0001風吹けば名無し
2023/03/18(土) 17:53:32.35ID:a0oA5Jme0武士たちが、矢の並びを直している、その籠手の上に、霰が激しく降る那須の篠原よ。
山はさけ海はあせなむ世なりとも君にふた心我があらめやも
山が裂け、海は干上がる、そのようにうつろいやすいこの世ではございますが、
わたくしは、陛下の御前に、謀反の心は決して抱きませぬ。
春秋は代はりゆけどもわたつ海の中なる島の松ぞ久しき
春と秋が移り変わり、年月は過ぎてゆく。
だが、大海の中にぽつんと佇む島に生えている松は、変わらず長い年月を生きていることよ。
紅の千しほのまふり山の端に日の入る時の空にぞありける
これぞ、何度も何度も染め上げた真っ赤な染物である事よ。
山の端に、太陽が沈んでいく空の色は。
いとほしや見るに涙もとどまらず親もなき子の母を尋ぬる
かわいそうだ。見ていて涙が止まらない。
両親を亡くした子供が、お母さんはどこと尋ねているのを見ると。