日本料理こそ世界に誇る文化であると自負している日本人は少なくない。だが、実際はすべての外国人が絶賛しているわけではないようだ。日本在住の大学講師で「ジャパン・タイムズ」の寄稿者でもある英国人が、英「スペクテイター」誌に本音を打ち明けている。

日本に23年間暮らし、屋台料理から懐石のフグの天ぷらまで、ありとあらゆる日本料理を食べてきた結果、私はある結論に達した──日本料理は過大評価されている、ということだ。味気なく、似たり寄ったりなこともある。

伝統的な料亭の神秘的な雰囲気は、魅力的であると同時に威圧感を伴う。それは客に、古い儀式に参加しているような錯覚を与える。そして少量で、どちらかと言うとあまり美味しくないことが多い料理を何時間もつらい正座で食べなくてはならないことへの一切の疑念を鎮める。

好きな料理はフランス料理やイタリア料理、あるいはインド料理やタイ料理と言ってもあまり人の印象には残らず、感心もされない。だが「日本料理」ならどうだろう? そう言った瞬間に、自分は洗練されていることを宣言したことになる。

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