世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者が講師を務めた講演会を岐阜市が後援していたことが16日、分かった。市の要綱では「政治活動または宗教活動を目的とするもの」「特定の思想または主義主張の浸透を図ることを目的とするもの」は後援しないと規定している。市は、後援の理由について「申請書と終了後の報告書で政治、宗教活動を目的にしていないと確認しており問題ない」と説明している。
講演会は、韓国の大邱(テグ)市に戦前、かんがい用ため池を造成した岐阜市出身の水崎林太郎(1868~1939年)を顕彰する内容。「岐阜を元気にする会」が主催し、今年5月に長良川国際会議場(岐阜市長良福光)で開いた。家庭連合の友好団体「県平和大使協議会」と市が後援。元気にする会の会長によると、約700人が参加したという。
講師として演台に立った男性は、水崎の功績や苦悩を説明。最後に水崎の信念を「忍耐」と説き、家庭連合の韓鶴子(ハンハクチャ)総裁の言葉「忍耐という苦い種が光り輝く誇りとなる」を引用した上で「皆さまはこの言葉を自らの心に刻み、願わくば1週間書き続け、水崎さんの精神を学んでほしい」と語った。参加者が韓総裁のその言葉を紙に書き写す場面もあった。
知人に誘われて参加したという女性会社員=同市=は、講演会の数日後に家庭連合の他の友好団体のイベントを紹介されたという。
全国霊感商法対策弁護士連絡会の神谷慎一弁護士は「自治体がイベントを後援すれば、そのイベントを開催した団体の宣伝に使われたり、団体勧誘の入り口になったりする場合もある。岐阜市は、宗教や政治に関係がありそうな場合は、今後はより慎重に判断をしていくべきではないか」と話している。
https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/105172