私の能力の対価か男の下心か。「パパ活」で手に入れたブランドバッグ

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「能力の対価」として手に入れたバッグと、捨てられない彼からの言葉

ブランドバッグのおかげで高飛車になっていた私も、「所詮顔面偏差値が“中の下”の私に良くしてくれる男なんて、下心しかないよな」と我に返ったと同時に自己嫌悪に陥り、今日限りで会うのを辞めたいと伝えた。
しかし、「おにぎりさん」はこういうお別れはどうやら慣れているらしく、後腐れなく「そっか......」と言い、私の意を了承してくれた。

店を出て駅までの道中は、なんだか微妙な距離感と不穏な空気が流れる。
「おにぎりさん」は炊き立てのおにぎりが少しだけ冷めたような、何とも言えない表情を浮かべていた。
そして改札に入る間際に「リサさんは、本当に綺麗です」と言い、ショッピングデートの予定を立てたときのようなホクホクのおにぎりみたいな笑顔で見送ってくれた。
それからしばらく連絡のやり取りがなくなったので、私は「おにぎりさん」の連絡先を消去してしまった。

PMS(月経前症候群)やクォーターライフ・クライシス(人生の1/4が過ぎた頃に訪れる幸福感の低迷期)が起因して自己嫌悪に陥るそのたびに、このブランドバッグを見ると、「リサさんは、本当に綺麗です」と言った「おにぎりさん」が背中を押してくれる気がする。
私の接客モードによる“能力の対価”として勝ち取った代物であり、下心ではなく心の底から湧き出たと信じたい「おにぎりさん」の言葉は捨てがたく、未だに手元に置いている。