映画の内容を10分~15分程度に無断で編集した「ファスト映画」をYouTubeにアップロードし、広告収益を得ていた投稿者の男女3人に対し、東宝や松竹・KADOKAWAなど映画会社13社が5月19日、総額5億円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

投稿者3人は2021年に逮捕・起訴され、執行猶予付きの有罪判決を受けている。

映画会社側の弁護団によると、ファスト映画に関する民事訴訟は全国初といい、同日開いた会見で「民事でも責任を追及することで同様の犯罪抑止につなげたい」と説明した。

訴状によると、3人は2020年初頭から10月下旬ごろまでの間、13社が著作権を持つ複数作品のファスト映画を作成し、YouTubeに公開。再生数は合計で1000万回を超え、少なくとも700万円程度の広告収入を得ていたという。

投稿された作品は『犬神家の一族』(2006年、原告KADOKAWA)や『おくりびと』(2008年、TBSテレビ)、『モテキ』(2011年、東宝)、『シン・ゴジラ』(2016年、東宝)、『かもめ食堂』(2006年、日活)、『桐島、部活やめるってよ』(2012年、日本テレビ放送網)など54作品にも及んだ。

映画会社側は、再生1回あたりの損害額を「200円」と判断し、合計で20億円相当の損害があったと主張。そのうちの一部として、5億円の損害賠償を請求している。

弁護団によると、「200円」という損害額は、1週間のオンラインストリーミングで権利者が受け取る金額をもとに算出したという。YouTubeでは400円前後で映画をレンタル視聴できるが、その金額から30%のプラットフォーム手数料を引き、さらに映画が2時間まるごとアップロードされているわけではない事情を考慮して減額し、「200円」としている。

https://www.cinra.net/article/202205-briefing-fastmovie_iktacl