昭和36年(1961).4.18〔“睡眠薬遊び”流行 朝日新聞引用〕
 東京の浅草、上野など、東京下町をうろつく少年少女の間に、睡眠薬を飲んで酔っぱらう遊びが流行。去年の夏あたりからはやりだしたもので、睡眠薬を飲むとファッとした気分になり、少年少女たちを虜にしている。なかには薬の量を競争し、たくさん飲んだのを自慢しあったりもする。先日浅草で倒れ、2日間意識不明だった少女(15)は、自殺をはかったと思われていたが実は、睡眠薬遊びで薬を飲みすぎたものとわかった。
 ふつうコーヒーで2錠ほど飲むと、酒に酔ったのとまったく同じ気分になる。10錠、20錠と飲むと目がドロッとして、ろれつが回らなくなり、フラフラする。この状態を「らりっている」と呼ぶ新語まで生れた。薬代欲しさに脅しや、興奮してのケンカも起きている。危険な遊びの流行に警視庁で対策に苦慮、ひどい場合には薬局に協力を求めるという。この遊びは、かなり以前から愚連隊や山谷の労働者の間で酔いを深めるために、酒と一緒に睡眠薬を飲むのがはやっていたが、これが子供たちにマネされたらしい。
(朝日新聞4・18)