それにしても、なぜこのような状況となったのか──。その答えは、韓国の初戦となるオーストラリアの試合前に見てとれた。選手紹介でベンチから飛び出し、ホーム付近に並んでいく選手たち。その彼らの着ているユニフォームが、明らかにだぶついていた。とくに臀部あたりに躍動する筋肉がまるでない。

「相変わらず練習していないんだな」

 そう思わずにはいられなかった。

 韓国プロ野球がつまらなくなった。そう思うようになって、どれくらい経つだろう。私見を許してもらえるなら、韓国プロ野球のピークは、北京五輪で金メダルを獲った2008年から、第2回WBCで日本と覇権を争い、準優勝した2009年頃だと思っている。

 当時の選手たちは、心技体すべてにアグレッシブだった。ヤンチャな選手も多かったが、その分、野球に対しても熱心だった。今の選手が決して怠慢とは言わない。だが、明らかに当時と今とでは、環境が違いすぎる。

 かつて韓国プロ野球では、年俸1億ウォン(約1千万円)になると一流選手の証だと言われていた。それが今や10倍である。メジャーは今も憧れの地であるため別として、それだけの年俸がもらえるなら、わざわざ日本に来てプレーする必要はなくなった。

 そうなれば、必然的に我が身を守るようになる。無理して故障のリスクをとるより、無難に過ごすことを最優先に考える。まして韓国はアマチュアの選手層が薄いため、一度レギュラーを確保すれば数年は安泰だ。護身と競争のない世界──これこそ韓国野球のリアルであり、凋落した大きな理由である。