俺が「敵を倒してヤッター」という展開が、どうも苦手なんでしょうね。
 そこは俺の作家性なのかもしれないです。基本的に「善」であれ「悪」であれ、「信念を貫くこと」や、
いろんな戦いの中で「より高みを目指すこと」が好きなんですよ。だから、善悪をこっちで決めて倒してしまうのは、
どうも違う気がしてしまうんです。なんとなくそういうのが好きなのかな、とも思いますが(笑)。

 でもね、やっぱり王道とは何かをほじくっていっても、「敵を倒してヤッター」で読者は納得いかないはずだ……とも信じてます。
むしろ、敵と味方は、しばしば「鏡映し」だったりもするんです。だからこそ俺は、剣心が志々雄に勝ったからといって、
こっちが正しいことにはならないというのを、作中で強調するんです。