殺人・傷害・暴行・横領は全て
地位協定の特権浮き彫り
 国内で2021年に発生した米軍関係者(米兵、軍属、家族)による一般刑法犯(過失運転致死傷などを除く)の起訴率が約11・3%にとどまり、約9割が不起訴となっていることが、日本平和委員会が入手した資料で明らかになりました。

 全国の一般刑法犯の起訴率と比べると3分の1以下であり、米軍関係者が「優遇」されている実態が改めて浮き彫りになりました。

 資料は法務省が開示した「合衆国軍隊構成員等犯罪事件人員調」。これによると、米軍関係者による一般刑法犯は、起訴9件に対し、不起訴が71件に上りました。

 殺人(1件)、傷害(9件)、暴行(3件)、横領(2件)は全て不起訴でした。強制性交は11件中9件が不起訴になりました。窃盗は33件中、起訴は1件だけ。住居侵入も9件中、起訴は2件にとどまりました。一般刑法犯ではない「自動車による過失致死傷・過失運転致死傷」でも164件中138件が不起訴で、起訴率は約16%にすぎません。一方、近年の全国の一般刑法犯の起訴率は30%台後半で推移しています。

 起訴率が低い背景には、日米地位協定と日米密約があります。協定17条は、米軍関係者の事件について、「公務中」の場合は米側、「公務外」は日本側が第1次裁判権を行使できると明記しています。しかし、日本政府は、1953年に日米合同委員会で結ばれた密約で、「実質的に重要であると考えられる事件」以外は裁判権を行使しないと約束。この密約が今なお効力を持ち続けていることが裏付けられています。

https://www.jcp.or.jp/akahata/aik22/2022-06-29/2022062901_04_0.html