滋賀県の小学校で教壇に立つ20歳代の女性教員は、端末から目を離さない児童がいると、チョークを持つ手が震える。
 「先生なのに知らんの?」。昨年度に受け持った4年生のクラスで、男子児童の一人から繰り返し言われた。
 クラスの中でも控えめな方だった児童が変わったのは、夏休み明けだった。授業中も端末を見続け、同級生にクイズを出すようになった。最初は「路面電車が走る都道府県はいくつあるでしょうか」といった程度だったが、やがて小学校では習わない数学や理科の問題へと進んだ。

ある日の授業中、男子児童は世界史の問題を女性教員にぶつけてきた。歴史上の出来事などを強い口調で解説するタレントユーチューバーそっくりの語り口で、大げさな手ぶりと眉を上下させるしぐさまでそっくりだった。女性教員が教科書を開くよう注意すると、彼は一方的に正解を言い、ふんぞり返った。
 男子児童は夏休み中、一人で家で過ごす時間が長く、その間に見続けたユーチューバーの動画に染まっていったようだった。女性教員は彼の出す問題を受け流していたが、しばらくすると他の児童たちも「先生って何も知らないんや」と言うようになった。提出物を出すよう言っても、整列を指示しても、反応しなくなった。
 「ネットに強く影響を受けた子に、教師としてできることはなんだったんだろう」。女性教員は思い悩む。


ユーチューバーまねる児童「先生なのに知らんの?」…クラスに波及、整列の指示も反応せず
https://news.yahoo.co.jp/articles/14d0784c87f5a7d4642f8d641371a10c921d0f81