歌舞伎俳優の市川猿之助さんとその両親が自宅で倒れていた事件。警視庁によると市川猿之助さんの自室に遺書のようなものが見つかったため、自殺を図ったと見ているという。

戦前までは、歌舞伎の家に生まれた男子は、10歳くらいから、金主やごひいき筋の男性とも女性とも“お相手”できるように訓練を受ける。これくらいの年齢からお座敷遊びなどにも連れていかれる。
ごひいき筋ときれいに遊べるようにだ。だからこそ、「役者の遊びは芸の肥やし」と言われたりもした。

いまの時代でも、歌舞伎のコアなファンなら歌舞伎役者に同性愛的行為の噂が出ても、「へえ、そうなの」で終わる。現代社会のLGBTQ問題とはちょっと感覚が違うのだ。
週刊女性セブンには、セクハラ・パワハラ行為が書かれているが、業界の人に言わせれば「そんなモンでしょ、そんな世界だし嫌ならやめればいい」ということになる。
ただ、これは一連のジャニーズの性的虐待の事件とよく似ている事例でもあり、ジャニーズの事件でも以前なら「芸能界ってそんなモンでしょ、嫌ならやめればいい」というものであった。しかし時代がそういった行為を許さなくなってきたと言えよう。
また、猿之助さんは、いとこにあたる香川照之(市川中車)氏が、銀座のママやホステスに対するセクハラスキャンダルで、テレビから干されているのをもっとも間近で見ている。
そういったこともあり、猿之助さんは絶望してしまったのだろうか? 今はただただ今回の事件が残念でならない。

プロフィール
巨椋修(おぐらおさむ)
社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。

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