東京都監査委員は4日、性暴力や虐待の被害に遭った若年女性らを支援する「若年被害女性等支援事業」について、事業に使われた経費を再調査するよう都に勧告したと発表した。事業を受託する一般社団法人「Colabo(コラボ)」による不正受給があるとして、委託費の返還などを求める住民監査請求が出されていた。監査委員は2月末までに経費の使途を検証し、過払いがあれば返還請求などの措置を講じるよう求めた。

 一方で、請求人が主張した、ホテル宿泊費▽車両関連費▽旅費交通費▽医療費――などの水増しや不正請求については、「(主張は)妥当でない」と結論づけた。

 事業は、女子高校生が男性客を接待する「JKビジネス」やアダルトビデオ(AV)出演を強要された被害者、家出少女らの自立推進が目的。公的機関と民間団体が連携し、夜間の見回りや声かけ活動の「アウトリーチ」で被害を未然に防ぎ、一時的な居場所を確保する。2021年度に国が事業化し、都は前身のモデル事業が始まった18年度からコラボなどに委託。監査対象となった21年度の委託費は2600万円だった。

 監査結果は22年12月28日付。領収書に示されていない支出や、アウトリーチの実態把握ができない報告などについて、「不適切な点がある」と判断。また、高額なレストランでの食事代やホテル宿泊代は必要経費としての「妥当性が疑われる」と指摘した。

 都育成支援課は「勧告に従って速やかに対応する」とした。

 コラボの弁護団は声明を発表。監査結果については「都に対し改めて丁寧な説明をし、改善が必要であれば真摯(しんし)に対処して、よりよい事業遂行を目指したい」とした。また、「これまで受けた非難攻撃の大半は監査委員によって事実ではないことが確認され、退けられた」との見解も示した。【宇多川はるか】

毎日新聞