「本当に同一人物のものなのか」。手紙の文面とツイッターへの書き込みを読み比べた直木賞作家の黒川博行氏の率直な感想だ。犯罪小説を多く手掛ける黒川氏の目には、一人の人間に冷静と激情が同居していると感じられたという。

まず驚かされたのが、その文章の巧みさだ。舌を巻いたのは《親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊》というくだり。教会に入信した母親が父親の死亡保険金や不動産の売却代金をすべて献金し、山上容疑者やその兄、妹が生活に困窮していった経緯を抽象的に表現したとみられる。「たたみかける流れにぴったりな単語がはめ込まれている。プロの文章だ」(黒川氏)


山上容疑者の「両極端」と「ゆがみ」、直木賞作家の黒川氏が分析
https://www.sankei.com/article/20220720-JXSGLJO2JVOAZFVMQORKQYFL3Y/