15歳の「少女Q」が、学校で裸にされて所持品検査を受けたのは2020年のことだった。教師が大麻の臭いがすると警察に通報し、女性警官らが検査を実施したが、違法薬物は見つからなかった。

Qの検査にあたり、警察は両親にも知らせず、その場にソーシャルワーカーなどを呼ぶこともなく行った。しかも彼女はそのとき生理中であり、この経験で心にトラウマを負ったという。

この一件を機にイギリス政府は子供の所持品検査に関する調査を実施。その報告書が8月8日に公表され、ロンドンでは2018〜2020年の間に、なんと650人もの18歳未満の子供が裸の所持品検査を受けていたことがわかった。

英紙「ガーディアン」によれば、このような所持品検査をする際は適切な大人の立ち合いが義務付けられているにもかかわらず、その規則が順守されずに行われた検査は23%に上っていたという。

人種差別にも懸念
調査を行った政府機関「児童委員会」は、所持品検査の対象になった人種に偏りがあることにも懸念を示した。650人のうち58%が黒人だった。少女Qも黒人だった。ちなみに、ロンドンの10〜17歳人口で黒人が占める割合は19%である。

さらに、全体の53えっショック%において違法薬物が見つからなかったことも判明。この調査を主導したレイチェル・デ・ソウザ児童委員長は、「このようにプライバシーを侵害し、子供にトラウマを残すような検査が本当に必要なのか」と疑問を呈している。

デ・ソウザはまた、「これらのデータで示された人種的不均衡にも深く憂慮している」と述べ、少女Qのケースに人種差別が絡んでいたことを指摘したうえで、こう続けた。

「少女Qのケースは孤立した特殊な事例ではなかったことが改めて確認できました。それはロンドン警視庁における、もっと根の深い制度的問題に警鐘を鳴らしてくれる事例だったのです」

児童委員会は今後、ロンドン以外の地域でも、子供を裸にして所持品検査をする捜査慣行がどのように行われているか、調査を実施していく計画だ。
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