https://news.yahoo.co.jp/articles/23b37949e8276a560d7cb4b225068b054e52deaa

スパイト行動も背景にある、マスク着用率の高さ

「スパイト行動」という言葉を耳にしたことはあるだろうか。

わかりやすく言えば、「私が損をしているのだから、あなたも損をすべきだ」という心理から生まれる行動だ。

「『俺がマスクをして苦しい思いをしているのに、なんであいつはマスクをしていないんだ』と批判されることを恐れて、結果的に全体のマスク着用率は高い、というね。社会心理学的に見て、スパイト行動というのは、とにかく平等を求める気持ちなんですよね。とにかく平等にっていう思いや、競争心が強くなりすぎると、みんなが貧しくなる、ゲーム理論では“共貧状態”って呼ぶんですけど、こうした状況が起こってくる」

こうした傾向は、何に由来するのだろうか。

「これにはいろんな意見があって、脳の構造と言う人もいますけど、私はそれぞれの歴史、文化なんだと思うんです。もともと世界は身分社会でした。欧米にはいまだにそういう風潮が残っています。でも日本は戦後、一億総中流という社会を作り上げた。だから、その平等が崩れたときの不快感とか怒りっていうものを他国の人よりも強く感じるんでしょう。悪く言えば島国根性。そういえば、社会的地位の高い人が先にワクチン接種したとかさせたとかで、バッシングを受けていましたよね。個人的には、よくある話じゃないか、そんなに目くじらを立てるほどのことかな、と思いましたけど、そこを許さないのが日本人。紛糾して、役所の雑務も増え、結果的に全体が遅れていく。まさにスパイト行動ですよ」(碓井氏)

他国の人々に比べて、日本人の心の狭さや幼児性の高さを示しているとしたら、寂しい話だが……。

「いや、私はそういう結論には落とし込みたくないですね。それは裏を返せば、協調性の高さでもある。みんな一緒、横並びで、それがいい社会だよねって、和を尊ぶような、普段ならいい面に表れているわけです。でも、こうしたコロナ禍のような非常事態においては、ついうっかりスパイト行動的な面に転じてしまうということなんじゃないかと考えています」