下水から抽出した、無臭の白い結晶…正体は? 農家向けに販売

 福岡市に七つある下水処理施設の一つ、東区の和白(わじろ)水処理センター。
積み上がった白い結晶を職員に両手のひらですくってもらうと、指の間から砂のようにさらさらとこぼれ落ちた。
臭いも全くない。

 結晶の正体は「再生リン」。
窒素、カリウムと並ぶ化学肥料の3要素の一つのリン酸を、市民生活で出た下水から回収、抽出したものだ。
市は博多湾の水質汚濁を防ぐため、1996年にリンの回収事業をスタート。
さらに、国土交通省が開発した回収技術を今年4月に導入したことで回収量が15倍になり、年間に最大で150トンを見込めるようになった。

従来商社に販売していた再生リンは肥料メーカーに渡り、堆肥(たいひ)に配合して肥料に生まれ変わる。
ふくれんが8月末から福岡県内で農家向けに販売を始めた。