身ひとつで、知らない土地で働くには寮付き派遣しかなかった。ただ当時のシュウゴさんは夢や期待のほうが大きかった。
「学歴も、職歴もない自分に飛行機代も出してくれる、住まいも用意してくれる。入社祝い金やクオカードももらえる。寮付き派遣って、いいことずくめじゃないか」。

「前例がない」と労災を認められなかった
痛みを訴えたシュウゴさんに対し、派遣先会社の上司らは備え付けの救急箱から湿布をくれた。ただ同時に「病院には、絶対に1人では行かないように」と強く念押しされたという。
指示に従って上司と共に病院に行ったところ、医師からは椎間板ヘルニアと診断されたうえ、「仕事が原因と疑われます」と告げられた。

ところが数日後、派遣先会社からは労災は認められないと伝えられた。理由は「前例がないから」。これまでこの職場で腰を痛めた人はいない、というのだ。
上司は追い打ちをかけるようにこう言った。「仕事以外のところで、自分の不注意で痛めたのではないか」。

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