別府市にある大分県立南石垣支援学校で高等部3年の林郁香さん(17歳)が給食をのどに詰まらせて死亡した事故で、県教委設置の第三者委員会が、県教委に報告書を提出した。第三者委は、給食中の林さんを1人にし、林さんが倒れた後も教職員が心肺蘇生をしなかったことなどを大きな問題と指摘した。

林さんは給食中に倒れて意識を失ってから17日後に死亡した。第三者委は林さんが倒れた原因を、医師への聞き取りなどから「口の中いっぱいに食べ物を入れたことで口腔や咽頭を塞ぎ、呼吸困難が生じた」と結論付けた。
報告書によると、最重度の知的障害があった林さんは、食事をかき込むようにして食べる傾向があり、給食中は教師が見守ることになっていた。

 しかし、林さんの担当だった当時の担任は別の生徒を3階の教室に送るため1階ランチルームの林さんの傍を離れた。室内には、養護教諭ら教職員2人がいたが、担任は声をかけず退室しており、林さんは誰にも見守られない状態で喉を詰まらせて倒れた。
林さんが倒れた直後に養護教諭らが駆けつけたが、出血に動揺するなどし、呼吸・意識の確認や胸骨圧迫、自動体外式除細動器AEDを使うなどの心肺蘇生をしなかった。

 第三者委は「見守っていれば、かき込む食べ方を止められた可能性が高く(のどを詰まらせた後も)窒息を疑い、口の中の食べ物をかき出すなどの素早い対応を取ることができた」と指摘した。
林さんの母親の香織えっショックさん(49)は記者会見で「郁香を1人にしたことや心肺蘇生をしなかったことを第三者委が不適切と判断したのは評価するが、不適切な対応と死亡との因果関係が明記されておらず残念」と語った。

事故を巡っては、遺族の告訴を受けた大分県警が昨年5月、当時の担任や校長ら4人を業務上過失致死容疑で大分地検に書類送検した。
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