日本の国民食の1つ、牛丼。すき家・吉野家・松屋の牛丼御三家が君臨する中、“焼き牛丼”を武器に一大ブームを起こし、その牙城を切り崩そうとした存在を覚えているだろうか? 居酒屋チェーン「金の蔵」などを手掛けるSANKO MARKETING FOODSが運営する、「東京チカラめし」だ。

 急拡大と大量閉店という両極端を経験した東京チカラめしは21年、日本を飛び出し香港で再起を図った。「以前から海外展開を考えていました。さまざまな条件を鑑みて香港でオープンすることを決めたのです」(海外事業部マネージャー、華康さん)

 こうした苦労を経て21年6月22日、九龍の繁華街に香港1号店をオープン。家族連れを中心に利用客がつめかけた他、現地メディア約50社が取材に訪れたという。その後、9月に2号店を、12月に3号店をオープン。ロックダウンなどの影響を受けながらも、3店舗とも順調に営業を続けているという。

 日本と香港、一番の違いは客単価だ。「日本だと500〜700円が相場ですが、香港で生活している人は収入が高く食費を節約しない傾向があるので900円以上が当たり前です」(華さん)。客単価の差はメニュー選びにも大きく表れている。