昔名古屋駅に向かう名鉄線に乗った時
先頭車両だったが運転席に向かってカメラを構えている撮り鉄が居た、運転席から見える光景を録画していた。
夏だというのに黄色い染みが至るところに着いたジャンパーを羽織り眼鏡をかけた50代ぐらいのガリガリに痩せた男。
醸し出す異様な雰囲気が車内全体を包んでいた。
いざ終点の名古屋に着く時だ、名鉄の名古屋駅は地下だから地上から下に潜っていく瞬間は中々に迫力がある。
その男も録画するものだと思ったが、何故かその前に録画をストップしていた。
何故だ?一番いい映像になるだろうと考えていたのだが、ふと以前聞いた話を思い出した。
発達障害、知的障害のある人は同じものが規則正しく続くと興奮する。そんな具合の話だ。
相撲の土俵入りとか分かるだろうか?
力士達が次々と名前を呼ばれて土俵に上がっていくのだが、以前あれをひたすらぶつぶつ呟いている障害者を見たことがある、あれも同じ理由、単調で長く続く所に惹かれたのではないかと考えた。
きっとこの撮り鉄は永遠に似たような光景が続く、そういった映像を録画したかったのだ。
彼にとっては逆に我々一般人が凄いなと感じるようなことは不愉快なのだろう、我々と何もかも、頭の作りが違うのだ。
俺はそんな事を考えながら駅についた。
そのあとパチンコ屋で30000負けた。