これらの存在、すなわち高齢者、障害者、失業者、女性、LGBTQ、在日外国人、戦争被害者などが、
いわばリベラル派の「弱者リスト」の構成員となっていると言えるだろうが、
一方で彼が問題にしているような「ダメな人」は、そこにはほとんど含まれていない。
「コミュ障」「ひきこもり」「うつ病の人」などだ。
そうした人々は、リベラル派のプログラムでは救済されることがないと考えてしまいがちだ。
そのため、それに従っても意味がないと思ってしまうのだろう。

次に弱者とはどうあるべきかという点では、一般にリベラル派は、
とくにマルクス主義の伝統に親和的な見方をしてきたように思われる。
弱者とは搾取されるばかりの存在であり、したがって連帯し、運動し、集団として権利を主張しなければならないとする見方だ。
こうした見方は、しかし「ダメな人」を力づけるものではない。
そこでは弱者が、もっぱら搾り取られる側の存在として規定されているからだ。
また、そもそも「横並び」が苦手な「ダメな人」たちに連帯するよう説いても、あまり現実的ではないだろう。

https://websekai.iwanami.co.jp/posts/7067