「アキくんは、どんな大人になりたい?」
 運転中、ずっと無口だったお母さんが不意に口を開いた。
「大人?」
 ボクは戦隊レッドの人形を持った右手で、眠たい目をこすりながら聞き返した。
「例えば……消防団のお父さんみたいに、困ってる人を助ける人になりたいとか」
「消防団かぁ」