いつでも安く買える「価格の優等生」として重宝される食材の一つに「もやし」があります。
室内で育てられる「工場野菜」であるため、気候変動の影響を受けることなく、安定的に供給されるのが特徴です。
しかし、2022年に入ってから、もやしの価格がジワジワと高くなっていることにお気づきでしょうか。もやしの値上がりとその理由について解説しています。

●もやしの価格高騰の実態について
総務省統計局が毎月公表している「小売物価統計調査」によれば、もやし1キログラムの東京都区部小売価格は、2021年10月で「162円」でした。
翌11月に「163円」に上がり、2022年7月には「165円」に高騰しています。翌8月には「163円」に戻りました。

ただ、2022年9月~11月は「164円」の水準で推移しています。
一般的に販売されているもやしは、1袋当たり約200gですから、この小売価格のおよそ5分の1で売られていることになります。

全国平均を取ると、値上がりの傾向はより顕著です。2021年10月には「175円」でしたが、2022年9月には「182円」と1キログラム当たり7円も上昇しています。
主要都市別では2022年10月で、那覇市の「293円」を筆頭に、佐賀市「237円」、山口市「233円」、和歌山市「229円」など、主に西日本で200円台に達している地域が多くなっているのが特徴的です。

●なぜ、もやしは値上がりを続けているのか?
もやしの価格がこの1年間で高騰しているのは、もやしの生産や販売にかかるさまざまなコストが、軒並み高騰しているからに他なりません。
もやしの種は「緑豆」で、そのほとんどが中国からの輸入に頼っています。
緑豆は日本の畑での栽培に向いていないため、やむをえませんが、この緑豆が値上がりしています。

なぜなら、中国では緑豆の生産農家が減っており、緑豆の供給も減少しているためです。
緑豆よりもトウモロコシなどのほうが利益率が高く、中国での転作が進んでいます。
よって、需要と供給のバランスが崩れ、日本のもやし農家が供給の少ない緑豆を買いたがっており、価格が上がってしまうのは必然の成り行きです。

また、もやし工場での室温管理や散水システムのために欠かせない燃料、重油の価格も高騰しています。
コロナ禍は「withコロナ」に向かう中、経済活動が持ち直し、石油の需要が世界的に上がっていること、
一方で脱炭素のトレンドから石油の生産量が世界的に制約される傾向にあることなどから、原油価格が高止まりしているのです。

さらに、もやしのパッケージもプラスチック素材をフィルム状に薄く延ばした透明の「OPP袋」が使われており、原料は石油類です。
つまり、出荷すればするほどOPP袋を消費するため、コストがかさむことになります。


ちゃんと値上がり続けてるってさ、よかったね