音楽を聴く。何かに触れるよう、宙に手を伸ばす仕草。彼は長らくその慣習を忘れていた。
ある曲にそれは呼び起こされ、ただの一瞬、その一瞬だけ彼はもう一度それに触れたのだ。確かにきっと。