この非芸術的な国における、文学とは名ばかりの文学は、権力や権威に露骨になびき、お手盛りの賛辞による高い位置づけにより、素人目にもあんまりなレベルに引き下げられ、背を向けられ、商売としても成り立ちにくいものと化し、現在の憂き目を差し招いた。

 「心のままに書いたのだから文句あるか」が決め台詞の、とんでもない持て囃され方をしたせいで自分を完全に見失った大御所たちは、ほとんど書き殴ったとしか思えぬ稚拙な文章をだらだらと綴りながら、複数の美人に挟まれて苦悩する優男の主人公におのれの憧れを露骨に託した恋愛模様を描き、
そうすることでころがりこんでくる大金を飲み食いに注ぎこんでいるうちに、体調を崩し、何よりも頭脳の働きを麻痺させ、心も精神も肉体から派生したものであることに気づいたときには、もはや完全に手遅れのありさま。

あとはもう、そんな末路を「芸術家らしい最期」という言葉で無理やり飾り立てるばかりだが、後世に引き継がれるべき価値の作品などあろうはずもない。