」(報道官室)と強調した。

韓国では来春の総選挙を控え、与野党対立が激化。進歩系の最大野党「共に民主党」は「尹政権は日本の環境犯罪を手助けした」(李在明<イ・ジェミョン>)代表)と批判を続けるなど、処理水放出が「政権攻撃の材料」となっている側面がある。