インヌ

▽解説

 沖縄県中頭郡に伝わる妖怪です。

 この妖怪の文献上の初出とみられる佐藤清明の『現行全国妖怪辞典』では「インヌ」の項目名で、本文には「インヌ フィー クーテ アッチュン(犬が火を喰はへて歩く妖怪)」とあります。
 これは妖怪「インヌ(犬)」の説明を伝承地の言葉で記したもののようですが、同書を参照した日野巌『日本妖怪変化語彙』では項目名が「インヌフィークーテアッチャン」となっており「犬が火をくわえて歩く妖怪の義」と説明されています。
 その後に出された出版物等では、たとえば村上健司著『妖怪事典』が『現行全国妖怪辞典』のみを出典として挙げながら、妖怪名を「インヌフィークーテアッチャン」とするなど、やや混乱がみられたようです。